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「すみません、お先に失礼します」
「村下さん、一時間延長してもらってすみませんでした。お疲れ様でした」
「ではまた明日。お先に」
店長に軽く会釈をした私は、店を出ると休憩室に荷物を取りに行き、急いで従業員通用口を通り抜ける。
バッグを脇に抱えながら駆け足で、立川北駅のすぐ近くにある市営の複合施設の一角へ向かった。
夏樹さんとの濃密な一夜を過ごしてから三年以上が過ぎ、私は変わらず立川の百貨店内に出店しているアパレルブランド『Hearty Beauty』で、ショップスタッフとして働いている。
目まぐるしい毎日、体力の衰えを感じる事も多くなったけれど、充実した日々を送っていた。
この日は接客業務と並行して、翌日からスタートする夏のクリアランスセールの準備に大忙しで、一時間残業となったけれど、これくらい忙しい方が私には丁度いい。
腕時計をチラッと見やると、もうすぐ十九時になろうとしている。
ギリギリセーフだ。
私はさらにダッシュして、施設の入り口に滑り込むと、バッグからIDカードを取り出しながら首に下げ、可愛いイラストが描かれているスライドドアを開けた。
「遅くなってすみません! 村下です」
「村下さん、こんばんは。お仕事。忙しいようですね……」
淡いピンクのエプロンを身に付けた、長い茶髪を後ろに束ねた若い女性が、目を細めながら応対してくれた。
「ええ。明日からセールが始まるのもあって、急遽残業になってしまったんです。連絡するのが遅くなってしまって、本当にごめんなさい」
「大丈夫ですよ。では、ちょっとお待ち下さいね」
女性が施設の奥の部屋に入っていった数十秒後、女性に手を引かれて小さな女の子が現れる。
「あ! ママ〜!!」
「樹里。お迎えが遅くなってごめんね……」
私を視界に捉えるなり、ポニーテールにした黒髪を揺らし、子どもにしてはクールな目元をキラキラさせながら、駆け足で私に向かってくる女の子。
「樹里。室内で走ったら危ないよ?」
我が娘の目線に合わせてしゃがみ、小さな頭をそっと撫でると、樹里はコクリと大きく頷いた。
「先生、ありがとうございました。明日もよろしくお願いします」
「せんせい、さようならっ!」
樹里の手を取りながら立ち上がった私は、遅番勤務の保育士たちに一礼すると、娘も倣って頭をペコッと下げ、私たちは保育園を後にした。
コメント
2件
夏樹さんの子供でしょ…
エピソード読み終わったよ〜!🌸 村下さん、仕事終わりにダッシュで保育園お迎えシーン、めっちゃリアルで胸がぎゅっとなった😭💕 樹里ちゃんが「ママ〜!!」って走ってくるの、想像しただけでほっこりする…!! 3年前の夏樹さんとの一夜のことがチラッと出てきて、今の生活との繋がりがすごく気になる〜! 日常の温かさとちょっと切ない過去の香りが混ざってて、次の展開が待ちきれないよ✨ お疲れ様、管野アリオさん! 続きも楽しみにしてるね〜!
#ハッピーエンド
瑠璃マリコ
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ひより
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#上司と部下
ゆうた
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