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Protect Love

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Protect Love

第24話 - 第21話

1,012

2025年05月18日

#医者

#大人の恋愛

#ハッピーエンド

#大人ロマンス

#純愛

#切ない

瑠璃マリコ

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瑠璃マリコ

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その後、栞は慶尚大学に合格した。

ネットの合格発表で自分の番号を見つけた瞬間、これまでの努力が報われたと感じた。

自由を手にした喜びを胸に、栞は父にメッセージを送った。

それを見た栞の父は、仕事中にもかかわらず、すぐに娘に電話をかけてきて、親子で合格の喜びを分かち合った。

来週、父は東京へ帰省し、栞と一緒に不動産屋を回ってくれることになった。

ただ、その前に大きな問題があった。

弘子と華子には、栞が慶尚大学を受けたことをまだ伝えていなかったのだ。

「大丈夫だ、父さんに任せろ。お前は何も心配するな」

父の言葉を信頼して、栞はすべてを父に任せることにした。

電話を切ったあと、今度は綾香からメッセージが届いた。

【サクラ咲いたよ！　栞ちゃんはどうだった？】

その瞬間、栞の顔には自然と笑みがこぼれてくる。

【おめでとう！　私もサクラが咲きました🌸　一緒に大学生活を楽しもうね！】

【やったー！　おめでとう！　栞ちゃんと一緒に通えるなんて嬉しい！　今度二人でお祝いしようね🌸】

綾香からの返事を見て、栞は笑みを浮かべた。

これでまた、綾香と一緒に学生生活を送れると思うと、栞の胸は喜びでいっぱいになった。

栞は、幸せ過ぎて無意識に直也の本をギュッと抱き締めた。

この本と出会ったおかげで、栞の人生は一気に好転したのだ。

そして栞は、直也に合格報告のメッセージを打ち始めた。

あの日連絡先を交換して以来、初めて送るメッセージだった。

【先生、無事に合格しました！　春からは先生の後輩になります！　今までたくさんお世話になり、本当にありがとうございました】

メッセージを打ち終えると、栞はすぐに送信ボタンを押した。

その頃、直也は大学病院の外来で患者を診察をしていた。

診察中、ポケットの携帯が音を立てずにブルブルと震えるのを感じた。

実は、こっそりと電源を入れたままにしていた。栞の合格発表が今日だと知っていたからだ。

直也は今すぐメッセージを確認したい衝動にかられたが、目の前に患者がいるので必死に我慢する。

10分ほどして診察が終わると、直也は口うるさい看護師の目を盗み、急いで携帯をチェックした。

予想通り、栞からのメッセージが届いていた。

すぐにメッセージを見た直也は、

「よしっ！　よく頑張った！」

と、小声で呟き、思わずガッツポーズをする。

そして、鬼看護師が診察室を離れた隙に、素早く栞に返信した。

【おめでとう！　よく頑張ったね。君はもう大丈夫だ！　これからは胸を張って堂々と前へ進みなさい】

直也からすぐに返事がきたので、栞は驚いた。

今日直也は大学病院勤務の日なので、返事が来るとしても、昼休みか夜になるだろうと思っていた。

『これからは胸を張って堂々と前へ進みなさい』

直也からのメッセージを見た途端、栞は感極まって泣き始めた。

もしあの日、直也に助けてもらわなかったら、自分はこの喜びを手にすることができなかったかもしれない。

そう思うと、涙がとめどなく溢れてくる。

（私を救ってくれた本……そして、私を救ってくれた先生……）

栞はその時、自分が直也に好意を抱いていることに気づいた。

男の人にこんな想いを抱いたのは、初めてだ。

それは、栞にとっての初恋でもあった。

自分の気持ちに気づいた栞は、不思議とホッとしていた。

ここ最近続いていた胸の痛みが、恋によるものだと分かったからだ。

しかし、初めて抱いたその気持ちを、栞にはどうすることもできなかった。

二人の環境があまりにも違いすぎたため、若い栞にはそれを解決する術が見つからなかった。

（私の初恋は、きれいなまま、思い出として終わるのね……）

栞はそう心の中で呟きながら、さらに強く本を抱きしめた。

そして、次々と溢れてくる切ない感情に耐えきれず、さらに激しく号泣した。

一方、直也は少し思いつめた表情を浮かべていた。

彼女はまだ若い。

ようやく大学生になる栞は、これからさまざまな経験を重ねて、少しずつ大人になっていく段階だ。

そうなると、まだ大人になり切れていない栞の前に直也が立ち塞がることは、彼女の夢を摘んでしまうことになりかねない。

そう考えると、積極的に栞にアプローチすることはできない気がした。

せめて栞がもう少し大人だったら……直也は迷わず栞に交際を申し込んでいただろう。

栞と最後に会ったあの日から、直也はずっと考え続けていた。

そして直也が出した結論は、自分の気持ちを栞に伝えないという選択だった。

直也は、キャビンアテンダントになりたいという彼女の未来のために、そう選択したのだ。

直也はグッと歯を食いしばると、携帯をポケットへしまった。

そして、戻って来た看護師にこう告げた。

「次の方を呼んで下さい」

直也はやりきれない思いを抱えたまま、新しく入って来た患者の診察を始めた。