TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

※小学生。



廊下の角を曲がると、数人のクラスメイトが待ち構えていた。


「お、来た来た、今日も遅刻ギリギリか?」


「また、こいつだけ取り残されるな」


遥は一歩下がる。口元がひきつり、体が自然に縮こまる。


「おい、今日の掃除当番はお前だろ?」


「う、うん……」


声は震えていた。誰も手を貸さない。全員がその場で待ち構え、遥の動きを観察している。


「お前、雑巾絞るの下手すぎだろ」


「もっと力入れろよ、気持ちいいくらいに絞れ」


床に這わされる。手も膝も泥まみれになりながら、遥は必死に雑巾を絞る。


「もうちょっと腰入れろよ、そんな腰じゃ雑巾も泣くわ」


「は、はい……ごめんなさい……」


涙がにじむ。言葉も息も、雑巾の水も全て一緒に押しつぶされる。


「ほら、もっと早く!」


「お前、ほんとに何やっても使えねえな」


嘲る声が廊下中に響く。遥はただひたすら命令に従い、心の中で自分を責める。


「俺は……どうしてこんなにダメなんだろ……」


ふと、隣の教室からささやき声が聞こえる。


「見ろよ、あいつまた床舐めるみたいにやってる」


「マジでキモい、笑える」


その言葉に遥の顔が熱くなる。羞恥と痛みが一気に押し寄せ、身体が硬直する。


「おい、雑巾の頭、もっと床に押し付けろ」


「……はい……」


声がかすれる。必死に動かす手、膝、腰。目には涙。だが、誰も助けてはくれない。


「お前って、ほんとにどうしようもねえな」


「雑巾として生まれてきたのか?」


言葉の刃が容赦なく刺さる。痛みと恥の中で、遥は自分を小さく小さく縮める。


「こんな自分、いなくなればいいのに……」


だが、次の命令はすぐに飛んでくる。遥はまた床に這い、雑巾のように押し付けられる。


「まだ拭き残しあるぞ、見えねえのか?」


「は、はい……」


汗と涙、泥と水が混ざり合う。身体中に力が入らず、震えが止まらない。


「お前の存在自体、無駄だな」


「……う……」


声にならない呻き。全員が笑い、残酷な遊びは終わらない。



無名の灯 番外編3

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

40

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