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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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凪子が目を覚ますと、時計は10時半を示していた。

明け方まで愛し合ってクタクタで、凪子はそのまま眠ってしまったようだ。


隣りに信也はいなかった。

一瞬昨夜の事が夢ではないかと思ったが、ベッドが乱れているので夢ではなさそうだ。


耳を澄ますとリビングからかすかにテレビの音が漏れている。

そして人の気配と物音もした。


凪子はゆっくりと起き上がると、シャツパジャマを羽織ってからリビングへ向かった。


部屋へ入った瞬間、コーヒーのいい匂いが鼻を突く。

その時信也が声をかけた。


「おはよう。寝起きの凪子はなんだか色っぽいな…」


信也は凪子の傍に来て頬にチュッとキスした。

その瞬間凪子の心が一気に満たされる。


「おはよう…シャワー浴びたの?」

「ああ、バスルーム借りたよ」


信也は服は昨夜と同じだったがさっぱりした様子だった。

ほのかにボディソープの香りが漂っている。

少し伸びた髭も、ワイルドなイメージでグッとくる。


凪子はドキドキしたまま慌てて信也から目を逸らした。


「沖縄の被害状況はどう?」

「ビルの外壁が崩れたビルが多いみたいだけれど、倒壊したのは一棟だけみたいだな。土日で会社が休みの所が多かったから人的被害も少ないみたいだね」

「そう…」


凪子は被害が少ないと聞いてホッとした。


朝のニュースによると、緊急地震速報直後に観測された震度は7だったが、

実際は6弱だったようで朝になって修正されていた。


もし震度7を超えていたら建物の損壊も今以上に激しかっただろう。


凪子が立ったままテレビを見ていると、背後から信也が抱きすくめる。

その瞬間凪子の胸がキュンと疼く。


信也はそのまま凪子の耳にキスの雨を降らせる。

しかしそのキスはなかなか終わらなかった。


「んもうっ! 今日はまた沖縄に戻るんでしょう?」

「うん、これ以上くっついていると抑えきれなくなりそうだ」


信也はそう言って名残惜しそうに凪子から離れた。


そこで凪子はキッチンの中を覗く。信也が朝食を作ってくれたようだ。


「ありがとう。凄く美味しそう」


「冷蔵庫の物を勝手に使わせてもらったよ」


信也は笑顔で言うと、リーフレタスにスクランブルエッグ、そしてソーセージを盛り付けた皿をテーブルへ運んだ。


「先にシャワー浴びる?」

「ううん、シャワーは後にするわ。顔だけ洗ってくる」

「ん、じゃあトーストを焼くよ」


信也はすぐにトースターにパンをセットした。



洗面所へ行った凪子はタオルを手に取り顔を埋めた。

そして大きく感嘆のため息を漏らす。


信也は朝からとてもセクシーだった。


シャワーを浴びた後のまだ少し湿った髪、

うっすらと生えた無精髭、

Tシャツにジーンズのシンプルな装いなのに、

信也から発せられるオスのオーラがムンムンと伝わってくる。


とにかくイケメンは朝からイケメンなのだ。


そしてそのイケメンが凪子の為に朝食まで用意してくれたのだ。


「これって神様からのご褒美?」


凪子はそう呟くと、ニッコリ笑ってから漸く顔を洗い始めた。



凪子がリビングへ戻ると、信也は既に席についていた。


二人一緒に「いただきます」と手を合わせてから、朝食を食べ始めた。


「おいしーい! 信也が料理をするのは知っていたけど、スクランブルエッグなんてホテルみたいにフワフワ!」

「ハハッ、喜んでもらえて良かったよ」

「離婚したばかりなのに、こんなに幸せでいいのかしら?」

「いいんじゃないか? 色々頑張ったんだし」

「うん」


凪子はニコニコと嬉しそうに頷いた。

そこで信也が言った。


「昨夜は凪子のお陰で最高の夜だったよ。だからせめてものお返しだ」


そこで凪子は頬を染める。


「なんかちょっと恥ずかしい…」

「恥ずかしがる必要なんてないさ、事実だし。俺は昨夜の凪子の喘ぐ姿にすっかりやられちまったよ」


信也はそう言ってニヤリと笑う。


「んもうっ! 朝からエッチな話をしないのっ!」


凪子はそう言って怒ったふりをする。

しかし信也は真面目な顔をして続けた。


「肌が合う…っていう言葉は聞いた事はあるけれど、まさに凪子とはそれだな」


それは凪子も同じだった。


信也とのセックスは、良輔のものとは比べ物にならないくらい格が違った。

さすがプレイボーイと言われているだけある。


凪子は昨夜初めて女としての本当の悦びを知ったような気がした。

そして今までの経験は全て偽りであったと悟る。


その事を正直に信也に伝えたいと思った。


「私も、あんな素敵な夜は初めてよ…」


凪子が少し照れたように言うと、信也は嬉しそうに頷いた。



食事が終わり、二杯目のコーヒーを飲んでいると信也が急に真面目な顔をして言った。


「凪子、君の気持の整理がついたらでいいから結婚しよう」


凪子はびっくりして信也の顔を見た。驚き過ぎて言葉が出てこない。


結婚に失敗した自分に、信也を幸せにする事が出来るのだろうか?

