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省吾さんの男らしい言葉遣いにキュンです〜(*´˘`*)♡♥️
秘書室のお姉さま方と、省吾さんのやり取りがとても楽しい....😆🎶 省吾さん、「奈緒大好き❤️」がいっぱい溢れているけれど....🤔 全然気づかない奈緒ちゃんが面白すぎる~😂 さて、二人の仲はこれから進展するのか⁉️ 視察デート、ワクワクしますね~😍💕💕
「ござんす」言うたら『北風小僧の寒太郎』やん。 あの歌詞、 ひゅーん、ひゅーん、ひゅるるんるんるんるるん、ふゆでございんす、ふゅるるるるるるぅ やん。そっから、『越冬つばめ』の ひゅぅるりぃ、ひゅぅるりらぁ~ になるやん。ほんで、そっから、 とぅるりら、とぅるりらぁ~ って、松田聖子の歌になるやん。 季節は巡るなぁ~。 めぇぐるぅ~、めぐるぅきせつのなかぁで~ て、最後は松山千春。はい、すみません。
秘書室へ戻る途中、奈緒はドキドキしていた。
まさか外回りに連れて行ってもらえるとは思ってもいなかったので、まるで遠足前の子供のように胸が高鳴る。
ちなみに前の職場では現場へ行く事など一度もなかったので、こんな経験は初めてだ。
秘書室へ戻った奈緒は、早速先輩二人に伝える。
「奈緒ちゃん良かったねー。いい気分転換になるんじゃない?」
「なんか楽しそうですねー。社会科見学みたい」
「私もそう思いました」
「そういえば彼氏が言ってたんですけど、今物流業界は凄い大変らしいですよ。昔はすぐに届いたはずの荷物が、今はなかなか届かないでしょう? あれってやっぱり人手不足のせいなんですって」
「あっ、そうか。恵子ちゃんの彼氏はネットショップも手掛けてる大手アパレル会社の人だもんね?」
「恵子さんの彼氏さんって、そうだったんですか?」
「うん、そうよ。今はネットショップで買った物も届くの遅くなってきたじゃない? でもこれからは更に遅延するんじゃないかって。そうなると彼氏の会社も結構死活問題みたいですよ」
「やっぱそうなんだ。今の時代はネットで買い物が出来るから便利ーって思ってたけど、この状態もそう長くは続かないんだねー」
そこで奈緒が質問をする。
「さおりさんと恵子さんは、今までボスに同行して外出した経験ってあるんですか?」
「あるわよー、最近めっきり少なくなったけど、前は会食に同行したり展示会へ一緒に行ったりとかもあったなぁ」
「私も展示会みたいなのが多いですね。あとはゴルフにお供した事もあります。私、大学時代ゴルフ部だったから」
「うわぁ、恵子さん凄い」
「でもね、ある時ご一緒した社長さんよりもかなりいいスコア出しちゃってね。それ以降ぱったり呼ばれなくなったわ」
ペロッと舌を出した恵子の顔を見て、奈緒とさおりが大声を出して笑った。
その後奈緒は急ぎの仕事を全て片付けると、化粧室へ行った。
出掛ける時間が近づいたので、化粧直しをして身だしなみをチェックする。
奈緒は今日、上品なオレンジ色の麻のセーターにベージュのフレアースカートを履いていた。
「外回りに行くとわかっていたら、もうちょっとちゃんとした格好をしてきたのに……」
奈緒は諦めたように呟く。
徹の事故以来少し体重の落ちていた奈緒は、昔よりもほっそりとしてみえた。
細身の身体に色白の肌、そしてつぶらな瞳の奈緒の姿はどこか儚げに見える。
しかし一時期よりもかなり元気を取り戻していた。
奈緒はもう一度鏡で全身をチェックしてから秘書室へ戻った。
奈緒が戻るとさおりが茶化す。
「奈緒ちゃん、なんかデートみたい」
「ほんとほんと、奈緒ちゃんってオレンジとベージュがよく似合うよねー」
恵子まで奈緒の事をからかう。
「あのぉ、行き先は昭和急便なんですけれど? それでもデートって言えますか?」
奈緒がムッとして少し口を尖らせると、二人がキャッキャと笑った。
そして三時ちょうどになると、省吾が秘書室へ入って来た。
「お二人さん、悪いけれど奈緒を借りるぞ」
省吾が奈緒の事を呼び捨てで呼んだので、さおりと恵子が叫ぶ。
「「キャーッ!『奈緒』だってぇぇぇ~~~!」」
「からかっても無駄だぞー。俺はそんなのには動じないからな―」
「「なんだーっ! つまんなーいっ!」」
そのやり取りが可笑しくて、奈緒だけクスクスと笑っている。
「じゃ、行こうか?」
「はい」
二人が部屋を出る際に、さおりが言った。
「深山さーん、折角だから帰りに二人でデートでもしていらっしゃいよー」
すると恵子も、
「二人で美味しい物でも食べに行ったらどうですかー?」
と笑顔で言った。
「そのつもりでござんす!」
省吾がおどけて言ったので、二人はまたキャッキャと声を出して笑った。
「奈緒ちゃん、楽しんで来てねー!」
「行ってらっしゃーい!」
「行って来ます! 後の事、よろしくお願いします」
奈緒は二人に会釈をしてから、省吾と共に秘書室を後にした。