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山都大輝

ここだな!

風間小夏

うん・・・

風間小夏

教えてもらった住所

風間小夏

間違い無いよ

山都大輝

じゃあ・・・

風間小夏

うん・・・

クロ

・・・・・

大輝はインターフォンを押す

ピンポーン

インターフォンの スピーカーから 女性の声が聞こえてきた

    

はい?

山都大輝

あ、いきなり
申し訳ありません

山都大輝

俺たち蒲田・・・

山都大輝

下の名前なんて言うの?

山都大輝

下の名前!

山都大輝

おい!クロ!

クロ

重雄だ!

山都大輝

あ、重雄ね!

山都大輝

はいはい、重雄ね
わかった!

    

あの・・・

山都大輝

あ、すいません

山都大輝

俺たち

山都大輝

蒲田重雄さんに
用があって

    

父に?

山都大輝

えぇ・・・

山都大輝

その、昔お世話に
なった事がありまして

山都大輝

近くに来たんで
挨拶をしたくて・・・

    

・・・・・

風間小夏

どうしたの?

山都大輝

いや・・・

    

と、とりあえず

    

お上がりください

山都大輝

あ、はい・・・

山都大輝

ありがとうございます

山都大輝

お邪魔します

風間小夏

お邪魔します

 

・・・・・

 

あの・・・

山都大輝

はい?

 

そちらの猫は?

クロ

・・・・・

山都大輝

あ、こいつらは・・・

 

・・・・・

 

もしかして

 

父が可愛がっていた
あの野良猫ですか?

山都大輝

え・・・

 

猫をウチに入れないで!

風間小夏

え?

山都大輝

・・・・・

山都大輝

話は聞かせていただきました

 

話?

山都大輝

町内会の・・・

 

それ以上は
言わないでください

山都大輝

・・・・・

 

とりあえず挨拶
だけでしたら

 

どうぞ・・・

クロ

やはり俺たちは
歓迎されていないか

ハル

まぁ、無理もないか

山都大輝

悪いなお前ら

山都大輝

ちょっと
待っててくれ

クロ

わかった!

 

山都大輝

お前らの気持ちは

山都大輝

俺と小夏ちゃんが
伝えてやるからさ

クロ

ああ・・・

 

あの・・・

山都大輝

はい?

 

もしかして
あなた・・・

 

父と同じなんですか?

山都大輝

同じ?

 

あなた・・・

 

猫の言葉を
理解できるんですか?

山都大輝

え?

 

いや、その

 

今、明らかに
会話をしていたように
感じたもので・・・

山都大輝

・・・・・

山都大輝

信用して
もらえないと
思いますけど

山都大輝

実はそうなんですよ

 

・・・・・

山都大輝

実は俺が蒲田さんに
会いたいわけじゃなくて

山都大輝

こいつらが
もう一度蒲田さんに
会いたいと言うもので

 

・・・・・

山都大輝

蒲田さんが
こいつらを

山都大輝

町内会の人間から
守ってくれていた
おかげで

山都大輝

今のこいつらが
あるので

 

・・・・・

 

入れてください

山都大輝

え・・・

 

猫もご一緒にどうぞ

山都大輝

・・・・・

 

先程は感情的に
なってしまい

 

申し訳ないわ

山都大輝

いえ、そんな

 

私は蒲田重雄の娘

 

水脇雅子です

山都大輝

あ、山都大輝といいます

風間小夏

風間小夏と言います

山都大輝

この黒猫がクロ

山都大輝

白猫がハルで

山都大輝

三毛猫がルプです

 

さぁ、どうぞ

山都大輝

え・・・

風間小夏

これって・・・

水脇雅子

父はつい二ヶ月前に
亡くなりました

山都大輝

そんな・・・

クロ

カマじい・・・

ハル

そんな・・・

ハル

嘘だろ・・・

ルプ

・・・・・

水脇雅子

父は亡くなる間際まで

水脇雅子

ある事を後悔していました

山都大輝

ある事を?

