テラーノベル
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※朱雀機関文書「笑うカドにはワザワイ来る」の閲覧者によるディスカッション記録。
※場所は■■県童ノ宮市郊外の白虎機関傘下の病院施設。
※白虎機関上級研究員柴崎ゼナとその秘書官姫宮アンナ、怪異に遭遇した塚森キミカ(13歳)、塚森家の外法使い塚森コウ(18)による議論を録音したもの。
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「……これが今日、君達を襲った怪異の正式な登録文書ってわけだ。つまり、我々白虎機関はやつを神として崇め奉り鎮めようとしたが失敗した」
「えっ、えっ? じゃ、じゃあ、このままやったらユカリもあの怪異に、あのあっ、あっ……」
「無理して言葉にしなくていいよ、塚森キミカ。一応、君にも説明しておくべきだと思ったが、辛いならこの辺にしておこうか?」
「ヘ、平気です。せやけど、うちよりユカリの方が心配で……。ユカリの耳の中にはまだあいつの分身がおるってことなん?」
「……その可能性は高い。だから、彼女にはよりセキュリティーの高い地下病棟で休んでもらっている。青龍機関が派遣してくれたベテランの兵士、20名ががっちりガードしてくれているよ」
「せ、せやけど何でこんな酷いことするんやろ? 仮にも神様として崇められてたのに……」
「本来神とは優しいだけの存在じゃない。祟り――、つまり災いをなすがゆえに崇め奉り、この世から遠ざけたり鎮めるべきものだ。それに神と呼ばれる存在達が自らそう名乗ったわけでもない。我々人間がそう勝手に分類しているだけ。味方をしてくれる怪異と、そうでない怪異をね」
「それはそうかも知れへんけど……う、うちは何度も童ノ宮の神様に助けてもらてるし、だから……」
(キミカのすすり泣く声)
「あ、ああ、ごめんね。……君に言う必要はなかったね。本当に済まない」
「で、でもゼナ博士! あの怪異、逃走したとはいえ加持祈祷に力が押さえられるんですよね? ひょっとしたらキミカちゃんの唱え事のお陰で……」
「そ、そうかも知れないな。私の≪センチビード≫だけじゃやつを捕らえるのは難しかっただろうし、長谷川ユカリが今も命を繋げられているのは君の唱え事が本物だったお陰だと思うよ」
「でも、コウちゃんは? コウちゃん、うちらをかばってあんな酷い怪我……」
「ん。それは……」
「もし、このままコウちゃんが目ェ覚まさへんかったら、うちどないしたら……」
「――――おい、さっきからうるさいぞ。人の枕元で」
「コ、コウちゃん!」
「ゼ、ゼナ博士! 塚森さんが目を覚まされました!」
「うん。私も君の隣で見ているからわかるよ、姫宮アンナ」
(舌打ちする音)
「ああ、クソ……。全身がバラバラになったみたいだ」
「丁度いいタイミングだから君にも伝えておくよ、塚森コウ。……私達は子供達を連れて童ノ宮に朝一で向かう。君の叔父上――、塚森レイジに祓いの儀を執り行ってもらうためにね」
「……僕は? まさか、ここに置いていくとか言わないよね?」
「医者としてはそれを最もお勧めしたいところだけどね」
「……冗談じゃない。これぐらいの怪我で動けなくなるようじゃ、外法使いの沽券にかかわるっての」
「あ、あかんて。コウちゃんはジッとしとかんと……。コウちゃん、あの怪異に殺されるところやったんやで?」
「はぁ? ……お前、偉そうに誰に物言ってんの? 言っとくけど、次に僕の目の前で神孕みの外法を使おうとしてみろ。ぶん殴ってでも止めるからな?」
「……っ!」
(椅子から立ち上がる音)
「ちょっと! 女の子相手にそんな乱暴な言い方、やめてください! それにキミカちゃんはあなたを気遣っただけでしょう! 彼女に謝ってください!」
「……あんた誰? ……初めて見る顔だよね?」
「ひ、姫宮アンナと申します。二週間ぐらい前からゼナ博士の……」
「あ、もういいや。あんたに興味ないから」
「え、えええっ……」
「そんなことより――、ゼナ博士。キミカに朱雀機関文書なんか、読ませないでくださいよ。あんなえげつないモン、十三歳の子供には刺激が強すぎますって。……ホント、少しは考えろよなあ」
「……なるほど、子供ねぇ」
(ゼナ博士の小さく笑う声)
「は? ……何ですか? その言い方?」
「いや、別に。ただ私から見れば、君も塚森キミカも子供だからね。……ただ、現実に耐えることができないのは、むしろ君のほうじゃないのかな? それが何だか可愛くてね」
(数秒間の沈黙)
「あぁ!? 何だぁテメェ! 喧嘩売ってんのか、このミソジの■■■■■がぁ!?」
「……ほぉ?」
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※以下、数十分に渡って激しい物音と罵り合いが続く。
※実に不毛であるとして削除済み。
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#異能
#伝奇