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7話 1583スポット 遊園地に行く
入口のゲートは、
少し古びている。
文字の角が丸く、
色も落ち着いている。
中へ入ると、
視界が一気に広がった。
遠くまで続く道。
その先にも、
さらに遊具が見える。
「広っ」
声が重なる。
リカは、
思わず歩幅を広げる。
長めの上着。
袖は相変わらず手の甲まで。
腰元で、
電子マネーのキーホルダーが
走るたびに音を立てる。
軽い上着の友達は、
もう前にいる。
肩から下げた鞄。
ぬいぐるみほどのサルが
勢いよく跳ねている。
「最初、あれ!」
指差す先には、
大きな乗り物。
髪をきちんとまとめた友達は、
入口の案内を一瞬だけ確認し、
すぐに並ぶ。
迷いがない。
派手めの服の友達は、
すでに笑っている。
複数のキーホルダーが
歩くたびに鳴る。
最初の乗り物は、
揺れが大きい。
身体が浮く。
声が出る。
終わったあと、
全員で息を整える。
「もう一回!」
誰かが言う。
次へ。
その次へ。
移動は全部、
歩き。
道が長い。
それでも、
疲れよりも
楽しさが勝つ。
売店で何かを買い、
ベンチで座る。
リカは、
額の汗を拭く。
笑っている自分に、
少し驚く。
遠くを見ると、
まだ遊具がある。
終わりが見えない。
「一日じゃ足りないね」
軽い声。
誰も否定しない。
夕方。
足が重くなり、
声も少し低くなる。
それでも、
帰ろうとは言わない。
最後の一つに乗って、
全員で拍手する。
出口へ向かう道。
楽しかった。
それだけが、
はっきり残っている。
四次元装置を操作する。
番号を入れる。
確定。
表示を見て、
誰かが言う。
「また来よう」
リカは、
小さく頷く。
楽しい場所があることと、
帰る場所があることは、
別だと知りながら。
今日は、
思い切り遊んだ。
それだけで、
十分だった。