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マネキンではなく人間だとばれてしまった私。子どもたちがイタズラをはじめて……。その手に持っている虫はなんなの!?
「お姉ちゃん、虫が大好きなんだよね? だって、こんなに濡らしてるものね」
そう言って、女の子は私の中に手を突っ込んだ。そして、濡れている部分を指でなぞった。
「ひゃっ!」
「ふふっ、可愛い声。パンツ、はかせてあげるね」
そういうと女の子は、動けない私にパンツをはかせてきた。それから、ポケットにごそごそと手を突っ込み、
「それから、これ。お姉ちゃんの大好きなものも入れておくから」
そういってポケットの中から芋虫(カブトムシの幼虫?)を取り出すと、私のパンツの中に入れてきた。
「ヒッ!」
「じゃあ、また来るね」
そう言うと、その子は出ていった。
「うぅ……」
私は、思わず泣きそうになる。どうして私が、こんな目にあわないといけないの……。パンツの中では、芋虫たちがもぞもぞ動いて気持ち悪い。早く取りたいけど、動けば動くほどパンツの中で暴れまわってしまう。こっそり動いたぐらいではどうしようもない。そんなことを考えていたら、また女の子がやってきた。嫌な予感しかしない……。
「ねえ、お姉さん、イモムシは気に入ってくれた?」
やっぱりその話か。もう本当に勘弁して欲しい。
「あれ、気に入らないのかなぁ。じゃあ、もっといろんなものを用意しなくっちゃ」
そういって、今度はたくさんの虫たちを持ってきた。
「これなんか、いいと思うんだけどなぁ」
「えっ!?」
そう言って彼女が見せてくれたのは、何匹かの蜘蛛だ。どこかでつかまえてきたのだろうか。足を動かしている。
「うっ……!!」
「ああ、これ気に入ったみたいだね」
違う、全然逆だ!! 慌てて首を横に振る。
「ううん、そうかぁ。でも、せっかくだから楽しんでみてよ」
そういって彼女は、虫を体中に貼りつけてくる。しかも、それはただの虫じゃない。芋虫やら、毛虫といった、苦手なものばかりだ。
「んうーっ! んん~っ!!!」
必死で抵抗するが、恐怖でまったく身動きが取れない。
「それじゃ、バイバーイ」
女の子は去っていった。
「ぷはあっ」
とりあえず深呼吸をする。
「すう……はぁ……」
虫たちは相変わらず、体の上を這いずり回っている。
「ううっ……」
吐き気がしてきた。とにかく、まずはこの虫たちを取らないと。
「よいしょっと」
マネキンのふりをしながら、なんとか芋虫を1匹振り落すことに成功した。でも、まだたくさん残っている。芋虫を潰さないように注意しながら、芋虫を落としていく。
「ふう……」
やっと終わった。これでひと安心だ。それにしてもひどい目にあった。結局、いつも通り裸を見られちゃうし。まあ子ども相手だったからよかったけど。でも、なんか、あの子たち、すごかったなぁ……。
こうして、私のマネキンバイトは終わったのだった。もう二度とやんない。(終り)