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短編

40 - 穢れのないその目で

♥

191

2023年10月12日

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「    」

……

今、私は人生最大の悩みを抱えている

目の前の小瓶

「恋を消す」といういかにもな薬である

それにのせられる自分も自分である

だが、これには正当な理由があった

「    」

……はぁ

実は私、恋などがした事ないのである

一応貴族と呼ばれる人であり

将来はお見合いが決まっている

故に、恋愛のれの字すら知らない

だが、気がついてしまったのだ

自分の騎士に対する想いに

恋愛なんて微塵も知らない自分からすればこの感情の何もかもが分からず

確かめる方法をずっと探していたのだ

……そう

つまり、この想いが「恋」なら

この小瓶で消えるはずなのだ

自分は、腐っても貴族の姫だ

「    」

そこに……愛は許されない

「    」

……うん

今日は何も用事などなく

部屋に1人である

飲むなら、今しかない

「    」

……うわぁ

「    」

甘ったるそ……

「    」

飲みたくない……

けど、これも役目

腹を括り、飲もうと思った瞬間

「   」

……お嬢?

その男は、現れた

「    」

……え?

「   」

いや……こっちが言いたいですよ

「   」

なんです?それ

「    」

……これ?

「   」

はい、そうです

「    」

……これは…その……

「   」

はいはい

「   」

そんな得体の知れないものを飲まないでください

「    」

あっ…ちょっと!

身長差とは、無慈悲である

呆気なく瓶は彼の手へと収まった

「   」

そんなことより

「   」

いいお菓子が手に入ったんです

「   」

お茶もお入れします

「   」

どうですか?

「    」

……分かった行く

「   」

では、もう準備はしてありますので

「   」

どうぞ楽しんできてください

「    」

え?一緒に来ないの?

「   」

この後用事がありまして

「    」

……ほんと?

「   」

はい、本当です

「   」

とっても大事なので

「   」

後からしっかり行きますよ

「    」

ならいいけど……

「    」

先に行って待ってるね

「   」

はい

お茶にまんまと釣られ

浮かれていた私は

こうして

瓶のことをド忘れしたのであった

「   」

(……こんなもの)

瓶を空け、中身を全て捨てる

そう、実はこの男

この瓶が恋を消す薬だと知っていたのである

「   」

(流石にこれは使わせてあげませんよ)

「   」

(……はぁ)

自分勝手な想いで何を……

と、心の中で懺悔しつつも瓶を洗って一滴たりとも残さないようにする

一体どこの誰を想って飲もうと思ったのかまでは知らないが

もし万が一自分だった場合大変都合が悪い

お嬢がお見合いで相手を選ぶその時まで

1番近くは自分がいい

なんて思って

「   」

(……この瓶、何に使おう)

なんて悩んだ挙句の果て

「   」

(いや……)

「   」

……残しておかなくていいか

なんて思ったのも束の間

即座に瓶を割って捨てたのであった

……尚、

今後の人生をこのお嬢様に捧げることになることを

まだ知らないのであった……

この作品はいかがでしたか?

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