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もうすぐ冬が来る
罪悪感を抱きつつもマネージャー業をこなす日々が続いた
マヌエル
マヌエル
清士郎
清士郎
清士郎
マヌエル
清士郎
マヌエル
マヌエル
清士郎
マヌエル
清士郎
マヌエル
《明日はロケ当日。 草津に一泊予定。 夜にはある程度は自由になるから、せっかくだし露天風呂でも入ろうかな。 清士郎には内緒で──》
日記はそこで終わっていた。日付は事故の前日
ページをそっと閉じる
冴夏
そして日記帳をショルダーバッグの中に入れた
当人たちに返さなければいけない気がして…………
冴夏
部屋を飛び出し一階へ下りる
テーブルの水挿しからアイビーを取り、マヌエルの家を後にした
日記帳とアイビー
咄嗟とはいえ持ち出してしまった
冴夏
冴夏
探せばやってくれるところあるかな?
頭をしぼりながら歩く
不思議と誰にも会わなかった
通行人でさえも──
ショルダーバッグのポケットからチンアナゴのキーホルダーがのぞかせている
冴夏
冴夏
きょろきょろ
冴夏
考えながら歩いたせいか見覚えのない場所に迷い込んでしまった。目の前に空き地がある
冴夏
空き地のど真ん中でぱちぱちとたき火が燃えている。それに当たるように人影が立っていた
?
?
人影が振り返る
前髪で目は隠れてるが人懐っこそうに笑っているのがわかった
冴夏
黒装束の袖から覗く両手首には傷痕があった
?
?
火バサミを灰の中に入れ、何かを取り出す
?
それはアルミホイルに包まれた焼き芋だった
焼き芋の匂いが鼻腔をくすぐる
冴夏
?
焼き芋を半分に割り冴夏に手渡す
?
相手は焼き芋を一口ほおばる
?
?
冴夏
?
?
?
?
冴夏
?
?
心を見透かされたように一部始終を話していた
“彼“と自分の父の関係、日記帳、チンアナゴのキーホルダー付きの鍵、そしてアイビー
?
一通り話し終えると相手は合点がいったような顔をした
?
冴夏
わたしはこくりとうなずいた
?
たき火に指をさす
?
冴夏
?
にこ
ショルダーバッグから日記帳を2冊取り出し、たき火にくべた。日記帳は炎に包まれぼうぼうと燃え盛る
冴夏
冴夏
チンアナゴのキーホルダーが付いてるし目立ってしまう。母と妹の目に触れさせるわけにはいかない
?
?
鍵を相手に手渡すと、アイビーをたき火の前にかざした
?
冴夏
突然のことで少し戸惑う
?
“死んでも離れない”
?
冴夏
わたしはアイビーを火の中に入れ、ぼんやりとたき火を見つめた
どうやって家へ帰ってきたのか正直言って覚えていない
気づいたときには自分の部屋にいた
日記帳もチンアナゴのキーホルダー付きの鍵も、もちろんアイビーもない
冴夏
まるで夢うつつのようだった
4日後
葬儀は滞りなく行われた
葬儀屋の説明によりマヌエルと父の遺体はかなり損傷が激しかったらしく、病院側の配慮で『見ない方がいい』と袋の中に入れられ、そのあと納棺されたそうだ
冴夏
2時間後、遺体は荼毘に付された
やっとふたりは──
誰にも邪魔されないところへ逝けた