モヒート
あーあ
モヒート
今日も仕事かぁ…
なんて、今日も思っていると
モヒート
……あ?
モヒート
…なんでここに?
モヒート
メトシュラ
メトシュラ
あー、いや、その…
メトシュラ
ちょっと助けて貰えません?
モヒート
は?
いきなりどうした…なんて思いつつ
こいつが切羽詰まった顔するなんて珍しいから
モヒート
……まぁいいや
モヒート
案内、よろしく
気になってついていくことにした
メトシュラ
……ありがとうございます
メトシュラ
こっちです
モヒート
……なにこれ?
モヒート
どういう類の冗談?
メトシュラ
冗談だったら笑ってます
メトシュラ
冗談じゃないですよ
メトシュラ
……どうにか、出来ます?
目の前に横たわっているのは
「少女」
……
俺ら、「陰りの段位」の頂点で
この大陸の頂点の
「調停者」……というか
「少女」だった
モヒート
……つか、この人って死ぬの?
モヒート
見た感じただ息止まってるだけだけど?
メトシュラ
それって死んだことにならないんですか?
モヒート
少なくとも、この人にとってはな
モヒート
……元々、魂が抜けやすい人なんだよ
モヒート
すげー分かりやすく言うと仮死
メトシュラ
…このまま放置していて大丈夫なんですか?
モヒート
あー、多分?
メトシュラ
多分って…そんな曖昧な
モヒート
仕方ないだろ
モヒート
俺だって魂は専門外だ
メトシュラ
だから…黙って見てろと?
モヒート
今のところはそれしかない
モヒート
まぁ、とちらにしろ
モヒート
……死ぬってなったら、意地でも生き返らせてやるけどな
仮にも、ここの医者だし
なんて、らしくない単語が頭をよぎって
雑念を振り払うかのように
部屋を後にした
メトシュラ
……
メトシュラ
出ていっちゃった…
メトシュラ
……
メトシュラ
これ、ほんとうに大丈夫なんですか?
メトシュラ
お姫様
クルト
お前までその呼び方かよ…
クルト
……まぁ、結果から言うとモヒートの言う通り
クルト
…「少女」は、死ねないから
メトシュラ
……そうですか
メトシュラ
じゃ、俺ももう行きますね
メトシュラ
じゃあ、あとはお願いします
クルト
……
クルト
はぁ、素直じゃない人
クルト
ね?「少女」ちゃん
「少女」
……
「少女」
せっかく黙ってたのに
「少女」
…あの二人、どう?
クルト
「陰りの段位」として申し分ないかな
クルト
少なくとも、君に対する情は厚いらしい
「少女」
それは、困ったね
そう言って、クスッと笑う
クルト
…聞いてたでしょ?2人の話
「少女」
もちろん
「少女」
不思議な人だね
「少女」
きっと「世界」が聞いたらびっくりするよ
クルト
いい加減君の仮死状態も辞めて欲しいけどね
「少女」
多分それは無理だよ
「少女」
「世界」は…
「少女」
私のことが、嫌いだからね
「君達とは違って」
なんて一言は
肺の奥にでも閉まっておいて
病院特有の消毒液の香りに
懐かしさを感じて
気を良くして、眠った
クルト
……
クルト
おやすみ、いい夢を