これは溶けてしまいそうな程暑い時期に起こった、俺と君の始まりの話だ。
下校途中、寄り道をした帰り道、君は何かを呟いていた。何を言ってたかは分からないが今はいいかと思って特に気にしてなかった。
この頃の俺らは、君は泣き虫で俺はなんも無い。ただの口が悪いだけの人だった。
隣の君は冷たそうなアイスを美味しそうに食べてる。僕は甘いものも好きだが今は…というか最近食べたいと思えないから
やっぱ周りの価値観に合わせにいってて本当に今は居心地悪く感じる。
対して君は人気者でキラキラ輝いてる。 頼られるそんな関係を上手く築いてて羨ましくも少し思う。
そんな君を煌めく綺麗な宝石と例えるならば、君の反対に当たる俺は光らない地味な石ころだ。
そんな君でも俺と似てて…いややっぱ似てなくて運動も勉強も出来てた。泣き虫だから守ってあげたくてでも君は周りに恵まれてるから嫉妬よりも安心が出てきて、できる限り傍にいないように冷たく接して来た。
それでも君は俺の近くにいた。
俺が弱いからっていうそんな理由で。
俺は弱くは無い。でも強くもない。
でも君は強い。君から見れば確かに俺は弱いかもしれないが守られるほど弱くない。
だから離れた。向こうから離れないならば俺から離れる。
それでも着いてきた君は馬鹿だ。
雨の日も俺が風邪をひいてる時もいつでも君はいた。
俺には誰も近づかない。君以外は
でも君に離れて欲しいから冷たくする。
あの日だって多少冷たく接した。
そうやって
今までの事を思い出してると
「もし俺がタヒんだらお前はどうする?」
と少し溶けかけているアイスを急いで食べてる君がそういった。
君がタヒんだら?
しばらくの沈黙の後、俺は悲しむと答えた。
自分でもなんでそう答えたかは分からない
ただ無意識に答えてた。
「そっか…」と君は答えた。
なんだったんだろうか
そんな会話をしたのが君との最後の会話
君はこの世を立ってしまった
俺を置いて。
タヒ因は火事だった。
あのくs親がつけた火だ。
それに君は僕の傍にいるせいで影でいじめられてた。それに気づいていれば…いや気づいたとしても俺に何が出来る?
無力な俺はただひたすらに泣くことしか出来なかった。
唯一の“身内”で親友ある君が居なくなった世界なんて考えもしなかった。
俺は君をいじめた奴らに問いかけた。
『この世で嫌いだと思う奴は消そうとしてもいいのか』と
返事は
『当たり前』
だと。
なら俺にとって嫌いな奴は………ね?
そう思ったら目の前のヤツら全員悲鳴あげて逃げてった。そんなに怖い顔してたのか?と思った。
でも近くの窓に映る自分を見て納得した。
いや納得してしまった。
その姿は
まるで………
まるで
鬼のようだった
比喩では無い。
片方に出てきた真っ黒い1本角。
片方の白目が黒く染ってて
本当に鬼のようだった。
俺は逃げた。 森の奥へ逃げた
ただ怖かったから。
現実から目を離したかった
ただ……それだけ
逃げた先に見つけたのは掠れた街だった。
ボロボロ空き地や空き家ばかりで人がいるようにはとても思えなかった。
何故か知らないこの街で僕は安心した。
誰も知らない場所だからか、はたまた誰も居ないからなのか僕には分からない。
気づいた頃には神社にいてやはり少し薄汚れてた。神社は神が住む。それに僕には縁がある場所だからある程度は綺麗にした。
壊れてしまったとこはまた今度にしよう。
小さめの神社だったから早めに終わった。
お参りをして、帰ろうと背を向けた。
その瞬間、シャンと鈴の音が近くで聞こえた
もう一度振り返ると狐がいた。
珍しい目と毛色の狐だ。
綺麗だなと僕は思った
片目は紫のような青でもう一方は金色だ
毛色は普通なら白とか黄金色だと思うがこの狐は灰色に近い紫のような色だった。
何故かその狐に僕は既視感を覚えた。
でもわかることはひとつ。
人外だ。
あの狐は人外。狐関係の人外だろう
通常の狐ならば尻尾が2つに割れてることはないだろう。
九尾の狐のなりかけなのか分からないが不思議と怖くなかった。
でも僕は帰ろうと思った。
また明日も来る気だから
三十分ぐらい歩いただろうか。この街から抜け出せずにいた。俺は方向音痴でデパートとか慣れない場所には君に着いて言ってた。
まぁ向こうに行っても待ってるのは地獄のみ。
もういっその事ここで1人で朽ち果てようかと思った時、懐かしい声が聞こえた。
声がした方を見ると先程の狐と似た目の色で似た髪の毛をした人がいた。身長は僕よりやや高め。ちょっとムカつく。
でも僕より年下ぽく見える。
僕は中3。目の前の奴は中2に見える。
勘だけどね。
目の前の奴が最初に発した言葉は
「久しぶりだな」だった
何故初対面のやつに久しぶりと言われなければならない?
