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#一次創作
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#相談部屋
📩 相談
高校二年・Mさん
昔のことをよく思い出します。
でも、楽しかったことより、恥をかいたことの方が圧倒的に多いです。
例えば、中学の時に授業で答えを間違えて、みんなに笑われたこと。
もう何年も前なのに、今でもたまに思い出します。
逆に、友達が誕生日にプレゼントをくれたこととか、一緒に帰ってくれたこととかは、言われてもすぐには思い出せません。
「大切にされてたこともあったよ」って言われても、 「……そうだっけ」 ってなります。
自分でも変だと思います。
遥「嫌だった記憶の方が残るんだ」
M「はい」
蓮司「じゃあ、昔笑われたことは今でも覚えてる?」
M「覚えてます」
蓮司「誰に笑われたかも?」
M「……覚えてます」
蓮司「でも、プレゼントくれた友達の顔は?」
M「……すぐには出てこないです」
日下部「印象の強さが違うんだろ」
M「でも、嫌なことばっかり覚えてると、自分の人生まで嫌なことばっかりだったみたいに感じます」
遥「それは分かる」
M「……」
遥「一個の嫌な記憶が、昔のこと全部を塗り替える感じ」
M「そうです」
蓮司「しかも、嫌な記憶って勝手に検証し始めるからな」
M「検証?」
蓮司「『あの時も自分は変だったんじゃないか』とか、『あの人も本当は自分を嫌ってたんじゃないか』とか」
M「……します」
蓮司「そのせいで、記憶そのものより後から付け足した意味の方が大きくなる」
M「……」
日下部「笑われた事実と、『自分はみんなから馬鹿にされていた』は同じじゃない」
M「でも、その時はそう思いました」
日下部「うん。その時そう感じたことは本当」
M「……」
日下部「ただ、それが今の自分についての事実とは限らない」
遥「あとさ」
M「はい」
遥「大切にされた記憶って、嫌な記憶みたいに何回も確認しないんだよ」
M「……どういうことですか?」
遥「『あれ、本当に大切にされたよな?』って、毎日思い返したりしないだろ」
M「あ……」
遥「だから残り方が違うだけかもしれない」
蓮司「嫌な記憶は、何度も再生するからな」
M「じゃあ、忘れたらいいんですか?」
日下部「無理に忘れなくていい」
M「……」
日下部「思い出すこと自体を、悪いことにしなくていい」
遥「ただ、その記憶から今の自分まで決めない」
M「……」
遥「『あの時恥をかいた』までは事実」
M「はい」
遥「『だから今も自分は恥ずかしい人間だ』は、別の話」
M「……それ、結構違いますね」
蓮司「違うよ」
M「……」
蓮司「過去の出来事に、現在の自分の評価まで勝手にくっつけてるだけだから」
M「でも、また同じことをしたらって怖くなります」
日下部「それなら、怖かった経験として覚えておけばいい」
M「嫌な記憶のままでも?」
日下部「うん」
遥「『忘れなきゃ前に進めない』ってことでもないし」
M「……」
遥「恥ずかしかった自分を、ずっと裁判し続けなくていい」
M「……裁判」
蓮司「しかも判決、毎回同じ」
M「『自分が悪い』?」
蓮司「そう」
M「……」
遥「もう終わったことなら、何年後の自分まで同じ席に座らせなくていいんじゃない?」
M「……それ、少し楽です」
🗝 三人からのことば
遥
「嫌な記憶がよく残ってるからって、嫌なことしかなかったわけじゃない」
蓮司
「記憶に残ってることと、今の自分を決めることは別。昔の一場面に、現在の評価まで任せなくていい」
日下部
「忘れなくてもいい。ただ、その出来事と今の自分を同じものにしない」
コメント
1件
読み終わりました。遥さんの「大切にされた記憶って、嫌な記憶みたいに何回も確認しないんだよ」という言葉、すごく腑に落ちました。確かに、嫌な記憶は勝手に反芻してしまうけど、優しくされた場面は「本当にそうだったかな?」ってわざわざ疑わないですもんね。蓮司さんの「記憶に残ってることと、今の自分を決めることは別」というフレーズも胸に残りました。このエピソード、読んだあと少し気持ちが軽くなりました。優しいお話をありがとうございます🌷