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#コメディ時々暗闇
奏音•*¨*•.¸¸♬︎💙
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NGS_ヘビーなしっぽ
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#妖怪
百はな🍑
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俺は胸のポケットから、剥き出しの錠剤を一つ、口の奥へと放り込んだ。
ガチリ、と牙で噛み砕いた瞬間。身体が、内側から爆発したかのように燃えるように熱くなる。細胞の奥に眠るナンバーズの肉体が、強引に『ライオン』の遺伝子を受容し、書き換えられていく。
「――が、ああああッ!!」
凄まじい野生の咆哮が、俺の喉から爆発的に放射された。俺の首回りに、猛々しいライオンのたてがみがバキバキと音を立てて生え揃っていく。
だが、これだけじゃ足りねぇ。バッファの声を完全に相殺するには、ただの咆哮じゃ波形が足りねぇんだよ。
「 な、何を! や、やめろ! お前ら早く奴を消せ! 殺せ!」
危惧を抱いたバッファが、必死に喉を震わせて周囲の住人に声をかける。
だが、その程度で俺の突撃が止まると思うなよ。
「言っただろ。お前の声は、もう響かないって」
俺は、たてがみに覆われた首を鳴らし、胸ポケットから二錠目を取り出した。
「……もう一錠」
イルカの遺伝子だ。ライオンの咆哮とイルカの超音波を掛け合わせる。
全く、薬を飲むのは心臓が引き裂かれそうになるほど本当としんどいが、この目の前のゴミ野郎を完璧に潰せるってんなら、どんな激痛だろうが喜んで受け入れてやるぜ。
青い錠剤を、奥歯で一気に噛み砕く。喉の奥が異形に変形し、咆哮の波形が極限まで跳ね上がっていく。俺は大きく顎を開いた。
「うぉおおおおおおーーーーーーーッッ!!!!」
鼓膜を突き破るようなライオンの爆音。そこに、空気を激しく振動させるイルカの高周波の超音波が、最悪の相乗効果となって戦場全体に吹き荒れる。波形と波形の衝突。物理的な相殺。
バッファが顔を真っ赤にして、必死に何かを叫んでいるが――もう住人には聞こえない。大声を張り上げる奴の喉は虚しく震えているだけで、周囲の住人たちは操り糸を切られたように、ただ下を向いてピタリと静止している。
「残念だったな」
俺が冷たく言い放つと、バッファは貼り付いていた笑顔を完全に消し去り、血走った目で俺を睨みつけてきた。
「ふざけやがって……! 私はガイア様の側近なんだ! こんな奴らに、私が……っ!」
パニックを起こした奴は、懐から拳銃を取り出して引き金を引いた。激しい銃声が響く。だが、ライオンの遺伝子を発現した今の俺の動体視力と反射神経を舐めるなよ。
――ガキィンッ!
俺は鋭く伸長したライオンの爪で、迫る弾丸を正面から強硬に弾き飛ばした。火花が散る。
「どうした? 覚醒者のくせに、随分とビビってるじゃねぇか」
「こ、こんな一般人に……私が負けるはずが……っ!」
怯えを隠すように叫ぶバッファの懐へ、俺は一瞬で踏み込んだ。ライオンの剛腕を容赦なく振り抜き、奴のみぞおちへと強烈な一撃を叩き込む。
「うがぁっ……!?」
巨躯がくの字に折れ曲がる。バッファは激しく咳き込みながら、狂ったように自らの過去を喚き散らし始めた。
「私の家系は、常に王に従えてきた由緒正しい高貴な家系なのだぞ! 反逆者なんてゴミたちに、この私が遅れをとるなど万死に値する……っ!」
「あん? そんな昔話、今この戦場に何の関係があるんだよ?」
「私の父は、常に王の邪魔になる奴を排除しろと教えてくれたんだ! 私はその通りに、正しく任務を、指示を遂行しているんだ……!」
バッファの野郎、完全にパニクってやがるな。自分の頭で戦況を組み立てる能力がねぇから、過去の栄光や親の教えに縋るしかねぇんだ。俺は追撃の重い拳を、奴の顔面へと再び叩き入れた。
「うがぁぁあッ!!」
鼻血を吹き飛ばしながら、バッファは地面に無様に転がった。奴の目はもう俺を見ていない。虚空を見つめ、震える声で哀れに呟く。
「父さん……ガイア様、私に指示を……私はどうすればいいでしょう。次は何を、誰を消せばいいのですか……っ!」
その惨めな姿を、俺は見下ろした。
「なるほどな……。お前は他人を操っているつもりだったみたいだが、本質は真逆だ。お前自身が、誰かの声がねぇと動けねぇ『指示待ち人間』なんだよ」
「違う! 違う! 私はガイア様の忠実な臣下であり、完璧な、完璧な支配者だ……っ!」
バッファは頭をかきむしり、子供のように叫んだ。
「違くねぇよ」
俺はライオンの爪をギラつかせ、一歩、また一歩と奴の逃げ場を狭めていく。
「お前の能力、その生き方にピッタリだな。自分で戦うんじゃなく、他人に頼りたいだけの弱い心が、そのままその『肉壁を操る力』になって現れてんだよ」
「はぁ……」
俺は深くため息を吐き、パニクる目の前の大男を冷ややかに見つめた。
「今回の戦いで思ったんだが。能力が使える覚醒者(モンスター)たちは、みんなそれぞれ、自分の弱い所や、いかれてる思いが肉体に反映されてやがる」
シオリの支配も、レイの影の時空支配も、トオルの予知も、そしてこのバッファのホルモン操作も。強すぎる異能はすべて、歪んだ心の裏返しだ。
「世界を滅ぼす災厄を防ぐための覚醒者。人間を超えた怪物(モンスターズ)たちは――みんな何かしら、致命的におかしい所があるんだな。お前を見て確信したぜ」
「うわぁぁぁぁああああーーーーーッッ!!!!」
逃げ場を失い、自らの本質を暴かれたバッファが、髪を狂ったようにかきむしりながら鼓膜を焼き切るような絶叫を響かせた。その血走った両目には、由緒正しき側近としての傲慢なプライドではなく、完全に壊れた怪物の狂気だけが充満していた。
「一か八か……。賭けてやる、賭けてやるぞアレンァァアッッ!!」
バッファが狂った笑みを浮かべ、自らの巨大な右手を掲げた。奴がその牙を向けたのは、俺でも、へたれ込んでいるカケルでもなかった。
――グチャリ。
「が、あ、あははははははははははッッ!!!!」
バッファは自らの指先を、自分の頭部――脳へと直接、強硬に突き刺した。
自傷行為。他人の脳内ホルモンを操る男が、自分の脳のリミッターを物理的にぶち壊し、ドーパミン、エンドルフィン、アドレナリンのすべてを最大出力で強制暴走させたのだ。
傷口から血を流し、白目を剥きながら、男は壊れた笑い声を上げてゆっくりと立ち上がる。痛みも、恐怖も、理性もすべてを焼き切った『本物の怪物』へと変貌して。
コメント
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第34話、読み終わりました!ライオン×イルカの遺伝子コンボ、かっこよすぎますね。咆哮と超音波で声の支配を物理的に相♡♡♡る発想が熱い。それ以上に刺さったのは、バッファの「指示待ち人間」という本質を暴くシーン。能力がそのまま心の歪みを映すって考察、ゾクゾクしました。最後の自傷による怪物化、続きが気になりすぎます…!