水脇雅子

そこの黒猫・・・

水脇雅子

クロちゃん
でしたっけ?

山都大輝

クロ?

クロ

俺か?

水脇雅子

どうやら父は
その子に

水脇雅子

名前をつけてあげると
約束をしていたそうで

山都大輝

・・・・・

クロ

カマじいは

クロ

覚えてくれて
いたというのか?

山都大輝

・・・・・

風間小夏

ぐず・・・

山都大輝

小夏ちゃん・・・

水脇雅子

あとこれを・・

水脇は大輝に 一枚の封筒を 手渡した

山都大輝

これは?

水脇雅子

父からの手紙です

山都大輝

手紙?

水脇雅子

ええ・・・

水脇雅子

猫たちに当てた

クロ

俺たちに?

ハル

カマじいが?

山都大輝

・・・・・

水脇雅子

読んであげてください

ルプ

ヤマト氏!

風間小夏

大輝くん!

山都大輝

ああ・・・

大輝は封筒の封を丁寧にきり 手紙を音読する

みんながこの手紙を 読んでいるときにはワシは もうこの世にはおらんだろう

そもそもこの手紙が お前たちの手元に 届くかどうかも疑問だ

しかしどうしても この気持ちを手紙として残したい

ワシはお前たち猫に 恨みなどこれっぽっちも 抱いてはおらん

むしろ感謝している

娘が巣立ち、女房に先立たれ 天涯孤独を覚悟していたワシに お前たちは生きる希望を与えてくれた

まるで孫ができたような 気分だったよ

毎日が楽しかった

お前たちと過ごす時間だけ 年齢をわすれ 年甲斐もなくはしゃいどった

ワシが街を出たのは お前らのせいじゃない

これだけは間違えるな!

しかし、ひとつだけ 後悔しとる事がある

黒猫

奴にだけ、名前を 与えてやれんかった

自分の家族、孫同然に 思っておった黒猫に 名前を与えてやれんかった

それだけが唯一の 心残りだ

しかだって、この手紙という かたちではあるが 名前を与えてやりたい

この手紙が黒猫に 届くと信じて

山都大輝

・・・・・

風間小夏

終わり?

山都大輝

いや、もう一枚ある

山都大輝

!!!!!!!

クロ

どうしたんだ?

水脇雅子

・・・・・

山都大輝

クロの・・・

山都大輝

名前が書いてある・・・

クロ

俺の?

山都大輝

読むぞ

クロ

ああ、頼む

黒猫・・・

黒猫だからクロだとか そんな適当な名前を 与えたりはしない

黒猫・・・

お前さんは、名前など 必要ないと 言っておったが そうはいかん

お前さんはワシの家族だ

お前さんは ちょっとひねくれた奴じゃ

たまに人の神経を 逆撫でする言葉を言ったり

人を小馬鹿にする 発言をする奴だ

しかしだな、お前さんは 素直で正直な奴だ

そりゃ、人から 勘違いされたりするかもしれん

しかしお前さんは 感謝の気持ちや謝罪の気持ち

それらを恥ずかしがらずに 素直に言葉にできる奴だ

それはお前さんの 長所だ

物事のシロとクロを はっきりと分ける事がでる 素直な奴だから

お前さんの名前は

クロだ!

クロ

結局クロじゃないか!

山都大輝

あはははは

クロ

黒猫だから
クロじゃないとしても

クロ

結局はクロ

クロ

クロになった
経緯が違うだけで

クロ

最終的には
クロじゃないか!

クロ

テキトーなヤマトと
何も変わらないじゃないか

山都大輝

おい!

山都大輝

テキトーって
言うな!コラ!

クロ

まったく・・・

クロ

カマじいは・・・

水脇雅子

あの人は

水脇雅子

父はあなたたちを
本当の子供のように
思ってたみたいね

水脇雅子

娘の私が嫉妬
するほどに

山都大輝

・・・・・

水脇雅子

お線香・・・

水脇雅子

あげてやって
ください

山都大輝

はい!ぜひ!

