マヌエル
2、3ヶ月ぶりに“彼“はわが家にやってきた
萌映
妹は“彼“に抱きつく
萌映
萌映
マヌエル
マヌエル
萌映
冴夏
冴夏
萌映
マヌエル
萌映
美紀
美紀
マヌエル
美紀
マヌエル
明後日から父のピアノリサイタルの全国ツアーが始まる
美紀
母は苦笑する
マヌエル
そして父の部屋へと向かった
当日。バタつきながら父と“彼“は出発した
数ヶ月後、無事に全国ツアーを終え
父と“彼“への労いのため、ささやかな打ち上げをした
冴夏
マヌエル
マヌエル
清士郎
冴夏
確実に寝落ちそう
マヌエル
美紀
美紀
マヌエル
マヌエル
この場にいる父以外の全員が同意した
月日は少し流れ、わたしは4月から中学生になった
そんなある日、父の部屋のドアの前にキーホルダーがついた鍵が落ちていた
冴夏
チンアナゴのキーホルダー
冴夏
冴夏
冴夏
“彼“がチンアナゴのキーホルダーをつけていたのを思い出す
仕事の打ち合わせでよくわが家に来るのでなんの不思議もない
カチャ
そのときドアが開き、父が顔を出す
清士郎
清士郎
ほんの一瞬、目を丸くしたような気がした
その後鍵はやっぱり“彼“のものだと判明する
清士郎
父は“彼“に連絡し家を出た
冴夏
冴夏
何事もありませんように、とだけ祈っておく
秋分の日
親戚からリンゴが送られてきた
おすそ分けのためリンゴを届けに行く
“彼“にとってひさびさのオフだ
冴夏
家の前でひとりのおばあさんがたたずんでいる
なんとなく気品があった
冴夏
思いきって声をかけた
冴夏
おばあさんはハッとしたように振り返る
老女
老女
老女
冴夏
首を横に振り、知り合いの家だと告げた
冴夏
冴夏
老女
老女
冴夏
老女
老女
おばあさんはふふっと照れ隠しに笑った
一瞬ピアノを弾いているのは“彼“かと思ったが、違うと思いなおす
冴夏
ピンポーン
呼び鈴を押すと、しばらくしてドアが開いた
マヌエル
冴夏
マヌエル
冴夏
リンゴの入ったビニール袋を手渡す
マヌエル
玄関に黒い革靴が視界に入った
わたしの視線に気付いたのか、“彼“は申し訳なさそうな顔をする
マヌエル
マヌエル
冴夏
冴夏
二言三言話すとわたしは“彼“の家を出た
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