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ruruha
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きゆう
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📩 相談
高校2年・Rさん
部活を辞めました。
ずっと迷っていたけど、自分で決めました。
辞めた直後は、これでよかったと思っていました。
時間もできたし、前より楽になりました。
でも、元部員のみんなが大会の写真をSNSに載せているのを見ると、急に後悔します。
楽しそうにしているのを見ると、
「自分も残っていればよかった」
「なんで辞めたんだろう」
「本当は辞めたくなかったんじゃないか」
と思います。
でも、実際に部活にいた頃は、辞めたいと思っていました。
だから、今の自分がよく分かりません。
自分で選んだのに、他の人が楽しそうにしていると、その選択が間違いだったように思えてきます。
どうしたら、自分で決めたことを後悔しなくなりますか?
遥「……大会の写真を見たときだけ、辞めたことを後悔するんだな」
R「はい」
遥「部活にいたときは?」
R「辞めたかったです」
遥「じゃあ、写真を見て後悔したことと、部活を辞めたかったこと。どっちも本当なんじゃないかな」
R「……両方?」
遥「うん」
蓮司「俺は、そもそも写真に勝負させてるのが変だと思う」
R「勝負?」
蓮司「おまえが部活にいた頃の現実と、今見てる大会写真」
R「……」
蓮司「比べるなら、本来は『部活にいた頃の一日』と『今の一日』だろ」
R「でも、写真を見ると楽しそうで」
蓮司「そりゃ写真だからな」
R「……」
蓮司「大会の日に、誰かが体育館の隅で最悪な顔してても、そんな写真わざわざ載せないだろ」
R「それは……そうです」
蓮司「なのに、おまえは今の自分の普通の日と、向こうの一番見栄えのする瞬間を比べてる」
R「……言われてみれば」
日下部「ただ、写真だから全部嘘という話でもない」
R「はい」
日下部「本当に楽しかったんだろう」
R「……そうだと思います」
日下部「なら、それはそれでいい」
R「でも、それを見ると苦しくなります」
日下部「そこで問題なのは、他人が楽しんでいることではなく、おまえがそこにいないことじゃないか」
R「……」
日下部「『あの場所が嫌だった』と『あの場所に自分がいないのが寂しい』は別だ」
R「……あ」
遥「それ、分かる気がする」
R「遥くんも?」
遥「場所そのものは嫌だったのに、そこにいる人たちを見ると、自分だけ外にいる感じがして嫌になることある」
R「……そうです」
遥「だから、『戻りたい』とはちょっと違うのかもしれない」
R「じゃあ、私は何が嫌なんでしょう」
蓮司「分からなくてもいいだろ」
R「え?」
蓮司「『戻りたい』の一言でまとめようとするから変になる」
R「……」
蓮司「おまえが欲しいのは、部活そのものじゃなくて、そこで起きてる何かかもしれない」
R「何か……」
蓮司「大会に出ること。みんなで喜ぶこと。終わったあとに写真を撮ること。自分もその中にいること」
R「……」
蓮司「部活を辞めたからって、それ全部を欲しがっちゃいけないわけじゃない」
R「でも、部活を辞めた以上、もう無理ですよね」
日下部「部活に戻るかどうかと、それを欲しいと思うことは別だ」
R「……」
日下部「大会に出たかったのかもしれない。みんなと何かを達成したかったのかもしれない。ただ、それだけで『辞めるべきではなかった』とはならない」
R「難しいです」
遥「うん」
R「どっちが本当の気持ちなのか分からなくなります」
遥「たぶん、どっちかを本物にしなくていいんじゃないかな」
R「……」
遥「辞めたかった自分も本当。
大会の写真を見て寂しい自分も本当。
みんなと一緒にいたかった自分も、本当だったかもしれない」
R「……」
遥「一個の気持ちだけで決めなくていいと思う」
蓮司「むしろさ」
R「はい」
蓮司「おまえ、『後悔した=選択を間違えた』って考えてない?」
R「……考えてます」
蓮司「そこが一番怪しい」
R「でも、後悔するってことは、やっぱり辞めない方がよかったんじゃ……」
蓮司「じゃあ聞くけど、辞めなかった場合は?」
R「……」
蓮司「その世界では、おまえは今も『辞めればよかった』って言ってるかもしれない」
R「……それは、ありそうです」
蓮司「だろ」
R「……」
蓮司「選ばなかった方って、実際に生きてないから、都合よくできるんだよ」
R「都合よく?」
蓮司「『もし残ってたら、今ごろみんなと楽しく大会に出てた』って想像できる。
でも、実際に残ってたら、練習で疲れて、また辞めたいと思ってたかもしれない」
