この大陸は
我らの姫様によって管理されている
皆、姫様を慕っており
そこに一切の穢れがない
その忠誠心は、見事だ
……だが、それと同時に得たものがある
それは姫様専属の眷属になりたい
という願望だった
現在姫様の眷属の方はたったの2人
先代の桜姫は国民全てを眷属としたのに
姫様はそれを嫌がった
故に、眷属の価値が上がった
昔こそ、姫様の眷属になりたいと言う者は多かった
城に列ができるほど沢山居たのだ
だが、皆が思っていたのは
姫様の「1番の」眷属になることだった
それを、我らだけは否定した
我らは1度、「死から離れた国」を追放された吸血鬼である
姫様に内緒で行っていた実験が姫様の逆鱗に触れ追放された
だが、我らは忘れなかった
我らに怒った姫様の美しいお顔を
ずっと憧れていた
かの御方の眷属になること
どれほど幸せなのだろう
姫様に気に入られるためならどんなことだってやって見せる
それが心の底に刺さっていた
そして、時は流れ姫様が玉座に戻られた
この気を逃す訳にはいかないと思った
姫様は国民に冷たく当たり、嫌っていると聞いた
何せ、血も涙もない冷酷な吸血鬼の女王だと
そんなに嫌なら、我らが貴女様の剣となりましょう
作戦はすぐに実行に移した
暴れれば、殺せば
我らにお褒めの言葉を下さる
そのためにここまで来ていただけると信じている
我らはずっと、吸血鬼について研究をしていた
故に、吸血鬼の弱点なんて分かりきってる
殺した、沢山
血の海が出来た頃、異質な雰囲気を纏った2人が来た
全て、計画通り
ウピル
ウピル
ウピル
ウピル
ウピル
ウピル
ウピル
ウピル
ベリアル
生き残った国民達を庇う形で前へ出てくる
姫様はそんなこと望んでないだろう?
だって、あの方は国民が嫌いなのだから
あの方にとって、無能は邪魔なだけなのだ
それを排除してこその、眷属
主様のご命令が無くとも、働くのが眷属
お前らは、眷属失格だ
ウピル
ウピル
ベリアル
ウピル
ウピル
ウピル
その瞬間
柔らかい花の香りが、戦場を包んだ
ウピル
全ての吸血鬼が跪く
怪我をしている子供ですら、ひれ伏すのだ
あの方こそ、我らの姫様
姫様の通る道に、なんの障害すらない
……はずなのに
姫様のマントの裾を掴んだ子供が居た
次の瞬間には踏み込んで切り付けた
……はず、なのに
響いたのは、悲鳴ではなく
澄んだ刀の音だった
クルト
クルト
その日は特にすることがなく、久々の平和を噛み締めていた
……あの時までは
国中で悲鳴が止まらない
まぁ、これだけなら日常茶飯事だからどうでもいいなと思っていたのだけど
なにか、どうも様子がおかしかった
皆、必死だった
ボクの国の連中は、いざと言う時にボクを頼らない
まるで意味がわからない
それでも、観察くらい必要だろうと思ってウピルとベリアルを外に出した
少しして、ウピルが命に関わる致命傷を受けたことを知った
眷属はこういう時に便利である
そして、外を見てびっくりした
……血の海だった
動かない奴がいる
……吸血鬼が、死んだ?
外に出て、治せるだけの人を治しながらただ走る
吸血鬼を殺せる?
先代の眷属とはいえ、強いのだ
生命力が桁違いだ
今までどんなことをしても生きてたのに?
なんで、なんで死んだ?
ウピル達の場所に行って、全てを察した
そこには、いつものように跪く皆の姿が
そしてその奥で、かつて追放した奴が居た
なるほど、黒幕か
少しずつ、歩く
とにかく、許せなかった
国民達になんてことを
自分が愚かで、ただ許せない
歩いていると、マントを掴まれた感覚がして止まる
そこには、ウピルの返り血を大量に浴びた子供が居た
きっと、ただ守ろうとしてくれただけ
ウピルが変なトラウマを植え付けたな?これは
走り出した感覚がして、金木犀という名の愛刀で受け止める
ボクは、クルト
この大陸、「死から離れた国」の3代目国王であり
国民達を、守る義務がある吸血姫だ
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
ウピル
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
ベリアル
ウピル
ウピル
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
ベリアル
クルト
クルト
ベリアル
ベリアル
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
ベリアル
クルト
ベリアル
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
ベリアル
ベリアル
クルト
クルト
ベリアル
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
分かってる
こんなことしても無駄なことくらい
それでも、怒らずにはいられなかった
不安の種は、潰しておかないと
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
……あいつが来たなら、国民達は大丈夫
こいつの処理は……
クルト
クルト
とにかく、冷静にならないと
……でも、本当にどうしようか
「陰りの段位」の奴らに頼んでもいいけど…
クルト
クルト
ベリアル
クルト
クルト
ベリアル
ベリアル
クルト
クルト
ベリアル
クルト
ベリアル
ベリアル
クルト
クルト
クルト
クルト
ベリアル
クルト
クルト
ただ、無言で歩く
話すことなんて無い
こいつらの処罰は決まったのだ
それにしても、随分大人しく着いてくる
……ボクが命令してるから?
クルト
クルト
クルト
つまらない
ただ、その一言に尽きる
興味を失い、無言で歩いた
しばらく歩いて、少し広めの部屋で止まった
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
あぁ、こいつらだったのか
「アシッド教の狂った吸血鬼の研究者」
そんなもの、大陸には居ないから不思議に思ってた
……こいつらが
アベリア
クルト
アベリア
クルト
アベリア
アベリア
クルト
アベリア
クルト
アベリア
アベリア
アベリア
クルト
クルト
アベリア
クルト
クルト
クルト
クルト
アベリア
アベリア
アベリア
クルト
アベリア
クルト
ベリアル
ベリアル
クルト
クルト
アベリア
クルト
アベリア
アベリア
アベリア
アベリア
アベリア
アベリア
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
アベリア
アベリア
クルト
クルト
クルト
アベリア
クルト
クルト
クルト
クルト
アベリア
アベリア
クルト
クルト
アベリア
アベリア
アベリア
クルト
クルト
クルト
クルト
クルト
アベリア
クルト
アベリア
アベリア
クルト
アベリア
アベリア
アベリア
アベリア
アベリア
アベリア
アベリア
クルト
クルト
アベリア
アベリア
アベリア
クルト
アベリア
クルト
クルト
アベリア
アベリア
アベリア
アベリア
アベリア
アベリア
アベリア
アベリア
コメント
3件
『巫女様の世界』のクルトさんはいじられキャラだし何しても許されるけど、「死から離れた国」の王であるクルトさんはしっかりしてる王様だからギャップがえげつない……😖✨ クルトさんの個人のお願いを聞く「陰りの段位」の皆さんがクルトさんを大切に想っていることが伝わってくるし、何より信頼し合ってるのがいいな、って思える関係性なのが素敵だなって思った!!