突然のことで意味がわからなかった。
だがそいつはこっちの気も知らずに話を続け
少しして僕の見た目について聞いてきた。まるで僕の昔を知ってるような口調で聞いていて少しイラついた。
他人に心配されるようなことなんてないのに…。
しばらくして目の前のやつの名前を聞いてなかった事を思い出し、 聞いてみたら、そいつは、
『 繧ュ繝ォ繧「』と答えた。
そんなわけが無い。
繧ュ繝ォ繧「 は あの日僕の傍から消え去った。
だからいるわけが無いんだ。
それに、
目の前のと言う奴は僕の知ってる繧ュ繝ォ繧「とは違った。むしろ正反対だ。
前は泣き虫で、今は喧嘩上等そうな感じがする
約1ヶ月が過ぎた頃、
過ごしてみて繧ュ繝ォ繧「と名乗る奴はあの繧ュ繝ォ繧「と僕は確信してた。そして あの狐が繧ュ繝ォ繧「だったということを知った。
繧ュ繝ォ繧「によると 僕はしっかりとした人間だった。だけど 親に少しばかりほんの少しだけの鬼の遺伝子があったみたいで、 その遺伝子がなんか爆発(?)して人間の遺伝子より濃くなってしまっただそうだ。それで角が生えたりして鬼に近くなったらしい。
化け方を教えてもらったものの上手くはできなくて結局繧ュ繝ォ繧「にやってもらった。
化けた姿の僕は、
何も知らない人から見れば完全なる人間だ。
ただ1度解いてしまうとまた同じように化けさせるのには時間がかかるから今回のような雰囲気になったら解除されるようにやってくれたらしい。
ただし繧ュ繝ォ繧「と僕の意思も必要となる場合もある。
……本当にお疲れ様繧ュ繝ォ繧「
後もうひとつ聞いた話だと化けていたとしても鬼の成長は止めることができないらしいから月日が経つごとに鬼としての姿も成長していってしまうようだ。
ちなみにこの街については繧ュ繝ォ繧「も知らなかった。
どうやってたどり着いたのかも僕は覚えてない無い。
でも……
行き場のない人外達が安心して仲良く暮らせるそんな街をここで実現したい。
そう思った。
繧ュ繝ォ繧「と話してこの街の清掃を始めた。
家などの建物は繧ュ繝ォ繧「、空き地などの外関係が僕だった。
繧ュ繝ォ繧「は丁寧にリフォームをしてた。
僕はなんの変哲もないのにしか出来なかった。
それでも繧ュ繝ォ繧「は「いいんじゃね?」とわかりやすい嘘をついてた。
いい感じになって家に行くと繧ュ繝ォ繧「が
僕と一緒なのかと驚いていた。
説明したはずなんだけどなと思いつつ手を引っ張って行った
結構離せって言ってたけど構わず連れてきた
もう二度とこんなことを起こさないように……
僕は繧ュ繝ォ繧「の傍を離れないようにしたい。
これが全ての始まりだった。
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