TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する


昼休み、教室の隅。机は寄せないまま、なんとなく視界に入る距離で飯を食ってる。



蓮司「なあ、他クラスにさ、日下部のこと好きっぽい女子いなかった?」



日下部「……知らん」



蓮司「お前あれだろ、話しかけられても『あ、うん』しか言わなさそうだもんな」



日下部「話しかけられてない」



蓮司「えっ、でも前さ──」



遥「それ、誰?」



蓮司「え?」



遥「その女子。名前出してみ?」



蓮司「……いや、そこまで知ってるわけじゃないけど?」



遥「ふーん。妄想じゃねーの」



蓮司「妄想って。なんでそんな攻撃的なの、恋バナに対して」



遥「いや別に……。てか恋バナって、何話すの。どこが盛り上がるとこなの」



蓮司「出た。“会話が根本から噛み合わないやつ”」



遥「だって、好きとかってどういう感情なのか、正直よくわかんねーし」



蓮司「ほらな。そっからか」



日下部(口動かしたまま)「……わかる」



蓮司「あー、真面目勢もきた。お前ら二人、“恋”の定義から始めんの?」



遥「“定義”とかじゃなく、なんか……他人の顔とか声とか、そんな大事?

俺、誰の顔見ても変わんねーし」



蓮司「え、それはそれでヤバい気がする。

恋というか、人類への無関心じゃね?」



日下部「……遥、でもさ。

誰かのこと、つい目で追ってたとか……そういうの、ないの?」



遥「……(ちょっと考える)……それって、気配に反応してるだけじゃね?」



蓮司「お前、恋愛感情をセンサーかなんかと勘違いしてない?」



遥「いや、だって“好き”って何かよくわかんない。

その人にどうされたいの? 一緒にいてどうなりたいの? なんで好きになるの?」



日下部「……それ考えすぎると、たぶん一生始まんない」



蓮司「でも俺は嫌いじゃないなー、遥のそういうとこ。

恋バナ向いてなさすぎて、むしろ興味ある」



遥「……やめろ、変な見方すんな」



蓮司「見方は自由。

てか遥、好きな芸能人とかもいないの?」



遥「うーん……“顔が整ってるな”とかは思うけど、それ以上はない。

そもそも、俺のこと誰も好きにならないだろって思ってるし」



日下部「……そんなこと、誰も言ってないだろ」



蓮司「だな。遥、意外と卵焼きもらえる顔してんのに」



遥「それフォローの方向性間違ってない?」



蓮司「間違えてるけど、俺なりの優しさ。チャラい慈善活動」



遥「やめろマジで。

もういい、恋バナ禁止」



日下部「……お前が一番騒いでたぞ」



遥、少しだけ赤くなって黙る。

昼飯は静かに再開されたけど、なんか後味は悪くなかった。



無名の灯 余白、三人分。(雑談・なんでもあり)

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

44

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