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流星くんホント人の心鷲掴みする可愛い子だわ。賑やかな食卓に優羽ちゃん何か感じたりしないのかな?

サンタさんの弟子ってとの出会い、素敵ですね😃⤴️❤️
わぁ〜(*´艸`*)✨✨✨岳大さん滞在中に2人の関係がどうなるのかメッチャ楽しみ😆
山荘に戻ると、フロントにいた紗子が二人に声をかけた。
「おかえりなさい、流ちゃん。どうだった? 楽しかった?」
流星は満面の笑みで答える。
「うん、とってもたのしかったよ! あのね、おっきなおやまをたくさんみたの。あとね、サンタさんの『でし』にもあったんだ!」
「サンタさんの弟子? まあ、すごい人に会ったのね」
紗子は流星の話に合わせて優しく笑った。
それから優羽の方へ顔を寄せ、小声で尋ねる。
「サンタさんの弟子って?」
「山から下りてきた方が、転んだ流星を助けてくれたんです。その方の髭が伸びていたので……」
「ああ、そういうこと!」
紗子は納得しながら、くすっと笑った。
そのとき、食堂から三橋が出てきて流星に声をかけた。
「流ちゃん、おかえり! お腹空いただろう? 夕飯まではまだ少し時間があるから、おやつでも食べるかい?」
すると流星は、笑顔で三橋に向かって言った。
「みっちゃんのおにぎり、すごくおいしかったよ!」
「そりゃあ、よかった。さあ、行こう」
「うんっ!」
流星はぴょんぴょん跳ねながら、三橋とともに食堂へ入っていった。
「優羽ちゃんも疲れたでしょう? 明日から仕事開始なんだから、今日はゆっくり休んでね」
「ありがとうございます」
優羽は頭を下げ、一度自室へ戻った。
少し休んだあと、食堂へ向かう。
三橋がまかないを用意してくれていたが、優羽は先に料理の盛り付けを手伝うことにした。
この日は日曜日で山荘は満室だ。厨房が忙しそうなので、優羽は配膳も手伝おうと思っていた。
テーブルを拭き、コップや箸を並べていると、ひとりの男性が食堂に入ってきた。
「あれ、少し早かったかな?」
そう呟いて踵を返そうとしたので、優羽は慌てて声をかけた。
「もうご用意はできていますので、どうぞお掛けになってお待ち下さい」
その瞬間、男性と目が合い、優羽は思わず声を漏らす。
「あっ!」
そこに立っていたのは、室堂で会った『サンタさんの弟子』だった。
昼間とは印象がまるで違う。
頬まで伸びていた無精ひげは、口元に少し残るだけで、あとはきれいに剃られている。
温泉に入ってきたのだろう。すっきりした顔立ちは、先ほどよりずっと若く見えた。
「君は、さっき室堂にいた……」
「はい。昼間は息子がお世話になりました」
優羽は改めて礼を述べた。
「いや……それにしても驚きました。奇遇ですね」
日焼けした岳大は、目尻に皺を寄せて微笑む。
そこへ、山岸夫妻がやってきた。
「あれ? 二人は知り合いかい?」
「いえ、今日たまたま室堂でお会いしたんです」
岳大が説明すると、紗子がくすっと笑う。
「サンタさんの弟子って、佐伯さんのことだったのね」
その言葉に、岳大も優羽も思わず笑った。山岸だけが状況を飲み込めず、首をかしげている。
だが、すぐに山岸は優羽に岳大を紹介した。
「こちらは山岳写真家の佐伯岳大さんだ。北アルプスに来るときはいつもうちを定宿にしてくれて、昔からのお馴染みさんなんだよ。これから雑誌の撮影があるみたいで、しばらく泊まっていただくから、優羽ちゃんもよろしくね」
続いて岳大に優羽を紹介する。
「こちらは新しく入った住み込みのスタッフの森村優羽さん。明日から仕事開始で慣れないところもあると思いますが、大目に見てやってください」
「森村です。よろしくお願いいたします」
「こちらこそ。僕は二十代の頃からこの山荘にお世話になっていて、ここはもう実家みたいなもんなんです。撮影でバタバタして迷惑をかけるかもしれませんが、よろしくお願いします」
岳大が席につくと、山岸夫妻も一緒に座った。
彼の仕事仲間が来るのは数日先なので、今夜は三人で食事をするらしい。
配膳を始めたところへ、流星が調理場から飛び出してきて、岳大を見つけるなり叫んだ。
「あっ! サンタさんの『でし』がいる!」
髭を剃っていても、流星はすぐに気付いたようだ。
「今日からここに泊まることにしたよ。僕の名前は『たけひろ』です。君のお名前は?」
「ぼくは『りゅうせい』だよ。わーい、サンタさんのでしといっしょのおうちにすめる!」
流星はまた大はしゃぎする。
「流星、お部屋に戻っていなさい」
優羽が注意すると、岳大が笑って言った。
「いいじゃないですか。僕は全然構いませんよ」
岳大が手招きし、山岸夫妻も「流ちゃん、こっちにいらっしゃい」と声をかける。
流星はにこにこしながら岳大の隣にちゃっかり座った。
優羽は諦めたように頭を下げる。
「すみません」
そう言って、再び配膳の仕事に戻った。
その晩、岳大のいるテーブルからは、流星の楽しそうな笑い声がいつまでも響いていた。