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蓮司「よっしゃあ〜! 着いたー! 風呂! 冷たいジュース! エアコン最高!!」
遥「騒がしい……廊下までうるさいぞ」
日下部「蓮司、ベッド跳ねるな。壊れんだろ……」
蓮司「えー、だってテンション上がるじゃん。見ろよこの景色! 部屋の窓から海がバチバチ見える! ほら遥も来いよ」
遥「……暑い。あとで」
日下部「じゃあ俺は風呂先入るわ。蓮司、次な」
蓮司「了解〜。遥は? 入らねーの?」
遥「あとで」
蓮司「また“あとで”かよ。まあ、いいけどな」
(しばらくして、夕暮れの浜辺)
蓮司「おー、ちょっと雲出てるけど、夕日きれいじゃん? うわ、波冷たっ。おい遥、こっち来いよー」
遥「……足だけなら」
日下部「夕飯まであと一時間か。ちょうどいいな」
(3人、サンダル脱いで、波打ち際を歩く)
蓮司「さっきさ、宿の人が言ってた。夜に浜で花火やっていいらしい。線香花火もあったって。……やる?」
遥「……別に」
日下部「いいんじゃないか。せっかくだし」
蓮司「よーし決定〜。こういうの、案外似合うんだよな俺たち」
遥「どこがだよ」
蓮司「いやいや、日下部は意外と情緒あるし、遥は――」
遥「……変なこと言ったら蹴る」
蓮司「へーい」
(遠くでチャリンコの音、砂浜に一人、散歩の子供)
日下部「……なんか、いいな。こういう普通」
遥「普通って、なんだよ」
蓮司「んー。別に特別なこと起きなくても、こうやってぼーっとしてられる感じ? ……お前らとだと、退屈が退屈じゃないっていうかさ」
遥「……」
日下部「蓮司、それはちょっと……らしくないな」
蓮司「うっせ、たまには言うだろ。夕焼けが俺をそうさせんの!」
遥(小声)「バカみたい……」
日下部「……でも。悪くない」
(波の音がゆっくり寄せては返し、三人の足元だけを濡らしてゆく)