日曜日、杏樹は優弥の腕にすっぽりと包まれた状態で目覚める。
なんだか身体中が気怠かった。それもそのはず、昨夜杏樹は何度も優弥にイカされたのだった。
杏樹は一晩中悦びの声を上げ続け眠りにつく頃にはすっかり体力を使い果たしていた。
狭いシングルベッドの上で杏樹が身体を動かすと優弥が目を覚ました。
「ごめんなさい、起こしちゃった」
「んっ…おはよう…」
「おはよう」
杏樹は恥ずかしそうに微笑むと優弥の喉元に顔を寄せた。
昨夜はシャワーを浴びずにベッドにINしたので優弥の身体にはかすかにウッディアロマの香りが残っていた。
その誘うような香りに優弥の体臭が混ざると途端に女性の芯を熱くしてしまう効果がある。
その香りを嗅ぎ耐え切れなくなった杏樹は少し身体をよじった。それに気付いた優弥はすかさず杏樹の喉元にキスを浴びせる。
「あ……んっっ」
「フッ、銀行ではすました顔で窓口に出ているのに俺の前ではこんな声を出すのか?」
優弥の俺様プレイが始まった。最近余裕が出て来たのか優弥はこうして杏樹を言葉攻めにするのを楽しんでいるようだ。
「んっ…だって気持ちいいんだもん…」
「いけない子だ……そんな女子行員には上司がお仕置きをしなくちゃだな」
優弥は上半身を起こすと上から悩まし気な視線を杏樹に投げかけた。そんな瞳で見つめられたらおかしくなりそうだ。心に正直な杏樹の身体は芯の部分がズキンと疼きあっという間に蜜が溢れ出してくる。
優弥はニヤリと笑うと右手で杏樹の敏感な部分に触れた。
「あっっ……」
「杏樹、もうビショビショだぞ」
杏樹が恥ずかしさのあまり顔をそむけると、目の前に差し出された可愛らしい耳たぶに優弥がむしゃぶりついた。
優弥は舌先をつかって丹念に耳を愛撫する。それだけで杏樹の身体はゾクッと震え鳥肌が立つ。
「朝から声を出して感じるなんて悪い子だな……」
優弥は横向きで横たわる杏樹の背中にピタリと身体をつけると後ろから杏樹の胸を揉みしだく。
そして硬くなった自分自身を押し付けた後ゆっくりと杏樹の中へ割って入っていった。
「あぁんっっ、だめぇ……」
「何が駄目なんだ? どんどん溢れてるぞ?」
優弥が腰を振る速度を速めると杏樹は声を出し激しく悶え始める。
それから1時間近く二人はシングルベッドの上で絡み合った。
少し仮眠をとった後二人はふたたび目覚めた。
優弥が先にシャワーを浴び、その後杏樹がバスルームへ行った。
朝食は杏樹が作ると言っていたが優弥は暇だったので勝手にキッチンで朝食を作り始めた。
スクランブルエッグが完成した時、テーブルの上に置いてある杏樹のスマホが音を立ててブルブルと震える。
(ん? 日曜の朝から誰だ?)
気になった優弥はブルブル震えているスマホを見に行く。
するとそこには『樋口光弘』という男性の名前が表示されていた。
(男? 日曜日の朝に? 一体誰なんだ?)
優弥はかなり気になったが人のスマホを勝手に触るほどデリカシーのない男ではないので、悶々としつつキッチンへ戻る。
とにかく杏樹が戻って来たら確認しようと思った。
それから5分後杏樹がリビングへ戻って来た。戻って来るなり優弥に言う。
「家は隣なんだから普段着くらい取ってくればいいのに」
スラックスに少し皺のあるワイシャツを着た優弥を見て杏樹はクスッと笑う。
「スウェットや普段着を杏樹の部屋に置いておくかな」
「隣なのに?」
そこでまた杏樹はクスクスと笑う。そしてキッチンに来て言った。
「朝食作ってくれたんですね、ありがとう」
「スクランブルエッグだけだけどね」
優弥はドリップが終わったコーヒーをカップに注ぐとトーストを焼き始めた。
「そういえばさっき電話が鳴ってたぞ」
「電話? 誰だろう?」
杏樹はテーブルへ行くとスマホを手にしてチェックした。
「えっ? どうしようっ! 伯父さんが来るって!」
「電話は伯父さんからだったのか?」
「うん、駅からかけてきたみたい…どうしよう、もう来ちゃうわ」
優弥は電話に表示された名前が杏樹の伯父だと知りホッとした。
しかしホッとしたのも束の間、杏樹の伯父が今から来ると聞き焦る。
「まずいな、泊まったのがバレちまう。ちなみに伯父さんてどんな感じの人?」
「伯父には子供がいないので私の事を実の娘のように可愛がってくれるの」
「その可愛い姪の家に朝から見知らぬ男がいたらヤバいよな…」
「うん、それに伯父は曲がった事が大嫌いな人なの……どうしよう、怒られるかも……」
杏樹は真っ青になって焦っている。
もちろん優弥も焦っていた。
「とにかく俺は一度家に退散した方が良さそうだな」
優弥はエプロンを外すとハンガーに掛けてあった上着とネクタイ、それにバッグを手にした。
そして玄関に向かおうとした時、室内には無情なインターフォンの音が響き渡る。
ピンポーーーン
思わず二人は顔を見合わる。そこで優弥は覚悟を決めた。
「正直に言うしかないな」
「でも……」
「俺達は真面目に付き合ってるんだろ? だったら問題ない」
「うん……」
「大丈夫だ、俺に任せろ」
優弥は杏樹を安心させるように優しく言った。
「じゃ、出るね」
「ああ」
杏樹はスリッパをパタパタさせて玄関に向かった。
その間に優弥はワイシャツの皺を伸ばし髪を撫でつける。
杏樹は玄関まで行くとドアを開ける。
すると叔父の樋口光弘がニコニコして立っていた。
「杏樹、いたのか。電話をかけても出ないしメッセージにも返事がないから風邪でもひいて寝込んでいるのかと思ったぞ」
伯父の樋口はホッとしながら玄関に入る。
「ごめんなさい、スマホの音を消していて気付かなかったの」
「なんだそうか。実はな、今日この近くで昼食会があるからその前に寄ってみたんだ。ちょっとだけお邪魔するぞ。どうだ? 住み心地は?」
樋口が靴を脱ごうとすると玄関に男物の靴がある事に気付く。
「ハハッ、お前防犯用にこんなの買ったのか? でもこのマンションはセキュリティがしっかりしているからこんなのいらないぞ?」
樋口は可笑しそうに笑いながら廊下をズンズンと進んで行く。
「伯父さん、ちょっ、ちょっと待って! 違うのよ……」
杏樹は焦って樋口を追いかけながら言ったが、そんな事には気にも留める様子もなく樋口はリビングへ向かった。
そしてドアを開けて樋口がリビングへ入った瞬間、一人の男がソファーから立ち上がり樋口に向かって会釈をした。
それを見た樋口は驚いて言葉を失った。
コメント
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これはドキドキのご対面だー!
おじさまと俺様がご対面💖
おー、どうなるの?今作1番の山場ですか?でもでも、私も面識ありそうな、、、予感が。😊