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きょうふ
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comi
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#可愛い
トド村
37
コメント
1件
うわっ、天国美(へぶみ)がめっちゃ可愛いじゃん!「ご主人様が死ぬの嫌」って床にへたり込んで泣くシーン、卑怯だよな~あれには俺も胸がぎゅっとなったわ。陰キャ主人公が「どうせ無理」って諦めかけたところを、ドッペルゲンガーに引っ張られる展開、好きだわ。名前のくだりの掛け合いもテンポ良くて笑った。あと49日、この凸凹コンビがどう動くのかめっちゃ気になる🔥
「真実の愛を見つける……?」
楓子さんから発せられた荒唐無稽な言葉を反芻し、頭が真っ白になる。
あと49日以内に真実の愛を見つけ出さないと死ぬ?
陰キャコミュ障の私が?
無理じゃん。
「他に方法はないんですか……?」
「………すまない」
楓子さんが目を伏せる。私は頭を抱えて、重いため息を吐いた。
そっか。私、49日後に死ぬんだ。
私はこれまでの人生を思い出す。
人を避け、孤独を選び、その結果として孤独になった二十三年間を。
「………別にいいんじゃないですかね。無理に私を生かそうとしなくても」
私が諦めた顔で呟くと、楓子さんが私の目をじっと見つめてきた。
「………本気で言ってるのかい?」
「ええ。私が真実の愛を見つけるなんて絶対
無理だし、ドッペルゲンガーを殺してまで生きたいとも思えません。……むしろ私の代わりに、この子が人間として生きてくれれば、それが一番いいんじゃないですかね」
そう言って、私は隣にいるドッペルゲンガーを見る。
この子は私と違って明るくて、愛嬌がある。
派遣先の携帯ショップの、あの職場の人達とも上手くやっていける。
それに――パンクでロックな私の両親だって、私なんかよりもこの子が娘でいてくれた方が、きっと幸せだろう。
「残った49日は、YouTubeでも見て時間を潰しますよ。真実の愛なんて探すよりも、よっぽど有意義です。……帰ろう、ドッペルゲンガー」
私は立ち上がり、部屋を出ようと一歩踏み出す。
その時だった。
ぎゅっ。
誰かが、私の手を強く握った。
振り返ると、ドッペルゲンガーが唇をわなわなと震わせながら、私を見つめていた。
「ご主人様が死ぬなんて、ぜったい嫌です!!」
私の手を壊れそうなほど握りしめながら、彼女が叫ぶ。
「あんた……分かってんの!? このままだと、あんたが殺されちゃうんだよ!? わがまま言わないでよ!!」
「やだ!!」
まるで三歳児だ。
顔を真っ赤にして、泣きそうになりながらぷるぷる震えている。
「ご主人様……お願いだから、そんな簡単に死んでもいいなんて言わないでください……!! 真実の愛が必要なら、探せばいいじゃないですか!?」
「そんなもん、どうやって探すのよ!?」
「わかりません!!」
「はぁ!?」
「わかんないっ……わかんないけどっ!!」
ドッペルゲンガーは私の手を握ったまま床にへたり込み、みっともなく泣き出した。
「ご主人様が死んちゃうのは嫌なんです……! もうご主人様のごはんが食べられないのも、一緒にお風呂に入れないのも、『いってきます』も『ただいま』も聞けなくなるのも、ぜったいやだ!! どうしたらいいかわかんないよぉ……!!」
胸の奥が、ぎゅっと音を立てて痛む。
……なんだよそれ、卑怯じゃん。
「………分かったよ。その真実の愛?とやらを探せばいいんでしょ」
頭をガリガリとかきながら、私が言う。
ドッペルゲンガーはまだ、ズビズビとぐずりながら泣いている。
「あーもうっ、私の顔で泣かないでよみっともない!!」
私はポケットからハンカチを取り出し、彼女の顔をゴシゴシと拭いた。
そんな私たちを見て、楓子さんが心底安心したように小さく笑う。
「乗りかかった船だ。私も君達のことを全力で手助けするよ」
そう言って、楓子さんが私たちの肩をぽんと組んだ。
◇
自宅のアパートに戻る頃には、もうすっかり夜になっていた。
窮屈だったゴスロリ服を脱ぎ捨てて元の姿に戻り、シャワーを浴びる。
鏡の前で、無理のある体勢をしながら自分のお尻を確認してみた。
お尻の右の方に、小さなハートマーク。そして『49』という痣がくっきりと浮かび上がっている。
「本当にあるじゃん、痣……。私、49日後に死ぬのかぁ……」
命の危機を示すカウントダウンの割には、ハートマークのせいでどうにも締まらない。
あと一か月半ちょいで、一体なにが出来るってんだよ。
私は大きなため息を吐いた。
パジャマに着替えて布団に入る。
私が目を閉じていると、カサコソとドッペルゲンガーが布団の中に潜り込んできて、私を強く抱きしめてきた。
「………痛いし暑苦しいし眠れないんだけど」
「ご主人様、私頑張ります。ご主人様が真実の愛を見つけられるよう、全力で頑張ります」
「はいはい分かった分かった。とりあえず暑苦しいから離れてくんない?」
「今日はこのままがいいです」
子どもかよ、本当にもう。
「………そういえばさ。まだあんたの名前、付けてなかったね」
「ご主人様、まさか私の名前を考えてくれるんですか!?」
ぱっと顔を輝かせる。
そうだな、私と同じ顔で、私と正反対の性格の女の子。
「決めた。あんたは『天国美(へぶみ)』。天国に美しいって書いて、へぶみ。どう?」
天国美は、一瞬でこれ以上ないほど渋い表情になった。
「え……ださ……。もっと可愛い名前がいいです」
なんだこいつは。
ドッペルゲンガーのくせになまいきだぞ。
「だめ。もう決めたから。今日からあんたは天国美です」
「やだ!! BボタンBボタンBボタン!!」
「進化の裏技みたいに名前キャンセルすな」
こうして、私と天国美、そして楓子さんによる「真実の愛」を探す生活が始まった。
タイムリミットまで、あと49日。