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コメント
1件
うわ……これ、めっちゃ怖いですね😨 焼肉の平和なシーンから一転して、青木さんのメッセージの羅列がもう狂気そのものだなって思いました。73件も着信とメールが来てて、しかも「早坂と一緒にいるのか」って確信してる感じがぞっとする。早坂さんに手を出すんじゃないかって不安になる遥の気持ち、すごくわかります。このじわじわくる恐怖描写が桃下さんらしくて、続きが気になりすぎます……!🥀
#執着
猫とろ
754
桃下結衣
491
#ロマンスファンタジー
Jasmine
903
#狂愛
柏木さくら
1,928
私はいまだにマンションへ戻っていない。
職場にも顔を出していない。
現時点で青木さんと再会する予定もない。
唯一の連絡手段はスマホだけだ。
ちゃんと別れ話をしないと。 そう思っていたけれど、もし青木さんが私に接触してこないのであれば。
このまま、何も言わずに縁を切ってしまうのもアリなのかな……なんて思えてきた。
それほどまでに、平和で穏やかな日々だったから。
"このまま自然消滅してしまえば……"
そんな甘いことを考えて、すぐに生温い思考を打ち消した。
青木さんとの関係に終止符を打たなきゃいけない、その決意が、今更揺らぐことがあってはならない。
これは青木さんの為でもあるんだ、そう自分を納得させる。
かなえ
早坂
早坂
そんな会話が聞こえてきて顔を上げる。
2人が話しているのは、1月半ばに行われる、衆議院議員総選挙の事だろう。
今は正月特番ばかりで、その手のニュースは控え気味。
あと数日も経てば、テレビの話題は一気に選挙に持っていかれる。
街中には選挙カーが走り回り、マイクの騒音に悩まされる日が来るんだろう。
そう思うと、少しだけ憂鬱になった。
――――向かい合わせに座る早坂に、そっと視線を移す。
かなえちゃんの皿に肉や野菜を盛り付け、甲斐甲斐しく世話をする早坂の瞳は真剣そのものだ。
その眼差しに胸が高鳴る。
遥
見慣れたはずの表情も瞳も、好きと自覚すれば景色も変わる。
早坂
私の視線に早坂も気がついたようで、ぱちりと目が合ってしまった。
遥
早坂
鳩が豆鉄砲をくらったような顔をしてる。
一拍置いたあと、ふいっと視線を逸らされた。
早坂
早坂
かなえ
早坂
かなえちゃんに鋭く指摘されて、むすっとした態度で接する早坂が幼く見えて頬が緩む。
今まで見向きもしなかった彼の、新たな一面を知る度に目が離せなくなる。
早坂の存在が、自分の中心になっていく。 それが、こんなにも嬉しいなんて。
こんな風に早坂を想う日がくるなんて、少し前までは想像すら出来なかった。
遥
……けれど。
そんな私の思いは無情にも、この数分後に砕かれることになる。
・ ・ ・
遥
ショートメールの受信を知らせるランプが点滅していることに気づいたのは、焼肉パーティーを始めてから2時間後のことだった。
途中で飲み物が無くなり、追加分をキッチンへ取りにきた際に気付いた。
遥
虫の知らせというやつだろうか、この時から嫌な予感はしていた。
そして、こういう勘は大体当たる。
メッセージの相手は案の定、青木さんからだった。
しかも、着信まできてる。
マナーモードにしていたから気づかなかった。
遥
重々しい気分で画面をタッチする。
今はまだ、彼に会うのが怖い。
でも、このまま逃げ続けるわけにもいかない。
それに少しだけ、期待してた。
ここ最近音沙汰がなかったのも、もしかしたら、彼も自分の行いを反省しているのかもしれない。 私との関係を、考え改めようとしてくれているんじゃないか、と。
そんな願望を抱きながら、スマホを見て、
――――絶句した。
遥
遥
青木
青木
青木
青木
青木
青木
青木
青木
青木
青木
青木
青木
青木
青木
青木
青木
青木
青木
青木
青木
青木
青木
青木
青木
青木
青木
青木
青木
青木
遥
おびただしい量に息を飲む。
受信したメールの数は、73件を表示していた。
一方的に送りつけてくるメッセージは、新着が来る度に、苛立ちを含ませたものに変化していく。
着信履歴をスクロールしても、し続けても、彼の番号で埋め尽くされていて。
遥
その異常な量に、彼の狂気を見たような気がして身震いした。
遥
遥
最後にスマホを見たのは、焼肉を始めた2時間前。
その間に、これだけ膨大なメールと着信が来ていたことにゾッとする。
もう一度画面に視線を落とした時、ふと、違和感を覚えた。
遥
慌てて画面に指を滑らせる。
スクロールした先に見つけたメッセージを目にした瞬間、さあっと血の気が引いた。
" 早坂と一緒にいるのか "
――――知ってる。 この人、早坂のこと知ってる。
遥
あの夜、私は咄嗟に早坂に助けを求めようと電話をした。
そして青木さんに、早坂の存在を知られた。
それがどんな危険を孕んでいるのか、今まで考えたことはなかった。
遥
メッセージの内容を見る限り、青木さんはあの日以降も、私の部屋に訪れている。
そして早坂が、私の浮気相手だと疑っている。
マンションに帰ってこない私が今どこにいるのか、誰と一緒に居るのか。 青木さんなら、『浮気相手と一緒にいる』と、そう考えてもおかしくない。
そうだ。青木さんは早坂の姿も見ている。
私を助けてくれた際に、部屋で鉢合わせしているはず。
もし青木さんが勤務先に現れたら、早坂が同じ職場で働いてる人間だということもバレる。
そう思い至った時、背筋が冷えた。
今度は早坂に、手を出すんじゃないかと。
遥
私のせいで、早坂を危険な目に合わせてしまうかもしれない。
考えすぎだと思いたくても、青木さんから届いたメッセージの異常さが、何をしでかすかわからない恐怖を感じさせた。
『切羽詰まった人間ほど、何をするかわからない』
いつか言われたあの言葉が、今度は私以外の人に向けられるなんて……考えたくもない。
早坂
背中越しに響いた声に、びくっと肩が跳ねた。
遥
早坂
早坂が怪訝そうな表情で私を見ている。
一向に戻ってこない私を気にして、様子を見に来てくれたんだろう。
ふっと呼吸が楽になったような気がして、うっかり口を開きかけた直後。
遥
一瞬の躊躇の後、私は慌ててスマホをポケットの中に隠した。
遥
青木さんから連絡が来たことを、今、この場で喋っちゃいけない。
かなえちゃんがいる前で、この話はしたくない。
これ以上、あの子を巻き込みたくない。
早坂
遥
早坂
早坂はそれ以上、何も言わなかった。
何か言いたげな顔をしてたけど。
私が咄嗟に隠した嘘に付き合ってくれるらしい。
けれど早坂の事だから、きっと何かを察してる。
それでも、私が言いたくない事情を汲み取って、あえて触れないでいてくれる。
その気遣いが、今はありがたかった。
後ろめたさを感じながら、冷蔵庫を開けてドリンクを取り出す。
リビングに戻っても、2人には何も告げなかった。
早坂にも不自然な様子はなく、普段と変わらない態度を貫いていることにほっとする。
だから私も平常心を装った。
……ポケットの中で何度も震える存在には、怖くて一切触れられなかった。