短編

今日も目が覚めて

何か食べないと

そんな、使命感でキッチンに立った

父が居なくなって

お母さんが死んでしまった日から

ずっと、一人暮らし

お母さんのご飯が、どれだけ暖かったのか

…居なくなってから、理解するなんて

あの時から、ずっと思ってる

父が居なくなったのは、僕のせい

それのせいでお母さんは……

……憎かっただろうな

キッチンに立てば、必ずある刃物

それで、刺せばよかったのに

やりたくなかったのか

こんな子供のせいで罪に問われるのが嫌だったのか

……それとも、優しかっただけなのか

今となっては、確かめることすら出来ない

食欲が無くなったから

もう、食べなくていいか

そんなことを思って

また、今日も何も食べない