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コメント
22件
マリコ先生の、「幸いにも…」が共感でした✨ 赴任してきて早々に女豹🐅から亡き妻の話とアピールされてもホントに憂鬱😒ですよね😡 美奈子さんのいない淋しい現実のあと、七星ちゃんとの会話を思い出してパワーが漲るなんて⤴️ヽ(*^ω^*)ノ 早く優人先生が自分の気持ちに気づいて欲しいな
うわーやはり由希との会話は疲れを増長させていたんだ💢 それに引き換え七星ちゃんとの海辺での会話は心が解れていくようで力が湧いて来たのでしょうね もう七星ちゃんに惹かれているのは一目瞭然ですね🩷
女豹由希、踏み込み過ぎて嫌な感じーーーー😖私と付き合って...ない!ない! 優人先生、ふとした時に自然に七星ちゃんを思い出してしまうのね...無意識に求めてるのかな(*´˘`*)♡ つくしのお礼お早めに~💕
西原衣都
684
#ドロドロ
柏木さくら
472
#大人の恋愛
Jasmine
683
管野アリオ
4,386
翌日の夕方。
この日、脳神経外科では、優人とこの春入った新人医師、新人看護師の歓迎会が開かれていた。
夜勤の医師や看護師を除く科の全員が、病院近くの居酒屋に集まっている。
優人は飲むことを見越し、車をマンションに置いてバスで出勤していた。
岬の先端に近い田舎の総合病院とはいえ、湊総合病院は地域で最も大きい。
脳神経外科からは医師や看護師合わせて十二名が参加していた。
優人が院長・野中の隣に座り、その向かいに新人医師が腰を下ろすと、看護師たちが一斉に周囲を取り囲んだ。
その中には平子由希の姿もあり、彼女は素早く優人の隣の席を確保した。
乾杯が終わると宴会が始まった。
気の利く看護師たちは、男性医師たちにお酌をし、料理を取り分けていく。
優人の分は、由希が甲斐甲斐しく世話を焼いていた。
病院の話題で盛り上がり、酒が進むにつれて、院長の野中は各テーブルへ挨拶に回り始めた。
それに合わせるように新人医師も席を立つ。
すると、周囲にいた看護師たちが徐々に散っていき、気づけば優人の隣には由希だけが残っていた。
「尾崎先生って、東京のご出身なんですよね?」
由希は新しく運ばれた料理を取り分けながら、職場では見せない甘い声で尋ねた。
「あ、はい」
「東京のどちらなんですか?」
「千代田区です」
その答えに、由希は目を丸くした。
「ええっ、千代田区って東京のど真ん中ですよね?」
「まあ、そうですね」
「えっ、じゃあ先生のご実家って、もしかして資産家とか……?」
あまりに直球な質問に優人は少し驚いたが、穏やかに答えた。
「資産家ではないですが、祖父の代から医師の家系なんですよ」
「へぇ~、すごい! じゃあご実家は開業されてるんですか?」
「はい。兄が実家の病院を継いでいます。妹も医者で、今は東京の大学病院にいます」
東京の一等地に代々続く医師の家系と知り、由希の瞳は一層輝いた。
「うわぁ……じゃあ、尾崎先生のお嫁さんになる方って、それ相応の方じゃないとご実家に認めてもらえなさそうですね」
由希はそう言ってからハッとしたように口を押さえ、慌てて謝る。
「すみません……噂でちょっと耳にしたものですから……」
優人は特に気にする様子もなく、静かに言った。
「亡くなった妻のことなら、気にしないでください。もうだいぶ時間が経ちましたから」
「本当に……なんと申し上げていいか……。先生の奥様だったら、とても素敵な方だったんでしょうね」
「はい。僕にはもったいないくらい、素晴らしい妻でした」
「やっぱり! とても仲がよろしかったんですね」
「ええ。喧嘩は一度もしたことがありませんでした」
「まあ……。でしたら、奥様も先生のこと、心配していらっしゃるでしょうね」
「心配?」
「ええ。自分がいなくなったあとの先生のこと、きっと気にかけておられると思いますよ」
その言葉に、優人は思わず笑みをこぼした。
「どうでしょうね」
「絶対、心配されてると思いますよ。だから先生も、そろそろ次の出会いを見つけて、天国の奥様を安心させてあげないと」
その言葉に、優人は驚いたように目を見開き、慌てて首を振った。
「いや、まだ全然そんな気にはなれないですよ」
困ったように微笑む優人を見つめながら、由希は心の中でつぶやいた。
(早く私と付き合って、新しい幸せを掴めばいいのに)
そう思いながら、彼女は満足げに口元をゆがめ、静かに笑みを浮かべた。
歓迎会が終わる頃、参加者たちは地域ごとのタクシーに分乗して帰ることになった。
幸いにも、優人と由希の帰る方向は正反対で、彼女のしつこいアピールからは何とか逃れることができた。
優人は同じマンションに住む新人医師と新人看護師とともに、社宅へ戻った。
マンションに着いた三人は、エレベーターに乗り込んだ。
新人看護師、新人医師の順にそれぞれの階で降りていき、最後に残ったのは優人だけだった。
最上階でエレベーターを降り、誰もいない真っ暗な部屋の玄関を開ける。
この瞬間がいつも、辛い現実を胸の奥に重くのしかからせる。
真っ暗な部屋は、美奈子がもういないという事実を容赦なく突きつけてくる。
それは、優人が現実から逃れようとする術を、見事に奪い去る。
部屋に入り電気をつけると、ようやく肺の奥まで空気が入っていくような気がした。
カーテンを閉めようと窓辺に近づくと、海に浮かぶイカ釣り漁船の漁火が目に入る。
その明かりをぼんやり眺めていると、昨日の七星との浜辺での会話がふと脳裏に浮かんだ。
彼女と過ごした穏やかな時間は、ほんの一瞬、優人を辛い現実の痛みから遠ざけてくれたように思えた。
優人はふっと微笑んだ。
「彼女に“つくし”のお礼をしないと……」
そう思った途端、力の入らなかった体に、じわじわとやる気が満ちてくるのを感じた。
「シャワーでも浴びるか……」
先ほどまでの憂鬱が嘘のように、優人は力強い足取りでバスルームへ向かった。