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優子さんが勧めてくれた通りさとても魅力的な学校で授業も詩帆ちゃんの思い描いていた事が出来そうでワクワクしちゃうね🌸 生徒達も個性的で詩帆らちゃんも高校生の若いエネルギーにかんかされちゃうかも⁉️ 涼平さんも詩帆ちゃんの先生としての報告が楽しみだね〜😊👍✨
進学する生徒が多いいようだ。→多いようだ。?
次の週の月曜日、詩帆は優子のフリースクールへ見学に行った。
フリースクールは国道134号線から少し入った所にあり、海まで近い。
校舎は三階建てのこじんまりした建物で、グラウンドはないが体育の授業は砂浜を利用するらしい。
受付に行くと優子が笑顔で出迎えてくれた。
そしてすぐに応接室に通される。応接室の隣は職員室となっているようだ。
職員室も普通の学校よりは狭く、常勤の教師の人数も少ないようだ。
ソファーに座って詩帆が優子と話していると、校長が部屋に入って来た。
校長は夏目という男性で、優子の同級生だった。
元々は高校の普通科で教師をしていたが、今は優子とこのスクールの運営をしている。
夏目は恰幅が良く穏やかな紳士で、とても優しそうな雰囲気だった。
「我がスクールへようこそ! いやーよく来て下さいました、校長の夏目と申します」
夏目は詩帆に名刺を渡す。
詩帆は立ち上がって名刺を受け取ると自己紹介をした。
「江藤詩帆と申します。この度は採用していただきありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします」
詩帆が丁寧にお辞儀をすると、夏目は微笑みながらどうぞ座って下さいと言った。
「急に美術担当の教師が退職してしまいましてねぇ、困っていた所に江藤さんが来てくれたので本当に助かりました。美術の授業と言ってもフリースクールなので堅苦しい授業は必要ありません。江藤さんがご希望の実技中心の授業は大いに大歓迎ですよ。画材は一通り揃っていますし他に入り用の物があれば仰ってください。また課外授業についてですが、海へスケッチに行ったり美術館へ行く事は全く問題ありません。ただしその際は移動中の交通事故にだけは気をつけていただければと思います」
詩帆は自分が理想とする授業が実現可能だと知りホッとした。
その後詩帆は、同僚になる英語教師の三瀬晴美を紹介された。
三瀬は帰国子女で詩帆と同じく一科目だけを担当している。同年代の二人はすぐに打ち解けた。
そして三瀬が校内を案内してくれる事になった。
校舎は一階が応接室と職員室と音楽室で、二階、三階が教室となっていた。
教室と言っても普通の学校とは違い、ドアのない開放的な明るい部屋がいくつかある作りだった。
普通の学校にあるような個々の机はなく、大きな楕円形のテーブルが部屋の中心にあり、席も特に決まっていないようだ。
詩帆が三瀬と共に教室に入ると、生徒たちは詩帆に向かって
「「「こんにちは」」」
と挨拶をしてくれた。
思っていたよりも社交的な生徒が多いようだ。
この学校に制服はなく、それぞれが好きなファッションを楽しんでいるようだ。
その時、女子生徒が二人に近づいて来て三瀬に聞いた。
女子生徒は二人ともピアスをしてとても可愛らしい服装をしている。
「その人が今度新しく来る先生ですか?」
「そうよ、美術の先生で江藤先生」
詩帆は二人に挨拶をする。
「初めまして、江藤です」
「うわっ、若い先生で嬉しい! 先生よろしく!」
女生徒の一人が嬉しそうに言った。
するともう一人の女生徒が詩帆の傍に来て言った。
「先生よろしく! 私、美術大好きなので楽しい授業になるといいなー」
「楽しい授業を考えておくから、楽しみにしていてね」
詩帆が笑顔で返すと、女生徒はチャーミングな笑顔を見せた。
それから詩帆は、個室がある教室に案内された。
校内には一人になりたい生徒の為に小さな小部屋がいくつか用意されている。
これは発達障害などでパニック発作を起こした生徒の為に用意されているとの事だが、発作を起こす生徒はほとんどいないらしい。だから実質この小部屋は、受験を控えた三年生の自習部屋として使われている。
このフリースクールは通信制高校と連携しているので高校卒業資格を取得する事も可能で、卒業後は大学へ進学する生徒が多いようだ。
詩帆はこの学園の環境がとても気に入った。生徒の事を第一に考えて作られている空間だからだ。
ここで学べばきっと個性を伸ばせるはず。
そう思った詩帆は、この学校で教える事がとても楽しみになった。