テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
カーテンの隙間から差し込む午後の光が、部屋の中を柔らかくオレンジ色に染めていた。陸はソファに腰を沈め、腕を組んで膝を抱える。ラフな格好に、少し乱れた髪。隣に座る湊を見て、胸の奥がひりつくような感覚が走った。
湊はそっとコーヒーカップを置き、陸の肩に視線を落とす。指先でさりげなく膝に触れ、軽く握る。その距離感に、陸の心臓が一拍早く跳ねる。
「……近いな」
「そうか?」
低く囁かれた湊の声。陸は視線を逸らすが、頬がわずかに熱を帯びるのを感じた。膝が触れるたび、指先が絡むたび、胸の奥がじんわりと疼く。
映画をかける。画面よりも、肩越しに漂う湊の香りや、手のひらに伝わる温度が気になって仕方がない。陸はわざと体を湊に寄せ、息遣いを意識させる。湊も反応するように、肩をわずかに合わせ、視線を外さず微笑む。
映画が終わる頃、台所に立つ湊の後ろ姿を陸は見つめる。腰から背中にかけてのライン、髪の柔らかさ、腕の動き。視線を送るだけで、胸が締めつけられるようだった。
「手伝おうか?」
「……いや、大丈夫」
湊の声に軽く息を詰め、膝を少し浮かせて距離を縮める。手と手が偶然触れ、指先が絡む。その瞬間、二人の間に流れる空気が一瞬で熱を帯びる。
夕日が部屋をオレンジ色に染め、窓辺に座った二人は膝を軽く重ねたまま、互いの呼吸と体温を感じる。視線が交わるだけで胸が高鳴り、言葉は必要なかった。指先の触れ合い、肩の距離、息遣いの微妙な震え……それだけで、二人だけの世界が生まれている。
陸はそっと湊の手を握り返す。湊も自然に応え、手のひらの温度が互いの鼓動を知らせる。沈黙の中、言葉より濃密な何かが、部屋いっぱいに漂った。
夕暮れの光が二人の顔を照らし、唇の端がわずかに曲がる。目が合うたび、体の奥が熱くなる。互いに距離を取りながらも、微妙な触れ合いが、心と体の境界線を淡く揺さぶるのを感じていた。
そのまま二人はソファに並び、指先を絡ませたまま静かに時間を共有する。言葉はなくとも、触れ合う距離、視線、呼吸のすべてが、密やかな熱を伝えていた。
窓の外はすっかり暗くなり、街灯のオレンジの光が部屋の中に淡く差し込む。二人はソファに並んで座り、膝を軽く重ねたまま静かに映画の余韻を味わっていた。指先が触れるたび、互いの鼓動が伝わる。
陸は息を少し荒くしながら、湊の肩越しに視線を落とす。肩から腕にかけての温度、背中に触れる体の微かな揺れ。すべてが、胸の奥をじんわりと熱くした。
「……陸」
低く囁く湊の声に、陸は一瞬息を詰める。視線を上げると、湊の瞳が静かに、しかし力強く陸を見つめていた。自然に体が近づき、肩が触れる。
指先が互いの手を絡ませたまま、視線は途切れず、沈黙が甘く張りつめる。陸の胸の奥がじわじわと熱を帯び、呼吸が少し乱れるのを自覚する。湊も同じように、ゆっくりと息を吐き、陸の動きに合わせて体を寄せた。
互いに視線をそらさず、自然に唇が触れそうな距離まで顔を近づける。陸の頬がわずかに紅くなり、湊の視線がそれを追いかける。胸の鼓動が耳にまで響くようで、指先の温度だけで心が揺れる。
そして、静かに、唇が重なる。軽く触れるだけの最初の接触は、ゆっくりと深まり、互いの呼吸と温もりが絡み合う。陸の手は湊の肩に添えられ、湊の手はそっと腰のあたりで支える。ぎこちなくも確かなリズムで、二人は濃密なキスを交わした。
唇が離れた後も、視線と息遣いは絡んだまま。言葉はなくとも、触れ合う距離と温度が互いの気持ちを伝えていた。夜の静けさと二人だけの熱が、部屋を満たしている。
陸は小さく息をつき、湊の手をぎゅっと握り返した。湊は微笑み、そっと額を陸の額に寄せる。静かに、しかし確かに交わされたキスの余韻が、二人の間に濃厚な温もりを残していた。
※このあとは想像にお任せします。ここまで読んでくださった皆さまありがとうございました!
また、他の作品でお会いしましょう!