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高校二年生・仮名:Sさん
周りに、絵が上手い人とか、勉強ができる人とか、部活で活躍している人とか、何か一つ武器を持っている人がいます。
でも自分には、そういう分かりやすいものがありません。
人より少しできることはあっても、「これが自分の強みです」と言えるものがないです。
将来のことを考えると、何もないまま大人になる気がして焦ります。
みんな何か持っているのに、自分だけ空っぽみたいです。
日下部
「まず訂正しておこう。みんな何か持っているわけではない」
遥
「いきなり身も蓋もないな」
日下部
「事実だ。高校生の時点で、自分の武器を理解している人間の方が少数派だ」
蓮司
「でもSさんが焦る気持ちも分かるよ。見えるのは“持ってる人”だからな」
遥
「そうなんだよ。特技ない人って目立たないんだよな」
日下部
「特技は発見されるものではなく、比較によって認識される場合が多い」
遥
「難しい」
蓮司
「つまり、みんな自分にないものばっか見てるってこと」
遥
「あー。 それはある」
日下部
「例えば絵が上手い人は、自分の画力ではなく、運動能力の低さを気にしているかもしれない」
遥
「勉強できるやつは友達作るの苦手だったり」
蓮司
「人って不思議で持ってない部分ばかり見つけるんだよね」
遥
「でもさ、Sさんの焦りって特技ないことより置いていかれるのが怖いんじゃないか」
日下部
「その可能性は高い」
蓮司
「周りが何者かになっていく感じな」
遥
「そう。特技そのものじゃなくて自分だけ何者にもなれてない感じ」
日下部
「だが、何者かになることを急ぎすぎる人間は多い」
遥
「日下部、お前そういう言い方するよな」
蓮司
「でも少し分かる。高校生って、“答えを持ってる人”が強そうに見えるから」
日下部
「実際には違う。今見えている特技が、十年後も武器である保証はない」
遥
「逆もあるしな。今何もないと思ってるやつが、後から伸びたり」
蓮司
「むしろそっちも結構ある」
日下部
「Sさんは特技がないことより特技がない状態を許せていない」
遥
「……それ結構刺さるな」
蓮司
「“まだ見つかってない”と“何もない”は違うからな」
日下部
「焦りは悪くない。だが焦りだけで自分を評価するな」
🗝 三人からのことば
遥
「“何者にもなれてない感覚”は結構しんどい」
蓮司
「“まだ見つかってない”と“何もない”は別」
日下部
「特技の有無で、人間の価値は決まらない」
コメント
1件
うわ、これすごく沁みた…。Sさんの「自分だけ空っぽみたい」って感覚、めっちゃ分かる。「まだ見つかってない」と「何もない」は違うって蓮司の言葉が優しくて刺さった。遥の「置いていかれるのが怖いんじゃないか」も核心突いてて、三人の視点がそれぞれ違っててよかったわ。特技の有無で価値決まらないって日下部の言葉、胸に残る🔥