ソーイングぼーい。
自分
毎日の様に作られる青痣。
聞きなれた怒声
もう耳の奥にまでこびりついている
自分
自分
自分
俺の部屋なんてものは当然無い。だから俺はリビングや兄ちゃんの部屋を使って寝る
自分
兄ちゃんは数年前に行方不明になった。
兄ちゃんは凄く優しくて深緑色の髪に赤く澄んだ瞳が美しい青年
自分
自分
そういい床に寝っ転がって腕を めいっぱい広げるとなにやら小さめな箱が手に当たった
兄ちゃんのソーイングセットだ。
兄ちゃんは裁縫が得意でいつも俺に人形や服を縫ってくれたり つまらないパーカーに模様をつけてくれたりした
自分
兄ちゃん
自分
兄ちゃん
兄ちゃんの刺繍は凄く美しくて小さながら憧れた
もしかしたら俺の醜い痣も刺繍で美しく出来るかもしれない
小さい頃に刺繍は兄ちゃんに教わっているから得意だ
俺は中針を自分の腕に突き立てて
刺した
自分
最初だから簡単な薔薇のパッチワークにした。
針で刺して模様を作っているのだから当然血は出る。
だがそれがアクセントになっていてとてもかっこいい
自分
俺は開放感で満たされた
それから俺は痣ができる度に刺繍を増やしてった
腕にリボンを縫い付けたり
お腹に文字を彫ったり
手のひらにクロスされた赤いリボンを結んで針で縫い付けたり
どんなに辛くてもソーイングが出来れば俺は満たされていた
次々にソーイングの刺繍跡が増える俺を皆
『刺繍の化け物』
と呼び、誰も近寄ってこなくなった
自分
休み時間はみんな、それぞれの友達や恋人の教室に行く。
だから教室には俺しかいないのだ。
俯きながら本を読み時には空を眺めての繰り返し。
ただその繰り返しのリズムが一定で心地よい
そんな時に五人くらいの人が俺に駆け寄ってきた
五人
自分
五人
心地悪い笑みを浮かべた集団は俺の幼なじみだが話すことの無いみことの席へ駆け寄った
みことに俺は密かに思いを寄せている
五人
五人
好きなだけみことの私物を切ったり破ったり汚したりして彼らは去っていった
自分
俺は居てもたってもいられなくなりみことの教科書と自分の教科書をバクって置いたりした
だが、体操服やポーチは流石にバレる。
縫うことにした
自分
自分
こういう大事な時に限って失敗はするもんだ。
俺は指を針で刺してしまった
が、いつも縫ったり刺したりしてるから痛みは感じない。
ただひたすら血が血管にそって零れていくのを感じなから
手を動かした
自分
みこと
自分
一言呟き、俺の肩に顎を乗せていた人物はまさかのみことだった
自分
みこと
自分
みこと
そう言い、彼は自分の唇を俺の唇に近付けてきた
自分
自分
みこと
みことは怪訝そうな顔をしてみことの唇と俺の唇を重ね合わせた
自分
みこと
みことはかわいらしく舌を出して俺に謝った
自分
みこと
自分
みこと
みこと
みこと
自分
みこと
自分
それから彼は俺の側によく居るようになった
みこと
自分
みこと
自分
みこと
自分
みこと
自分
みこと
自分
一瞬目が合うだけでも顔が赤くなるのが分かる
みこと
自分
どんなに幸せな時間が多くなったとは言えど刺繍癖が治る訳ではない
俺は、気付けばつぎはぎだらけの人間とは言い難い奴になっていた
自分
自分
どんなに願っても一度ハマってしまったものから抜け出すのは凄く難しい
最近、みことはクラスメートとのボディシップが多い。
俺という存在が居るのに。頑張って頑張って刺繍癖も抑えようとてるのに
みこと
自分
みこと
みこと
自分
ほら。俺とみことを縫い合わせちゃえば
いつでもずぅっと一緒に居られるじゃんッ♪
俺は隣で静かな寝息をたてて可愛く眠る彼にそっと針を突き立てた
自分
みこと
自分
みこと
そう言ってみことは俺を優しく抱きしめてくれた。
自分
自分
みこと
自分
みこと
こんなに感情を表に現したのは初めてだった。
俺は夕方、二人きりの教室でみことへの愛が強まった。
??
あれから、数年たった今、刺繍癖は治った。
今までつけてたリボンやチャック、ボタンなどは取ったが未だに傷跡が残っているところはある。
自分
自分
??
自分
いるま
すち
いるま
自分
こさめ
自分
なつ
こさめ
自分
??
自分
みこと
自分
こさめ
なつ
すち
いるま
みこと
いるま
自分
ありがとう
ソーイングぼーい。
… 𝗍𝗁𝖾 𝖾𝗇𝖽
コメント
43件
あ、なく……めっちゃ好き
ふつーに泣けました……(´;ω;`) 最高でした👍ありがとうございます!!