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「ちょ――」
俺の胸を押してささやかな抵抗を図る妻の腰に腕を回し、すくい上げるように口づけ、そのまま上を向かせる。
何の力もこもっていない彼女の手は、きっと俺の鼓動の速さや力強さを感じているだろう。
知ればいい。
自分がどれほど求められているか。
自分がどうしようもないほど愛されていると。
靴を脱いだだけの妻を抱き締め、キスをして、俺は抱きかかえるようにして寝室に向かった。
次第に脱力する彼女をしっかりと抱き上げると、今度は俺が顔を上げる体勢になる。
自分の意思でキスを終えられる位置にいても、妻は俺の首に腕を絡ませて、口づけ続けた。
俺の舌が彼女の口内を侵食していたはずなのに、今は彼女の舌が俺の口内を縦横無尽に舐めずり回っている。
尻の穴から背筋が痺れ、それは彼女の太腿に押し当てられた熱となる。
痛いほどだ。
欲しくて欲しくて、堪らない。
椿がいなければ、俺は祖母には会わなかった。
彼女が言っていた通り、後に祖母が亡くなったと聞いて悔やんだかもしれない。
けれど、俺には椿がいた。
祖母に会ったおかげで、過去の苦しみや恨みは、もうない。
椿との結婚を報告できたし、祝ってももらえた。
十分だ。
ベッドに新妻を横たえ、コートを脱がせる。
彼女もまた、俺のコートに手をかけ、肩から袖を撫でるようにして脱がせた。
彼女の言動全てが、俺を熱くさせる。
既に俺の身体は準備万端なのに、ボクサーパンツとスラックスに押さえつけられていた。
早く、椿の膣内《なか》に挿入《はい》りたい。
彼女の熱に包まれたい。
妻のニットとインナーを少し乱暴にたくし上げ、強制的に万歳の格好をさせて腕と頭を引き抜いた。
そして、固まった。
見たことのない、紫色のブラジャー。
金だか銀だかまではわからないが、派手な花の刺繍が施されている。
いつも以上に寄せて上げられた椿の白い乳房は、今にもその器から零れそうだ。
ゴクッと、喉が鳴る。
椿が胸を隠すように腕をクロスさせようとしたが、俺はその腕を掴んで阻止した。
別に、新しい下着くらい、買えばいい。
ただ、あまりに彼女の好みらしくなくて、動揺しただけだ。
「クリスマスプレゼント……にと薦められまして……」と、俺の考えを察した椿が言った。
「誰に?」
「り……倫太朗に……」
「この姿、見せたのか!?」
「まさかっ! 画像で、こういうの……がいいんじゃないか……と」
倫太朗の奴、良い趣味じゃねーか!
「最初は、ふ、普通に何かプレゼントを買おうと思っていたのですが、彪さんは何でも持っていますし、私は男性にプレゼントをした経験がなく――」
「――頼みがあるんだけど」
「はい?」
「あ、先に下も脱いで?」
「えっ!? あ、ちょ――」
太めのパンツとストッキングを足から引き抜き、ベッドの下に放る。
ブラジャーとお揃いのショーツは、なんと脇が紐で、結ばれていた。
限界だった。
興奮のあまり硬く大きくなり過ぎた俺の下半身は、視覚だけで発射準備万端になっていて、紐が解ける様を想像しただけで先端がじんわり熱くなる。
俺は童貞の高校生かってくらいバタバタしながら全裸になった。
俺が彼女の下着姿に釘付けになったのと同様に、椿は俺の暴れん坊に釘付けだ。
「その下着、俺へのプレゼントなんだよね?」
「は、い」
「汚していい?」
「はい?」
「下着着けたまま、シたい」
「えっ!」
「お願い」
「いや、え!? 彪さん、そういうのが……好きなんですか?」
「俺もびっくりだよ」
セックスで、敢えてこうしたい、なんて好みはなかったはず。
服を着たままとか、電気を消すとか消さないとか、体位とか、その場の雰囲気でどうこうなることはあっても、自分からそうしたいと思うことなんてなかった。
なのに、今は、無性に、この色っぽい下着を着けたままの椿を抱きたい。
肝心な部分が見えそうで見えない、そういう焦らされてる雰囲気とか、次へのお楽しみみたいな期待感が堪らないなんて思ったのは初めてだ。
まだ触れてないのに、汗が滲む。
「彪さん……?」
