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マネキンではなく人間だとばれちゃった。子どもたちは私の体でイタズラをはじめて……。
「そうだ、ぼく、今日デパートで昆虫を買ってもらったんだ」
そういって虫かごを取り出した。
(えっ、ど、どういうこと?)
「ほら、この黒いのとか、かっこいいじゃん?」
「僕はクワガタがいいな」
「あたしはカブトムシが欲しい」
「俺はセミが好きだな」
子どもたちは、そういいながら裸の私にいろいろな虫を張り付けていく。素肌の上に昆虫をひっつけられると、けっこう痛い。でも、苦手な芋虫なんかをひっつけられなくてまだよかった。
「よし、これで完成だ」
「うわー、なんかヘンな生き物がいるみたいだな」
「でも、なかなか似合ってるぜ」
「そろそろ帰らないと、お母さんに叱られちゃう」
「じゃあ、最後に記念写真撮ろうよ」
みんなは、スマホを持って集まってきた。そして、フラッシュが光る。カシャッ。
「あー楽しかった」
「また会えるといいなあ」
「そうだね」
そして、みんなは去っていった。
「ふう……」
やっと解放された。それにしても、なんてひどいことをするのだろう。いくらなんでも酷すぎる。と、思っていたら、女の子がひとり戻ってきた。手には私のパンツをもっている。返しに来てくれたのだろうか……。
「ね、お姉ちゃん。お姉ちゃんは……芋虫、好き?」
と、目をキラキラさせながらその女の子が聞いてきた。やばい気がする! この子、絶対、嫌いだった分ってて聞いてる!
(続く)