もし信也との結婚に失敗したら、これまで培ってきた信也との強い絆も崩れてしまうかもしれない。

そう思うと簡単にYESとは言えなかった。


「凪子?」


凪子が返事をしないので、信也が促す。


そこで凪子は正直に自分の気持ちを伝えてみようと思った。


「凄く嬉しいわ、私も信也とはずっと一緒にいたいって思うの。でもね、私は結婚に失敗した女よ。それも夫に浮気された妻なのよ。そんな女が信也の事を幸せに出来るって思う?」


それを聞いた信也は「なんだ」という顔をして微笑む。

それから凪子にこう言った。


「俺達には友達としての歴史があるじゃないか。今までずっといい関係で来たろう? だから心配する事なんて何もないんだ。たまたま形が友達から夫婦へ変わるっていうだけで、中身は一切変わらないんだよ。

だからもし何か問題が起こっても、今までみたいに二人で話し合って解決すればいいだけの事だ。俺はちゃんと凪子と向き合うつもりでいるよ。だから凪子は何も心配しなくていい。

それに夫婦っていうのは徐々に本物になっていくものだろう? 一緒に過ごしていく中で徐々に夫婦として成長していけばいいんじゃないかな? だからあまり堅苦しく考える必要はないさ」


信也の思いやり溢れる言葉に、凪子の凝り固まっていた心がほぐされていくような気がした。


(この人は良輔とは違う…この人ならきちんと向き合ってくれるわ)


凪子の直感がそう知らせた。


しかし凪子はあえてもう一つ質問をした。


「あとね、今までは少し距離がある付き合いだったから私は信也に自分のいい所しか見せていなかったと思うの。でも結婚して毎日一緒に生活するようになったら、きっと嫌な面もいっぱい見せちゃうと思うのよ。そんな私に信也はきっとがっかりすると思うわ。それが怖いの」


凪子の言葉に信也はキョトンとした顔をした後、声を出して笑った。


「ハハハッ、何を言い出すかと思えばそんな事か! ちなみに言わせてもらうが、俺は今まで君の失態を散々見てきているんだよ。酔って愚痴を言いながら絡んできたり、飲んだくれて酔いつぶれたり、仕事で失敗した時には八つ当たりされた事だってあるからな。そんな俺が今更凪子の嫌な面を見てがっかりすると思うか? もしそうだとしたら、君との関係が今日まで続いているとは思わないけれどなぁ」


信也はあまりにも可笑しかったらしくまだ笑っている。

しかし笑いが落ち着くと、真剣な眼差しで言った。


「ここまで続いて来た俺達の歴史を、死ぬまで続けたいと思わないか? 俺はそうしたい。だからプロポーズしたんだ。凪子、 俺を受け入れろ! そして『幸せのリベンジ』をするんだ。君は俺と幸せになってアイツらを見返してやればいい」


信也は椅子から立ち上がると傍まで来て凪子を立たせる。そして強く抱き締めた。


「凪子…頼むからYESと言ってくれ……」


その切ない口調に、凪子の胸がキュンと疼く。

信也に懇願されて断れる女性などいるのだろうか?

凪子はぼんやりとそんな事を考えながら、口を開いた。


「わかったわ、YESよ」


その瞬間、信也の顔が満面の笑みになる。

そして、信也は一度ギューッと凪子を抱き締めた後、凪子に唇を重ねた。

凪子を気遣うような優しいキスだった為、凪子が懇願する。


「もっと情熱的に愛して!」


その言葉に、信也は一度顔を離してからニヤリと笑った。


「沖縄に戻るのは夜にするよ……」


信也はそう呟くと、凪子を抱き上げてから再び寝室へ連れて行った。

そして二人は互いの愛をもう一度確かめ合った。

マウントリベンジ

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コメント

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凪子さんは信也さんとのこれまでの友人としての歴史から夫婦に変貌することに不安なのかも… でも信也さんの言葉はこれまでの長い付き合いで信じることができるよね😉🩷🩷 だから大丈夫🙆信也さんは凪子さんを裏切らない胸に飛び込んでしっかりと受け止めてもらってね🥰🥰🥰 飛行機✈️も夜便に回したし、思う存分愛を育んでください♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪♡

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