余裕なんてない。
俺は、サイドテーブルからコンドームを取り出すと、さっさと装着した。
本当にもう、いつ放出してもおかしくない状態だった。
「椿……」
ハッと小さく息を弾ませると、俺は彼女の髪のゴムを外した。
緩く編まれた髪がハラハラとほどけてゆく。
「すげー綺麗だ」
初めて椿を抱いた夜と同じ格好。
あの時、本気で、彼女は女神なんじゃないかと思った。
犯したい、守りたい、暴きたい、神聖でいやらしい俺の女神。
艶のあるうねった髪を指ですくい、口づける。それから、唇にも。
「好き過ぎて、おかしくなりそうだ」
妻の脇を抱え上げ、俺の腰を跨らせた。
俺の目線のすぐ先に柔らかそうな双丘があり、彼女がほんの少し腰を落とせば俺の暴れん坊が挿入されてしまう体勢。
俺は妻の胸に顔を押し付けた。
双丘に口づけ、赤く小さな花を散らしてゆく。
僅かな布で覆われた蜜口を指でなぞり、くすぐり、爪でひっかく。
「あっ……」
俺の頭を抱えるようにもたれかかった妻の口から、甘く囁くような嬌声が漏れた。
「んっ、ん……」
汗ばむ谷間をベロリと舐め上げると、わずかに塩の味がした。
布地越しにも指先が湿ってゆく。
「ひょ――さ……」
「椿、さっきから呼び方が戻ってるよ」
指を押し付けると、クチュッと水音がした。
「これ、やっ――」
「――感じてるのに?」
ブラジャー越しに揉み上げると、尖端のピンク色が僅かに見えた。
ブラジャーを引き剝がしたい衝動を抑え、目を逸らす。
蜜がショーツを濡らし、指を押し付ける度にクチュクチュと泡立つような音が響く。
指を挿入できないと、どこまで柔らかくなっているかわからない。
だから、聞いた。
「挿れていい?」
彼女がふるふると首を振る。
「ダメなの?」
こんな状況でなきゃ絶対に出さない甘い声で、妻の碧い瞳を覗き込む。
「ちゃんと……触って」
涙が滲んで、その碧が乱反射して輝く。
「どこを?」
「ふぇ……」
ただでさえ経験の少ない妻にはハードルが高すぎたのか、唇を震わせて今にも泣きそう。
「今夜は新婚初夜だよ? 妻の喜ぶことをしたいんだよ」
チュッと軽くキスをすると、涙が一滴、俺の頬に落ちた。
「愛してるよ、奥さん」
妻の唇を食みながら、蜜口を辛うじて隠していた布を指でずらした。
「そこ……さわ――ってほし……」
絞り出すような声。
俺は妻の願いを叶えるべく、膨らんで熱くなった花芽を摘まんだ。
「――っ!」
ビクンッと彼女の腰が引ける。が、もちろん、離さない。
指の腹でクニクニと優しく、けれど優し過ぎない力加減で花芽を擦ると、ゆっくりと硬くなっていく。
「気持ちいい?」
「ん……」
目を細め、熱い息を吐き、俺にしがみついて腰を揺らす。
「俺を挿れて?」
抱いた彼女の腰に力を込め、ゆっくりと落とすように促す。
ぴたりと蜜口が俺の先端を捉えた。
花芽を弄っていた指を素早く動かすと、その刺激に反応した彼女が、自ら俺を飲み込んだ。
「あうっ……ん!!」
ずぷり、と一気に根元まで咥え込まれ、声が出たのは俺の方。
椿の方は背を仰け反らせ、声すら出せずに小さく何度か腰を震わせた。
膣内が収縮し、俺を締め付ける。
最高に気持ちいい。
「椿、ごめん」
言うや否や、俺は指で花芽を摘まんだまま、腰を突き上げた。
「ひゃぁんっ!」
脱力した彼女の腰を抱き、がむしゃらに腰を振る。
「あっ、あっ、ああっ――ん!」
イッたばかりなのに、外も内も刺激されて、収縮は止まらない。
つまり、イキッぱなし。
ギシギシッとベッドのスプリングの唸り、グチュグチュと蜜と汗が混ざり合う水音、パンパンッと肌がぶつかる乾いた音、悲鳴のような甘い声。
映画やドラマのような美しい行為じゃない。
だからこそ、だ。
獣のような本能のままに交わり合う姿は、愛した人にだけ見せられたらいい。
汗臭くて、無我夢中で、計算とか見栄もない。
ただ、愛する人と交わり、果てたいと願うだけ。
「――っぐ、あ……!」
愛しい妻の腰を両腕でしっかりと抱き、深く深く自身を彼女の膣内に押し込んで、表現できない、ひたすらな快感に身体を震わせた。
俺と椿の新婚初夜は、そうして始まった。