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管野アリオ
63
#イケメン
蒼乃 月
486
瑠璃マリコ
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686
「…………八年振りか」
夏樹さんが口を開き、柔らかな眼差しに包まれた私は、彼を見上げる。
「ええ。もうそんなに……月日が過ぎたんですね」
「俺は君が卒業してすぐに、上級指導員に昇格したよ」
短いようで長く感じる八年の空白は、私と夏樹さんを、また少し大人にさせていた。
私は教習所を卒業後、当時の恋人と結婚したけど、二年前に離婚して立川に戻り、実家近くのアパートで一人暮らしを始めた。
年齢も三十歳になり、家と職場の往復をするだけの日々。
離婚した際に刻まれた心の傷は、まだ私の中に燻っていて、このまま独身でいるんだろうな、と朧気に考えていたところで再会した、かつての好きだった男。
もしかしたら、夏樹さんと再び──。
あらぬ期待に胸を膨らませている自分が、痛々しくもあり、滑稽だった。
「由恵」
唐突に夏樹さんから私の名を呼ばれ、跳ねるように顔を上げる。
「久々に会ったんだ。もし君に時間があるのなら…………せっかくだし、食事に行かないか?」
彼に誘われて、私の鼓動が一際大きく脈を打つ。
さっきまで苗字で呼んでいたのに名前呼びにするなんて、ずるいと思ってしまった。
「…………行くだろ?」
夏樹さんが余裕の笑みを深めながら、口元の端を少しだけ吊り上げる。
『由恵が俺の誘いを断わるわけがない』と見透かされているようで、私は僅かに顔を顰めさせた。
彼と一緒に過ごしたら……ずっと忘れていた想いに火が灯され、焔となるのは分かっている事。
「……ええ。橋本さんが…………良ければ……」
夏樹さんと再び巡り合って気持ちが昂っていき、断る理由がない。
私は、おぼつかない様子で、首を縦に振った。
「じゃあ…………行こう」
彼に肩を軽く押され、触れられた部分が、ほんの少しだけ熱を孕んだような気がした。
コメント
1件
うわっ、久しぶりに胸がきゅってなる再会シーン読んだわ……!「八年ぶり」って言われて、由恵さんの過去とか傷とか一気に想像できちゃって、そこからの「名前呼び」はずるいよな〜。夏樹さんの余裕の笑みも、由恵さんが気持ち昂ってるのもすごく伝わってきて、続きが気になる!この二人、どうなるんだろう……