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まさか息子くんたちがこんな会話をしてるなんて🤭大人の方がびっくりしますね🤣
航太郎くんが応援してくれると葉月ちゃんも賢太郎さんと向き合えるよね🤭 賢太郎さんは将来を見据えてるだろうしね💕 航太郎くんは心配しなくとも賢太郎さんを尊敬してるし相性バッチリな気はするよ🥰
流星くんと航太郎くんは同じ立場だからくっつけ作戦はきっと上手く行くと思うな😊 お試しなんてきっとすぐ本気になると思うからこの先が楽しみだね🤭❤
翌朝、葉月は朝食を食べながら、航太郎に言った。
「あのさ……」
「うん? 何?」
「えっとね……、お母さんさ……」
「うん、だから何?」
「…………ことになったの」
「え? 聞こえないよ。もう一度言って」
「だから、桐生さんと、つき合うことになったの」
そこで航太郎は、口にくわえていたクロワッサンをポロッと落とした。
「ハッ?」
「だからね、桐生さんとお付き合いをすることになったんだってば!」
葉月の言葉に、航太郎は目を丸くし、口を開けたまま固まった。
しかし、すぐにこう言った。
「え? ……ってことは、海で父ちゃんたちに言ったことが本当になるってこと?」
「そう」
「マジか!」
そこで葉月は、真面目な顔をして息子に言った。
「でもね、航ちゃんが嫌ならやめるけど」
「やっ、やめるなよ! やめなくていいよ!」
航太郎は慌てて言った。
「本当にいいの?」
「当たり前じゃん。俺、賢太郎さんにお父さんになって欲しいもん」
反抗期の息子はどこへやら、今日はやけに素直だ。
「そんなにあの人のこと好き?」
「うん! 前にも言ったろう? 俺、あの人のこと尊敬してるって」
「そうだったね」
「それにさ、母ちゃんに彼氏ができたら、もうあの人も来ないだろう?」
「……お父さんのこと?」
「うん。俺、この前みたいなこと、もう二度と嫌なんだ」
息子があの日、海で起こった出来事について話すのは、今日が初めてだった。
(やっぱり、相当辛かったのね……)
葉月は、息子に嫌な思いをさせてしまったことを、心の底から悔やんだ。
「たしかに、お母さんに彼氏ができたら、もうここには来られないかも」
「でしょ? だから、あの時賢太郎さんが言ったことが本当になればいいなーって、俺、ずっと思ってたんだ」
「そうだったんだ。あ、でもね、付き合うって言っても、まずはお試しみたいな感じだから」
「お試し?」
「そう。まずはお友達とかボーイフレンドみたいな感じかな」
「なんだ、つまんないの。最初から恋人になっちゃえばいいのに」
「そうはいかないわよ。桐生さんはお母さんのこと何も知らないし、お母さんだって彼がどんな人かよく知らないんだから」
「昔は、そういうのを『お見合い』って言ったんでしょ? 前に学校の先生が言ってたよ。それに、もっと昔は、結婚式当日まで相手の顔を知らなかったんだって」
「それは昔の話でしょう?」
「でもさ、マッチングアプリでの出会いだってそうじゃん。会ってすぐに結婚する人もいるし」
「それは、会う前にネットでいろいろと話をしてるからじゃないの? それに、お母さんは一度結婚に失敗してるんだから、慎重にならないとね」
「ちぇっ、賢太郎さんはあの人とは違うのになぁ」
そう呟くと、航太郎は再びクロワッサンを口に入れる。
とりあえず、息子に報告を終えた葉月は、ホッとして淹れたてのコーヒーを一口飲んだ。
その日の夜、航太郎はパソコン画面を通して、長野にいる親友・流星と話をしていた。
「だから、なんとかお試し期間を上手く乗り越えて、二人に結婚してもらいたいんだよ」
「それにしても、航太郎のお母さんの相手が、あの鉄道写真家の桐生さんだなんてさー、びっくりしたよ! 俺も会ってみたいし、これはなんとしても二人をくっつけなくちゃね」
「うん。俺さぁ、流星の家族を見ていていつもいいなーって思ってたんだ」
「そうなの?」
「うん。流星と佐伯のおじさんが、なんかいい感じだからさー」
「へぇ……そうなのかな? 結構険悪になる時もあるのに?」
「うん。その方が自然だろう? 本当の親子みたいで」
「フフッ、そうなのかな?」
「流星はさ、血の繋がらない父親でも、特に不満はないんだろう?」
「うん。全然ないよ。俺の反抗期がひどかった頃は、会話が減った時期もあったけどさぁ。最近は昔みたいにまた普通に話せるようになった」
「いいなー、流星の父ちゃんて、カッコいいし優しいもんな―」
「うん。俺のお母さんには超優しいしね。桐生さんもいい人っぽいね?」
「うん。超いい人だしカッコイイんだ」
「前から航太郎はファンだったもんな」
「うん。だから、まさかうちの母ちゃんと付き合ってくれるとか、夢みたいだよ」
「今度こっちに来たら、ほっぺたつねってやるよ」
流星はそう言って、楽しそうにクスクスと笑う。
「でさ、二人をくっつけるために、俺はどうしたらいいの?」
「そうだなぁ。まずは二人だけの時間を作ることじゃないの?」
「なるほど」
「でも、ちょうどよかったよね、今度航太郎は長野に来るんだし。その間に仲良くなってもらえるといいね」
「それは俺も思った」
「あ、あとさ……航太郎が、『お父さんが欲しい』ってアピールするのも、結構効くと思うよ」
「そうなの?」
「うん。だって、大抵の母親は、息子の幸せを望んでいるからね。息子の望みがあれば、叶えてやりたいって思うはずだよ」
「流星もそうしたの?」
「ううん、うちの親が結婚した時は、俺はまだ小さかったからアピールなんてできなかったよ。でも、俺が今のお父さんに懐いていたのが、再婚の決め手になったと聞いたことはある」
「なるほどー。じゃあ俺のアピールっていうのも重要なんだね」
「そうだよ」
「わかった。とにかくやれることはやってみるよ」
「健闘を祈る!」
「ありがとう。じゃあまたね!」
流星との会話を終えた航太郎は、目を輝かせながらニッコリと笑った。