テラーノベル
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「ああ。五年前に結婚したが……今は嫁と別居中だ。君は?」
苦渋を滲ませている彼の眉間に皺が刻まれると、眼差しを返される。
「私も教習所を卒業した二年後に結婚したけど…………二年前に離婚しました」
「…………そうか」
それきり、個室の中は再び静寂に包まれ、シルバー類のぶつかる音だけが薄らと漂っていた。
「そのワンピース、いいな。君に似合ってる」
食事も粗方済んだところで、夏樹さんが口火を切ると、私を射抜いたままテーブルに両肘を突き、手を組む。
私が着ているのは、勤務先でもある立川の百貨店に入っているアパレルブランド、Hearty Beautyのワンピースだ。
明るいネイビーブルーを基調とした、シンプルなAラインのシャツワンピースは、とろみのある素材で、前ボタンが縦に並んでいる、私のお気に入り。
夏樹さんが唇の端に笑みを乗せ、瞳の奥には妖艶な色を滲ませているように見えるのは、気のせいなのか。
「ありがとうございます……」
夏樹さんはきっと、社交辞令で言ってくれているのだろうと思い、私は口元に弧を描かせた。
「それに……」
落ち着いた渋い声音で、彼が身体をにじり寄るように前傾させた。
「…………脱がしたくなる」
「……っ」
彼が、さらにワントーン声を低くさせ、囁くように言葉を零すと、私の耳朶(じだ)を撫で掠めた。
夏樹さんに微笑まれ、ヒュッと息を呑みつつ、鼓動が大きく脈を打つ。
「このまま、君を帰すのは惜しいな……」
彼が伝票を掴むと立ち上がり、店を出る準備を始める。
少し強引なところも、八年前と変わっていない。
夏樹さんの背中に、『まだ帰らないよな? 』と問い掛けられているようで、私は唇を微かに歪めさせた。
イタリアンレストランを出た私たちは、適度な距離を置いたまま、立川駅へ戻る。
「……明日は仕事?」
夏樹さんが前を見据えたまま、口を開いた。
「いえ、休みです……けど……」
短い会話を交わしているうちに、立川駅の改札前に辿り着き、彼が足を止め、私に向き直った。
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コメント
1件
うわあああこの2人、大人の雰囲気がエモすぎる…😭💕「脱がしたくなる」って全然社交辞令じゃなくない!?って思わずツッコんじゃった(笑)別居中と離婚歴、お互い過去抱えてるからこその距離感と、でも惹かれ合っちゃう感じがたまらない…!明日が休みって聞いて「帰すの惜しい」からの流れ、完全に続きが気になりすぎるよ〜!!次の更新、待ってるからね!!🌸✨