R「……」
蓮司「存在してない未来は、嫌な部分が見えない」
日下部「選ばなかった方には、失敗の証拠がないからな」
R「……それ、すごく嫌です」
遥「なんで?」
R「選んだ方には、実際に嫌だったこともある。でも、選ばなかった方には、嫌だったかどうかすら分からない」
蓮司「だから、きれいに見える」
R「……はい」
日下部「ただ、きれいに見えることと、実際に良かったことは同じではない」
R「……」
日下部「想像上の未来には、想像上の問題も入っていない」
R「じゃあ、どうしたらいいんですか」
蓮司「写真を見るたびに人生会議するのをやめる」
R「……それは無理です」
蓮司「じゃあ、まず『今、羨ましいんだな』で止める」
R「羨ましい……」
蓮司「『羨ましい』から『辞めたのは間違いだった』まで飛ばない」
R「……」
蓮司「大会に出てるのが羨ましい。
みんなで笑ってるのが羨ましい。
自分もそこにいたかった。
そこまでなら、ただの気持ちだろ」
R「……確かに」
遥「その気持ちを持ったままでも、今の生活を選んでいいんだと思う」
R「……」
遥「『羨ましい』って思ったからって、今の自分が間違いになるわけじゃない」
R「でも、今は部活に入ってないから、何かを一緒に頑張ることもないです」
日下部「なら、そこは新しく作ればいい」
R「新しく?」
日下部「部活で欲しかったものが何なのか分かれば、それに近いものを別の場所で探せる」
R「……」
日下部「大会そのものが欲しかったのか、仲間と何かを達成する感覚が欲しかったのか、単に『自分もそこにいた』という感覚が欲しかったのか」
R「……まだ分かりません」
日下部「なら、今すぐ決めなくていい」
R「またそれですか?」
日下部「分からないものを無理に決めても仕方ない」
R「……」
遥「俺は、羨ましいって思えること自体は悪くないと思う」
R「どうして?」
遥「だって、自分が何を欲しかったのか、そこから分かるかもしれないから」
R「……」
遥「『辞めたのが間違いだった』じゃなくて、『本当はこういうことがしたかった』に変えられるかもしれない」
R「……あ」
遥「そしたら、部活に戻る以外にも方法があるかもしれない」
R「……そうか」
蓮司「ただし、無理に前向きな意味を見つけなくてもいい」
R「はい」
蓮司「今日は単純に『羨ましい』で終わってもいい」
R「……それでもいいんですね」
蓮司「いいだろ」
日下部「感情が出るたびに、人生の判定までしなくていい」
R「……」
日下部「後悔した日は後悔したままでいい。翌日にまた考えればいい」
R「そんなに簡単に切り替えられないです」
日下部「切り替えなくていい」
R「……」
日下部「ただ、後悔したことと、選択が間違いだったことを同じにしなければいい」
Rはしばらく黙っていた。
R「……次に写真を見たとき、『羨ましい』って言ってみます」
蓮司「声に出さなくていいからな」
R「分かってます」
遥「そのあと、『じゃあ自分は何が欲しいんだろう』って考えてみてもいいかも」
R「はい」
日下部「答えが出なくても、そのままでいい」
R「……ありがとうございました」
扉が閉まる。
遥「選ばなかった方って、確かにきれいに見えるな」
蓮司「実際に生きてないからな」
日下部「だから、比べるなら想像じゃなくて、今ある生活と比べた方がいい」
遥「……それでも羨ましい日はあるけど」
蓮司「あるだろ」
遥「じゃあ、それでいいのか」
日下部「いい」
遥は少し笑った。
遥「なんか、今日の相談、俺たちにも刺さるな」
蓮司「相談室ってそういう場所だろ」
日下部「自分たちだけ別だと思うな」
🗝 三人からのことば
遥
「羨ましい」と「戻りたい」は同じじゃない。
今の選択を後悔する日があっても、その選択をしたときの自分まで間違いだったことにはならない。
蓮司
選ばなかった未来は、嫌なところまで想像しなくて済むから綺麗に見える。
「もしあっちを選んでいたら」を、実際に生きている今と同じ条件で比べることはできない。
日下部
後悔したことと、選択が間違いだったことは別だ。
「何が欲しかったのか」が分かれば、選ばなかった道に戻らなくても、それを別の形で探せる。
コメント
1件
もう…この話、すごく心にきたよ🥀 「後悔した=選択を間違えた」じゃないって、蓮司くんの言葉が刺さる。選ばなかった未来って、嫌な部分が見えないからきれいに見えるだけなんだよね…それ、すごく分かる。 でも「羨ましい」で止めて、そこから無理に答えを出さなくていいって言われて、なんだかすごく楽になった。私も最近の選択を後悔することあるけど、今日は「羨ましいな」で終わりにしようって思えた。 三人とも、ちゃんとRさんの気持ちを受け止めてたのが素敵だった。私もこういう相談室、欲しいな🌙