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な、なんとさおりさんと省吾さんがイトコだなんて🤭 さおりさん〜省吾さんと奈緒ちゃんを応援してね👏 省吾さんの思わず漏れた本音‥一生放さない‥秘書以上の感情かしら😉💕💕
一生離す気がないのは、有能な秘書だけが理由とちゃうよな。You know.(「有能」とあると、ついこれが言いたくなるが、最近カタカナが読まれへんめたすた。)
省吾さん何をゴニョゴニョいったのかな?🤭 でもきっと楽し嬉しいことだよね💕
その後、さおりは経理部に用があるからと席を外した。
経理部での用事を済ませると、さおりはすぐに秘書室へは戻らずにCEO室のドアをノックする。
「どうぞ!」
省吾の返事が聞こえたので、さおりは「失礼します」と言って中へ入った。
そして部屋に入った途端、さおりの態度が一変する。
「ちょっと省吾ぉ~、奈緒ちゃんの事で話しがあるんだけど」
「おいおい、社内では名前呼びはやめてくれ」
「いいじゃない、誰もいないんだから」
「俺達が従姉弟だっていうのを内緒にして欲しいって言ったのはさおり姉ちゃんだろう?」
「そうよ、だってコネ入社だって思われたら嫌だもん。私はあんたに内緒でちゃんと正規の採用試験を受けてここに入ったんだから」
「だったら誰もいなくても『深山さん』で頼むよ」
「わかったわよ。でさ、奈緒ちゃんの件なんだけど」
「噂話の事?」
「あら、知ってたの? さすが早いわね」
「昨日公平と杉田君の耳に入ったらしい。あの二人は各部署にお抱えの諜報員がいるからなぁ」
そう言って省吾はニヤリと笑った。
「だったら話が早いわ! 噂を流したのは誰なの?」
「それは今調査中」
「噂を流した人は、奈緒ちゃんの前の勤め先を知ってるって事よね?」
「うん。となるとかなり絞られる」
「まあでも上層部が知っているなら安心ね。実はさっき奈緒ちゃん泣いちゃってさぁ、もう可哀想で見てらんないの」
「泣いた?」
「そう。多分ずっとこらえていたんじゃない? 見ていて切なかったわ」
「そっか……」
省吾はじっと何かを考え込む。
「あら? 噂が本当かどうか聞かないの?」
「全部知ってるよ」
「えっ? 何で知ってるの?」
「たまたま麻生さんが前の会社の人と話しているのを聞いちゃったんだよ」
「あっ、あの昼休みに外で? そうだったんだー。それにしても酷い話よね」
「ああ……」
「で、犯人がわかったらどうするつもり?」
「過去の例に則って『島流し』だろうな。なんの生産性もない低俗な行為をする社員には他所へ行ってもらうよ」
「ヒャーッ、深山CEOを怒らすと怖いわー! まあでも、見せしめは必要よね」
「うん。それとさ、彼女を守るためにもう一ついい案を思いついたんだよ」
省吾はそう言ってさおりに手招きする。
不審な顔をしたさおりが省吾に顔を近付けると、省吾はなにやらゴニョゴニョと話し始めた。
全て聞き終えたさおりは、びっくりした顔で叫ぶ。
「えーっ? またそんな思い切った事をーーー!」
「ハハッ、我ながらいい案だろう?」
「無茶ぶりな気もするけれど、そんな事をして本当に大丈夫なのー?」
「問題ないさ。だってやっと有能な秘書が見つかったんだぞ。彼女のお陰で俺のスケジュールにどれだけ余裕が生まれたと思ってるんだ? あんな有能な秘書は一生手放さないからな。その為にはこうするのが一番なんだ」
「フフッ、省吾は奈緒ちゃんが相当お気に入りのようね。でも私達秘書にとっても奈緒ちゃんは大事な人よ。だって彼女がいてくれるお陰であんたのお守りをしなくて済むんだもん、そりゃあもう感謝しかないわ……。まあやってみたらいいんじゃない? 敏腕CEO様のお手並み拝見といきますか!」
「任せろ」
「じゃああたしは戻るわね」
さおりは軽く手を上げてからCEO室を後にした。
その日定時で仕事を終えた秘書三人は、居酒屋へ飲みに行った。
会社を出るまでの間、奈緒は二人に両脇をガッチリガードされて社内を歩いた。
奈緒に好機の目を向ける者がいれば、すかさずさおりと恵子がキッと睨み返す。
そのお陰で、奈緒は嫌な目に合わず無事に会社を出る事が出来た。
その後三人は、美味しい酒や食事を楽しみながら、浮気男やイイ男についての話題で盛り上がる。
「こういう話楽し楽しいですねー、なんだか私達仕事よりも熱心かも」
「フフッ、当たり前よ~。こっちは人生に役立つ話だもん。ね? 奈緒ちゃん?」
「はい。もっと早くさおりさんからレクチャー受けておけばよかったです」
「でしょう? 50年も生きてるとさー、酸いも甘いも全部経験したから色々と見えてきちゃうのよね」
「さすが! 歩く生き字引!」
恵子の言葉に奈緒が声を出して笑った。
先輩二人との楽しい飲み会で、奈緒はこの頃にはすっかり元気を取り戻していた。