「 」
今、私は人生最大の悩みを抱えている
目の前の小瓶
「恋を消す」といういかにもな薬である
それにのせられる自分も自分である
だが、これには正当な理由があった
「 」
実は私、恋などがした事ないのである
一応貴族と呼ばれる人であり
将来はお見合いが決まっている
故に、恋愛のれの字すら知らない
だが、気がついてしまったのだ
自分の騎士に対する想いに
恋愛なんて微塵も知らない自分からすればこの感情の何もかもが分からず
確かめる方法をずっと探していたのだ
……そう
つまり、この想いが「恋」なら
この小瓶で消えるはずなのだ
自分は、腐っても貴族の姫だ
「 」
「 」
今日は何も用事などなく
部屋に1人である
飲むなら、今しかない
「 」
「 」
「 」
けど、これも役目
腹を括り、飲もうと思った瞬間
「 」
その男は、現れた
「 」
「 」
「 」
「 」
「 」
「 」
「 」
「 」
「 」
身長差とは、無慈悲である
呆気なく瓶は彼の手へと収まった
「 」
「 」
「 」
「 」
「 」
「 」
「 」
「 」
「 」
「 」
「 」
「 」
「 」
「 」
「 」
「 」
お茶にまんまと釣られ
浮かれていた私は
こうして
瓶のことをド忘れしたのであった
「 」
瓶を空け、中身を全て捨てる
そう、実はこの男
この瓶が恋を消す薬だと知っていたのである
「 」
「 」
自分勝手な想いで何を……
と、心の中で懺悔しつつも瓶を洗って一滴たりとも残さないようにする
一体どこの誰を想って飲もうと思ったのかまでは知らないが
もし万が一自分だった場合大変都合が悪い
お嬢がお見合いで相手を選ぶその時まで
1番近くは自分がいい
なんて思って
「 」
なんて悩んだ挙句の果て
「 」
「 」
なんて思ったのも束の間
即座に瓶を割って捨てたのであった
……尚、
今後の人生をこのお嬢様に捧げることになることを
まだ知らないのであった……