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やばい、続きが楽しみすぎる! 一話から読み直しましたが、ハルさん最高🙂
ハルさん
ハルさん
朝のリビングに、ハルさんの 嬉しそうな声が響き渡る。
ハルさん
ハル
ハル
ハルさん
ハルさん
ハルさん
ハルさん
楽しんできて下さい、と 言いかけたとき
ハルさん
ハルさん
とのことだったので、喉まで 出かかった言葉を飲み込んだ。
ハルさん
ハルさん
拒否権はないらしい。
時刻は18時を少し過ぎた頃。
私は電車に揺られながら、窓の外の 景色を眺めていた。
ハルさんは私に、お礼としてついて 来い、だなんて言っていたけれど
ハルさんなりに私を楽しませて くれようとしていることは
短い間だがハルさんと過ごし、彼の 優しさに触れてきたから分かる。
なぜ、出会ったばかりの私に ここまで優しくしてくれるのか。
こんなに気を遣わせてしまって、
私ばかり楽しませて貰っていて、 良いのだろうか…。
自己嫌悪に陥りそうになったとき、 ふと、肩に重みを感じて
隣を見ると、ハルさんは私の肩に頭を預けて寝入っていた。
ハル
ハルさんは私が来てから、余計に生活も大変になってしまった筈なのに
それを一切表には出さなかった。
彼に、どう恩返しをしたら良いのか 分からない。
でも今は、とりあえず彼の気遣いに 心からの笑顔でお返ししよう。
私はすよすよと寝ているハルさんを 見て、ふと微笑んでから
ゆっくりとまぶたを閉じた。
ハッと気付いた時にはもう遅い。
まもなく終点です。
ハル
アナウンスの声に飛び起き 窓の外を見てみると、
まだ明るかった町の風景は
日が沈みすっかり暗くなっていた。
ハル
ハルさん
ハル
ハルさん
ガバッと飛び起きたハルさんの顔が、 みるみる内に青ざめる。
ハル
ハルさん
ハル
震えながら涙をながすハルさんを 慰めながら
私たちは夜の駅に降りたった。
駅員に電車を乗り過ごした旨を 伝えると
誤乗だった場合乗り過ごした分は 払わなくていいとのことだったので
ハルさんは少しだけ元気になった。
ハルさん
駅から出た後も、ハルさんは 放心状態だ。
ハル
ハル
ハルさん
ハルさん
ハルさん
ハルさんは妙にキリッとした顔をした後、親指を立てて自分を指差した。
しかしその目からは涙が溢れ出して おり、何とも奇妙な表情と 化していた。
ハルさんの言っていることはその通りなので、私は何も言えなくなる。
ハルさんが、この後どうしたいかの 判断に任せなければならない。
しかし、ハルさんは表情をパッと 変えた後
ハルさん
ハルさん
ハルさん
と、言ってのけた。
ハルさんでも来たことのない、 遠いところまで来てしまったらしく
私たちはあてもなく歩き続けた。
街頭にそって歩いていくと、 小さな公園を見つけた。
ハルさんは何故か私よりも興奮し、 公園の敷地に向かって走っていった。
ハルさん
ハルさん
そう言ってハルさんは、バネの上に 動物の形が乗っている遊具に乗り
前後左右に揺らして遊び出した。
そのはしゃぎようは、子供よりも楽しそうに遊んでいるんじゃないか、と 感心するほどだった。
しかし遊具の隅に、12歳以上 使用禁止という年齢制限が貼ってあるのを目にしたハルさんは
顔を青くして遊具から飛び降りていた
ハルさんはその後 別の遊具で遊ぼう、と言って 公園の奥の方へ行き
そこでたまたま初々しい学生カップル を見つけてしまったらしく
私の腕を掴んで、超特急で公園から 走り去った。
こうして公園で遊ぼう計画は、 一瞬にして幕を閉じたのだった。
ハルさん
ハルさん
ハルさん
ハルさん
つくづくハルさんは面白いなと思う。
さっきまであんなに楽しそうに はしゃいでいたのに、
今はその面影もなく、反省したように うなだれている。
ふと、潮の香りが漂い
私はへこんでいるハルさんを ちょいちょいとつついた。
ハルさん
ハル
私の見ている方向に、ハルさんも 顔を向けた。
ハルさん
ハルさんは海岸の堤防へと足を進め
そこに設置されていた階段に 腰を下ろした。
私もその隣に腰を下ろす。
夜の海岸は静かで、 波が堤防に打ち付けられる音だけが 聞こえていた。
ハルさん
ハルさん
ハル
ハル
ハル
ハルさん
ハルさん
ハル
ハル
ハル
ハルさん
ハルさん
ハルさん
ハルさん
ハル
ハルさん
ハルさんはすっと立ち上がり、私に 背を向け歩き始めた。
それから私たちは、何とか体力の 限界まで
タクシー代を少しでも小さくしようと 歩き続け、
へとへとになった頃ようやく腹を 決めてタクシーを呼んだ。
道中、私は平静を装って話し続けた けれど
ハルさんにはきっとバレている。
私が向こうの世界に戻りたく ないのだ、と。
でもハルさんは聞かなかった。 なぜ戻りたくないのか。
ハルさんはきっと
私から話すのを待っている。