コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
誰もいなかったはずの 一本道。
そこには1人の女の子がいた。
足音は聞こえなかった。 いつの間に…?
恐怖と驚きで足がすくむ。
青年
この反応は…気づいてくれた?
それとも自分の思い込み?
目の前の青年に、 恐る恐る聞く。
聞こえる、今度は、ハッキリと。
気がつけば僕は彼女との 会話を進めようとしていた。
目の前の歳もそう変わらない 少女は涙をポロポロとこぼしている。
まくしたてる僕に 彼女は戸惑っていた。 そりゃそうか。
まさか気づいてくれるなんて。
嬉しくて嬉しくて たまらなかった。
気がつけば涙が こぼれてしまっていた。
そこで彼は聞く。
青年
青年
青年
どう答えようか。 自分がなんなのかはわからないし、 名前だってわからない。
わかるのは幽霊ってことだけだ。
青年
青年
青年
青年
青年
青年
青年
青年
青年
青年
青年
青年
青年
青年
…誤解を解くのに時間が掛かった。
青年
青年
青年
青年
青年
青年
それから、僕は 彼女の話を聞いた。
ちょっとした興味本位だ。
病で亡くなったこと。 気がつけば自分の遺体が 目の前にあったこと。
それと、
「彼」のこと。
優しい声とかうんたら言っていた。
幽霊だとか、どうやったら 成仏できるかだとか、 正直僕からしたら 馬鹿馬鹿しいと思えてしまう ほどだった。
今、彼女に真剣に 意見を出している自分が 恥ずかしいとも思えてくる。
彼女はほろ苦く笑った。
何を企んだのか。 彼女はニマリと口角を上げた。
一緒に探す? その男を?
正体もわからない 幽霊と?
彼女はこちらの様子を 伺っている。 いや、違う。 視線による圧をかけている。
自分の弱点だ。 押しに弱い。
「お願い。」
目でそう訴えかけて きているのがわかる。
結構時間がかかるかもしれない。 プライベートがなくなる。 でも彼女は困っている。 断れば幽霊だしなんか 呪ってくるかも。
色々な考えが脳裏をよぎる。
…僕は、押しに弱い。
予定もなく適当に河川を 歩いている途中、 僕はまた彼女に質問を、いや。 再確認をする。
その声の持ち主について唯一 わかってるのが 「男」ただそれだけ。
そう簡単には見つけられないだろう。
「えぇ?」
…
僕は…押しに弱い……。
彼女は僕のスマホに 打ち込まれた 名前の候補を覗き見してきた。
ちひろ なの つみき
「千夏」… そんなもの候補に書いただろうか。
「ち」ひろ 「な」の 「つ」みき
彼女は目を見開き、笑った。
ちなつ…ちなつ…ちなつ!
頭の中で浮かべれば浮かべるほど より素敵な名前に なっていく気がした。
青年
彼はニコリと微笑んだ。 素敵で、どこか儚げな笑顔だった。
そら
そら
そうして私たちの 冒険という名の人探しが 始まった。