父が交通事故に遭い亡くなった
そして同乗者していた“彼“も……
初めて“彼“と出会ったのはわたしが9歳で、妹の萌映(もえ)が5歳か6歳のときだった
マヌエル
人懐っこそうな笑みと清潔感のある身だしなみ
冴夏
年齢不詳のハーフ。髪を腰まで伸ばしていたから最初は女の人だと思ってたけれど、父から男だと言われびっくりしたことを覚えている
マヌエル
“彼“は当時、父──ピアニスト伊苅清士朗(いかりせいしろう)──のマネージャーになったばかりだった
1年後
冴夏
マヌエル
“彼“とは家族ぐるみでなかよくなった
仕事上の関係で“彼“と父はいつも一緒にいる
マネージャー業は大変な仕事だと聞いて、ちゃんと休めているのかちょっと心配になる
マヌエル
休日でも父との仕事の打ち合わせなどで家にやってくる
母の信頼も厚く、時間さえあればわたしと萌映の遊び相手になってくれた
冴夏
マヌエル
マヌエル
マヌエル
冴夏
マヌエル
マヌエル
それから半年後──
冴夏
玄関前で鍵を取り出そうとポケットをまさぐる
が、そこにあるはずの鍵がなかった
冴夏
冴夏
通学路へと戻り、鍵が落ちてないが必死に探す
冴夏
?
?
顔をあげると、“彼“がたたずんでいた
冴夏
事情を説明する
マヌエル
冴夏
マヌエル
マヌエル
冴夏
冴夏
マヌエル
マヌエル
にこ
しばらく通学路を中心に鍵を探したが、見つからなかった
マヌエル
冴夏
首を横に振る
マヌエル
日没が近づいていく
暗くなれば鍵を探すどころじゃなくなる
マヌエル
マヌエル
マヌエル
マヌエル
マヌエル
マヌエル
わたしはこくりと頷いた
“彼“はショルダーバックからスマホを取り出し、事情を伝えるため母に連絡した
二言三言交わすと通話を切る
マヌエル
冴夏
なんだかホッとした
マヌエル
歩いて数分後、“彼“の家に着いた
二階建ての一軒家
玄関のドアを少し開けて、“彼“はぴたっと固まった
冴夏
マヌエル
マヌエル
マヌエル
勢いよくドアを閉めた
5分後
ドアが開く
マヌエル
息を切らしていた
冴夏
冴夏
テーブルの上に水挿しが置いてある
マヌエル
冴夏
マヌエル
冴夏
マヌエル
きょろきょろと見回すと奥の部屋のピアノに目が引く
冴夏
マヌエル
マヌエル
マヌエル
冴夏
マヌエル
マヌエル
お盆の上にマグカップが3つ並んでいる
冴夏
首を傾げる
今この部屋にいるのは自分と“彼“だけだ
あと1つは……?
マヌエル
冴夏
マヌエル
冴夏
マヌエル
そう言って“彼“は二階へ上がっていった
しばらく経って母が迎えに来てくれた
わたしたちは“彼“にお礼を言い、あとにした
コメント
7件