テラーノベル
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「…………俺も明日は休みだ。このまま……ドライブに行くか」
夏樹さんに促されるまま、私はバッグから慌ててICカードを取り出すと、改札の中に吸い込まれていく。
中央線の下りホームに降り立ち、高尾行きの電車に乗った。
「ドライブって……本気で今から行くつもりですか?」
「当たり前だろ? 俺の家は豊田だ。車を取ってくる」
数分ほど電車に揺られながら話していると、あっという間に豊田駅に到着し、私たちは電車を降りた。
「あそこのファストフード店の前で待っててくれ」
「……分かりました」
北口のロータリーに出ると、夏樹さんが歩きながら店を指差し、私は指定された場所へ向かう。
彼が戻ってくるまで、スマートフォンで適当にウェブサイトを流し見して、時間を潰していた。
画面を指先で滑らせながらも、どこか上の空でサイトを閲覧する。
久しぶりに再会した彼は既婚者で、奥さんとは別居中らしい。
夏樹さんの自宅最寄り駅まで来て、今さらながら罪悪感が込み上げてきた。
帰ろうと思うのなら、彼がいない隙に駅へ戻ればいい。
けれど、好きだった男と一緒に過ごせると思うと、彼の奥さんに申し訳ない、という思いよりも、嬉しい気持ちが勝ってしまう。
流されるように彼の自宅最寄り駅まで来て、もう……後には引き返せない。
ドライブ、と夏樹さんは言っていたけれど、その先にあるのは──。
やがて、青白いヘッドライトに照らされ、クラクションが二回鳴らされると、私はハッとして顔を上げる。
目の前に、白の大型SUV車が滑り込んできた。
「由恵。乗れよ」
助手席側のパワーウィンドウが開かれると、夏樹さんに声を掛けられて車に乗り込み、シートベルトを着用した。
彼がアクセルを踏み、緩やかに走り出すと、私は車窓に映る闇に染まった景色を、ぼんやりと眺めていた。
***
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コメント
1件
うわあ、ついに由恵さん、夏樹さんの車に乗り込んじゃいましたね……。既婚者で別居中と知りながら、罪悪感よりも嬉しさが勝ってしまう気持ち、すごくリアルで胸が締めつけられました。自分の気持ちに正直になりたいけど、後ろめたさもある——その揺れ動く心理描写が丁寧で、続きが気になります。ドライブの先に何があるんだろう。