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#一次創作
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#相談部屋
放課後。
相談者は机の端に置いた消しゴムを見つめている。
「俺、相談したいことがあるんです」
遥は顔を上げる。
「うん」
「でも、相談したら」
一拍。
「大ごとになりそうで怖いです。誰かに話したら、先生が動いて、相手のところに行って、親にも連絡されて。そこまでしてほしいわけじゃないんです」
遥は黙って聞いている。
「ただ、今のままなのもしんどい。でも、何かしてほしいって言ったら、全部動き出しそうで」
相談者は少し俯く。
「自分で止められなくなりそうなんです」
遥は少し考える。
「助けてほしいけど、自分の手から離れるのが怖い」
相談者は顔を上げる。
「……そうです。相談した瞬間に、自分の知らないところで話が進んだら嫌なんです。勝手に『こうしておいたから』って決められるのも怖い」
遥は頷く。
「助けを求めることと」
一拍。
「全部任せることは違う」
相談者は黙る。
「『聞いてほしいだけ』でもいい。『今は話を聞くだけにしてほしい』でもいい。『次にどうするかは一緒に考えたい』でもいい」
相談者は少し考える。
「そんな言い方していいんですか」
「いいだろ」
遥は即答する。
「助けてもらう側にも、どうしてほしいか言う権利はある」
教室が静まる。
相談者は膝の上で手を組み直す。
「俺、相談するって全部相手に預けることだと思ってました」
遥は首を横に振る。
「違う」
少し間。
「一人で抱えてるものを、一人分、減らすだけでもいい」
相談者は黙る。
「解決までしてもらわなくても。話したことで、次に何をするか考えられるなら。それも助けだ」
相談者はゆっくり頷いた。
「……それなら。話してみてもいいかもしれない」
遥は鞄を持つ。
「最初から全部決めなくていい。話してから考えればいい」
相談者は小さく息を吐いた。
「相談すること自体が怖かったんです」
遥は少し間を置いて答える。
「怖いままでも相談していい」
教室の外から、廊下を走る足音が聞こえた。
助けを求めたい。
でも、助けを求めた瞬間に、自分の知らないところまで話が広がってしまう気がする。
そんな不安を抱える人もいる。
助けを求めることは、自分の判断を全部誰かに渡すことではない。
「ここまではしてほしい」
「これはまだ決めたくない」
そう伝えながら、一緒に方法を探すこともできる。
コメント
1件
第31話、とても沁みました…。「助けてもらう側にも、どうしてほしいか言う権利はある」って遥の言葉、優しくてびっくりするほど力強かったです。相談する=全部任せるじゃないんだって、読んでるこっちまでほっとしました。怖いままでもいいよって言ってもらえるって、すごく救われるなあ。