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島流しでお願いします
「ちゃんと言って、奈緒!」奈緒ちゃんを心配する省吾さん🥹ん〜ッ🩷す🩷き🩷
またしても首切った方がいいですよ!島流しするべきだね(`Δ´)
動揺している奈緒を見て、三上は勝ち誇ったように言った。
「図星でしたか?」
その見当はずれな一言を聞き、奈緒は急に目が覚める。
そして三上に向かって強く言い返した。
「勝手に都合のいいように解釈しないで下さい。私はあなたに何の興味もありませんから」
三上はおとなしいと思っていた奈緒がきっぱりと言い返すのを見て、少し驚いているようだ。
その時携帯が鳴ったので、奈緒は慌ててバッグから取り出す。
そして省吾からの着信表示を見た奈緒は、反射的に電話に出た。
「もしもし?」
「奈緒? 今どこ?」
「秘書室です」
「さおりさん達も一緒?」
「いえ、二人は先に帰りました。今、技術統括本部の三上さんがいらしてて……」
そこで省吾が息を呑んだのがわかった。
「三上君はなんて?」
「書類を届けにいらっしゃいました」
「それだけじゃないだろう?」
「え?」
「奴は何をしている?」
「えっと……」
「ちゃんと言って、奈緒!」
「……食事に誘われました」
それを聞いた省吾はフーッと息を深く吐く。
そして奈緒にこう告げた。
「三上君に代わって」
「はい」
奈緒は返事をすると、三上に携帯を差し出す。
「深山さんがあなたと話をしたいそうです」
奈緒の言葉に三上がギョッとする。そこに『白馬に乗った王子様』の面影はなかった。
三上は携帯を受け取ると、少し上ずった声で電話に出た。
「お電話代わりました、三上です」
それからしばらくの間、三上は省吾の話を聞いていた。
その後会話を始める。
「いや別に、そういう訳では……あ、それは誤解ですね……ええ、でもそれは周りが勝手に……はい、わかってます……いえ、そんなつもりは……はい、誤解をさせるような真似をして申し訳ありませんでした……以後気をつけます。それでは失礼します」
省吾との会話を終えた三上は、電話を切ると携帯を奈緒に返す。
そこで言った。
「僕はまだ諦めませんからね」
その言葉に奈緒はゾッとする。
その時ノックの音が響いた。
「どうぞ」
奈緒が返事をすると、公平が書類を持ってやって来た。
「あ~、麻生さん以外はもう帰っちゃったかぁ」
「私でよろしければお預かりしましょうか?」
「悪いね、じゃあこの書類月曜の朝イチでさおりさんに渡してくれる?」
「承知しました」
奈緒は書類を受け取り先ほどの引き出しへしまった。
その時三上が無言で部屋をスーッと出て行ったので、奈緒は心底ほっとする。
三上がいなくなったのを確認した公平が、奈緒に向かって言った。
「省吾がいない時に、また今みたいな事があったらすぐに僕に言って下さいね。何かの役には立てると思いますから」
その言葉に奈緒はハッとする。
「えっ? もしかして?」
「今省吾から電話がありました。麻生さんの事が心配だから大至急見に行ってくれってね。ハハッ、じゃあ書類よろしくね~」
「あ、ありがとうございました!」
奈緒は右手を挙げて出て行く公平の後ろ姿に向かって叫んだ。
それと同時に、省吾の配慮に心から感謝した。
一方、北海道の居酒屋では、席に戻った省吾に原田が声をかける。
「どうでしたか?」
「間一髪でした」
「えっ? って事は?」
「秘書室に三上が来てたみたいです」
「まさか……」
「そう、そのまさかです」
省吾は先ほど頼んでおいた水を一杯飲む。
「で? 麻生さんは大丈夫でしたか?」
「はい、なんとか。でも、三上が食事に誘ってきたそうです」
「…………」
原田は驚いて何も言えなかった。
「で、今直接三上と話をしました」
「そうでしたか……で、三上はなんて?」
「一応謝ってはいましたがあれは本心じゃないですね」
「フーッ、それにしても困りましたね。まさかその程度でクビには出来ないし、異動させるにしても三上がいないと回らないプロジェクトもありますからねぇ……いや参ったな……」
原田は頭を抱える。
「仕事に私情を挟みたくはないですが……まあなんとか対策を考えてみますよ。ったく、俺は相当三上に嫌われているみたいだな」
「三上は人一倍自尊心が強いですからね。だから自分と歳の近い深山さんが成功しているのが気に入らないんでしょう。そういえば、彼は井上君の事も嫌っていたなぁ」
「井上君?」
「はい。前に井上君が同僚にありもしないデマを流されたでしょう? 噂を流した社員は横浜の倉庫に出向になりましたが、あの件で、実は黒幕が三上だったんじゃないかって言っている人もいるくらいで」
「そうなんですか?」
「あくまでも噂なので、本当かどうかはわかりません」
「井上君って、今三上と同じプロジェクトでしたよね?」
「そうです」
「三上よりかなり若いですよね?」
「井上君は確か28だったかな? 彼はあの若さですごく優秀ですからねぇ。最近彼には『深山二世』っていうあだ名がついていて、三上はそれが気に入らないんでしょう」
「なるほど……」
省吾は再びもの思いに耽りながらグラスの水をグイと飲み干した。