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#読み切り
📩 相談
高校二年生・仮名:Nさん
友達が、進路で悩んでいたり、やりたいことについて悩んでいたりするのを見ると、うらやましくなります。
その人たちはちゃんと考えていて、ちゃんと前に進もうとしているように見えます。
でも自分は、何がしたいのかも分からないし、何に悩めばいいのかも分かりません。
将来が不安なのは確かなんですけど、具体的な目標もありません。
だから、焦りはあるのに動けないです。
ちゃんと悩める人がうらやましいです。
日下部
「興味深いな」
遥
「何が?」
日下部
「多くの人は悩みがあることを苦しむ。Nさんは悩みが定まらないことを苦しんでいる」
蓮司
「確かに逆だな」
遥
「でも分かるかも」
日下部
「珍しいな」
遥
「いや、何したいか分かんない時期って不安の正体が見えないんだよ」
蓮司
「戦う相手が分からない感じ?」
遥
「そう。進路で悩んでるやつ見たら少なくとも進路は見えてるじゃんって思う」
日下部
「なるほど」
蓮司
「だからうらやましく見えるのか」
遥
「目標ある人ってさ、迷ってても進んでるように見えるんだよ」
日下部
「実際には止まっている場合もあるがな」
遥
「そういう話じゃない」
蓮司
「まあまあ」
蓮司
「でもNさん。一個だけ言えるのは何がしたいか分からない人って、案外たくさんいるよ」
遥
「めちゃくちゃいる」
日下部
「むしろ高校生なら多数派だろう」
遥
「なのにみんな分かってる風に見えるんだよな」
蓮司
「人前では言わないからな」
日下部
「不確定な状態を表に出さないだけだ」
遥
「あとさ。俺、Nさんって本当に何も考えてない人ではないと思う」
日下部
「理由は」
遥
「何も考えてなかったら、“ちゃんと悩める人がうらやましい”なんて相談送らないだろ」
蓮司
「ああ」
日下部
「確かに」
遥
「たぶん、悩みがないんじゃなくて 悩みが散らかってる」
蓮司
「それだな」
日下部
「進路。将来。能力。人間関係。複数の不安が混在している可能性が高い」
遥
「だから形にならない」
蓮司
「霧みたいな不安だよね」
遥
「そうそう。敵が見えないから動きづらい」
日下部
「しかし、見えている悩みだけが価値ある悩みではない」
遥
「お前、たまにいいこと言うな」
日下部
「たまにではない」
蓮司
「そこ張り合うところじゃないから」
日下部
「Nさんは今、悩みがないのではない。まだ言葉になっていないだけだ」
遥
「だから焦らなくていいとは言わない」
蓮司
「でも、“みんなだけ先に答え持ってる”とも思わなくていい」
日下部
「多くの人は、答えを見つけているのではなく分からないまま進んでいる」
🗝 三人からのことば
遥
「悩みがないんじゃなくて、散らかってるだけかもしれない」
蓮司
「答えを持ってるように見える人も、案外迷ってる」
日下部
「“分からない”は、思考停止ではなく思考途中だ」
コメント
1件
第100話お疲れさまです…! 「悩みがないんじゃなくて、散らかってるだけ」 この言葉にすごく救われる人がいるんだろうなって思いました。形にならない霧みたいな不安、すごくわかる。目標がなくても、ちゃんと考えてるからこそ「悩みすら持てない」って自覚できるんだって気づかされました。 3人のやり取りも心地よくて、特に日下部の“たまにではない”には笑いました☺️ 重くなりすぎず、でもちゃんと寄り添ってくれる100話、素敵でした🥀