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「……ねえ、羊くん。さっきの『千の手』……。あれ、他の女たちにもやったわね。……不純よ。……万死に値するわ」
夕暮れ時の市長室。ソファに座る羊の隣で、断罪院 憐が、猫耳を力なく垂らしながら呟きます。しかし、その手は羊の制服の裾をぎゅっと握りしめて離しません。
「……でも。……最後の一本(の手)だけは、私の方を、……少しだけ、強く握ってくれた気がするわ」
「……あ、気づいてました? 先輩だけ、特別に『指圧』を強めにしておいたんです」
「……貴様ッ!! そんな不純な気配り、……嬉しいじゃないのよォォォ!!」
憐が真っ赤になって羊の胸に飛び込みました。今回の「芸圧」は、破壊ではなく、ただの「体温」として羊に伝わります。
「……いい? 今日だけは、校則を一時停止するわ。……私が、今から貴様に『不純』なことをされても、……逮捕しない。……一度だけよ?」
憐は羊を見上げ、潤んだ瞳で訴えかけます。猫耳がプルプルと震え、彼女の「甘えたい」という本能をアイ・ゼツのセンサーすら及ばない精度で代弁しています。
「……羊くん。……名前、呼んで。……『先輩』じゃなくて、……『憐』って」
「……え、それは流石に恥ずかしいですよ、憐……さん」
「……『さん』がいらないわよ、この鈍感ひつじッ!! ……でも、……今ので、……私の心臓が、……異世界を爆破した時より激しく鼓動してるわ……」
二人は、窓から見える「断罪市」の夜景を眺めながら、小指を絡め合いました。
「……ねえ、羊くん。この街には、もう私と貴様しかいない。……世界がこのまま、ずっと夜だったらいいのにね」
「……それだと、明日の朝ごはんが食べられませんよ。僕、憐さんの作った不純な(めちゃくちゃ豪華な)オムライスが食べたいです」
「……貴様……。……明日も、私の手料理を食べるつもりなのね? ……それは実質的な『プロポーズ』と見なすわよ? ……もう、絶対に逃がさないんだから……」
憐が羊の肩に頭を預け、幸せそうに目を閉じました。猫耳が、満足げにピンと立ち上がります。
二人が見つめ合い、ゆっくりと顔を近づけていったその瞬間。 二人の「LOVELOVEオーラ」が結びつき、ピンク色の巨大な衝撃波が発生!
ドォォォォォォォォォン!!(本日3回目)
あまりの多幸感に耐えきれず、市長室の窓ガラスが全てハート型に割れ、夜空には「祝・両想い」という巨大な花火(ショコラの仕業)が打ち上がりました。
「……あ、……今の、……キスした判定でいいかしら?」
「……寸前でガラスが割れて、びっくりして止まっちゃいましたよ、憐……」
第36話。監禁市は、恐怖の街から、ただの「バカップルの聖域」へと変貌を遂げるのでした。