山都大輝

まったく
笑わせてくれたな

山都大輝

あの爺さん

風間小夏

面白い人
だったんだね

風間小夏

カマじいって

クロ

相変わらずだったな

クロ

でも・・・

山都大輝

なんだ?

クロ

会えはしなかったが

クロ

カマじいは
変わってなかった

クロ

俺たちの事を
大事に思っていて
くれていた

クロ

それがわかった
だけでも良かった

クロ

ありがとうな
ヤマト

山都大輝

どうしたんだよ!急に

クロ

ヤマトがいなかったら

クロ

こうやって
カマじいの手紙を

クロ

読むことは
叶わなかった

ルプ

そうで
ございまするな

ルプ

ヤマト氏には
感謝しても

ルプ

しきれないで
ございまするよ

山都大輝

やけに素直だな
お前ら

ハル

・・・・・

山都大輝

どうした?

山都大輝

ハル・・・

ハルはおもむろに 大輝の背中によじ登る

山都大輝

いだだだだ

山都大輝

なんだよハル!

ハル

たまには
いいだろ!

山都大輝

どうした!
らしくねぇな

風間小夏

今日は甘えたい
モードなのかな?

風間小夏

ハルちゃん

山都大輝

どういう
風の吹き回しだ?

ハル

いいじゃねぇか!

山都大輝

まぁ、いいけどよ

山都大輝

あ、そうだハル

ハル

なんだ?

山都大輝

あした病院行くぞ

ハル

え?病院?

山都大輝

お前最近なんか
様子が変だからな

ハル

病院は嫌だ

山都大輝

バカ!

山都大輝

意地でも連れて行く
からな!

ハル

う・・・

風間小夏

そうだよ!
ハルちゃん!

風間小夏

最近ハルちゃん
元気ないから

風間小夏

大輝くんも
心配してるんだよ

ハル

う・・・

ハル

わ、わかった

山都大輝

よし!決まりだな

山都大輝

ぶっとい注射打って
魔改造してもらおう

ハル

魔改造・・・

風間小夏

バカ!バカ!バカ!

風間小夏

大輝くんのバカ!

風間小夏

そんな怖い事
言わないの!

風間小夏

ほら!

風間小夏

ハルちゃん
震えてるじゃん

ハル

魔改造・・・

ハル

注射・・・

山都大輝

冗談だよ!冗談!

風間小夏

もう・・・

あした病院に連れて行けば 大丈夫!

医者に診てもらえば きっと大丈夫だ!

そう思っていた

次の日

俺は小夏ちゃんに 叩き起こされるカタチで 目を覚ました

風間小夏

大輝くん!

風間小夏

大輝くん!

風間小夏

ねぇ!起きて!

山都大輝

え?なに?

山都大輝

なんかあった?

風間小夏

なんかあった
どころじゃないの

山都大輝

は?

風間小夏

ハルちゃんが

風間小夏

なんか様子が
おかしいの

小夏は目にうっすらと 涙を浮かべながら 大輝に訴えかける

山都大輝

え?

風間小夏

あれ・・・

風間小夏

ハルちゃん

風間小夏

死んじゃうんじゃないの

山都大輝

ハルが?

「死」

その言葉が聞こえてきた瞬間 大輝はベッドから 飛び起きリビングに向かう

風間小夏

あれだよ!大輝くん!

クロ

ヤマト!

クロ

ハルが・・・

山都大輝

こ、これは・・・

そこには 驚愕の光景が 広がっていた

ハルは口から 涎を垂らしながら

四肢をばたつかせ 痙攣していた

ハル

う・・・・

ハル

体が・・・

風間小夏

ねぇ!これなに?

風間小夏

どうなってるの?

風間小夏

ハルちゃんに
何が起こってるの?

山都大輝

これは・・・

山都大輝

癲癇(てんかん)
に間違いない!

To Be Continued

ばいりんきゃっと

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