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ぽたおさん、第25話読みました!作戦会議から一転しての特訓シーン、めちゃくちゃ熱かったです。シオリさんの「アーちゃんに一太刀でも浴びせたら脳を一ミリずつ踏み潰す」宣言、怖いのに笑っちゃいました😂 カケルが実は戦闘センスあるっていうギャップも良いですね。そしてレイの新技「時間の特異点」!過去と未来の影を二つ重ねて相手を固定する発想、かっこよすぎます。次回も楽しみにしてます🔥
「で、そのあとの作戦は?」
僕の問いに、トオルは空中に仮想の作戦図を展開するように指を動かした。
「はい。テレビ塔をジャックし、レイさんとカケルさんが合流した後は、ガイアが住むビルに即侵入。一気に王座を叩きます」
「おっけー、シンプルでいい。」
僕が頷くと、トオルはシオリのほうを向き、真剣な眼差しでこう告げた。
「シオリさんはビルに向かわず、テレビ塔に残って市民や兵士の足止めをお願いします。あなたの能力が放送を通じて街を支配している限り、ガイアの援軍は一歩も動けません」
「……わかったわ。ただし、ガイアを倒した後はアーちゃんと自由行動していいわよね?」
シオリの問いに、トオルは一切の迷いなく頷いた。
「もちろんです。次の災厄までの短い間ですが、お好きになさってください」
アレンの顔から、滝のような冷や汗が流れる。死線を越えたばかりの英雄が、一人の少女との「自由行動(デート)」という名の未来に、これ以上ないほど怯えていた。
「あ、あの……。本当に、ボク、必要ですか? な、何をするんですか?」
部屋の隅で震えていたカケルが、消え入りそうな声で挙手する。トオルはその小心者のナンバーズを、冷徹な眼で見つめ返した。
「アレンさんと共に、ガイアの側近である『覚醒者』たちを倒してもらいます」
「はっ! せ、責任重大……。で、でも……アレン君が、ボクを守ってくれるよね? ね?」
アレンに縋り付こうとしたカケルだったが、その背後から、凍りつくような殺意が展開された。
「貴方がアーちゃんを守るのよ。……もし、彼に一太刀でも浴びせたら、あなたの脳を、一ミリずつ丁寧に踏み潰してあげるわ」
シオリの瞳には、一切の冗談が含まれていなかった。
「ひっ……!」
カケルが頭を抱え、床でガタガタと震え始める。アレンを守るための「盾」にされた臆病者。アレンを愛するために「塔」に残る狂気の乙女。
この歪なメンバーを見渡して、僕はトオルに向き直った。
「作戦決行日は?」
「ちょうど一週間後です」
「一週間、か。このメンバーで過ごすには少し長すぎるね」
僕が肩をすくめると、カケルは
「一週間後、ボクは死ぬんだ……。一週間後の今日は、ボクの初七日だ……」
と、この世の終わりみたいな顔で泣き崩れた。
「大丈夫だよ、自信を持って。……ただし、また寝たふりをして逃げるのは無しだよ?」
「ひ、ひぐっ……!」
カケルが泣きじゃくる中、アレンが重い腰を上げた。再生したばかりの腕を回し、その瞳にスーパースターの鋭さを展開する。
「よし。それまでの間、特訓でもしようぜ。」
「特訓なんて嫌よ? 私、アーちゃんと一分一秒でも一緒にいたいもの」
シオリが不満げに頬を膨らませる。アレンは一瞬、苦虫を噛み潰したような顔をしたが、意を決して『劇薬(妥協)』を差し出した。
「……頼む。ガイアを倒したら、ちゃんとデートしてやるから。今はこれに集中させてくれ」
「本当!? お家デートも忘れないでね、アーちゃん! 私、エプロンも用意しちゃうわ♡」
アレンの背中に、再び冷や汗が流れる。ガイアという死神を倒した先に待っているのが、シオリという名の『永久の監禁(ハッピーエンド)』。
「人気者は大変だね」
僕の揶揄を背中で受け流しながら、アレンは外の湿った空気を吸い込んだ。
「よし、やるか。……予知にばっか頼ってられないからな。」
「確かにそうだね。……じゃあ、君の『野生』がどこまで僕の『計算』に追いつけるか、試させてもらうよ」
シオリが少し離れた場所で、期待に満ちた瞳でこちらを見守っている。カケルは
「無理無理、ボクにそんなこと……」
と呟きながらも、シオリの
「アーちゃんをガッカリさせたら承知しないわよ」
という無言の圧力に押されて、不自由そうに構えた。
「レイ、No.2。……本気で来いよ」
「――よーい、スタートッ!」
シオリの弾けるような掛け声を合図に、僕は『未来と過去の影』を展開した。一秒後の未来を確定させ、アレンの背後の死角へと瞬間移動する。
そこから、音もなく右拳を叩き込む――はずだった。
殴り飛ばす瞬間に見えたのは、アレンの後頭部ではない。振り向く動作すら省略したアレンの、無骨な『拳』が、僕の移動先に既に置いてあった。鈍い衝撃が僕の頬を走る。
「……おっ、当たったな」
アレンが不敵に笑う。
驚いた。僕の瞬間移動の着地点を、僕が移動する前に予想したというのか。
「やるね、No.1。……今のは少し、痛かったよ」
頬をさすりながら、僕は演算を再起動させる。だが、その時――視界からもう一つの影が、霧のように消失した。
「……っ、カケルがいな……」
言いかけた瞬間、アレンの腰に鋭い衝撃が走った。
「がはっ……!? お前、この速さ……ッ」
アレンが呻く間も与えず、カケルは僕の腕を掴み、その慣性を利用して僕をアレンの方へと力任せに投げ飛ばした。
「まじか……ッ」
空中で姿勢を制御しながら、僕は驚愕する。こいつ、ただ逃げ回っていただけじゃない。アレンという『標的』と、僕という『凶器』を同時に、最小限の動きで制圧した。
「ほ、本気って言ったよね……!? あ、アレン君、怒らないでね!? シオリさんも、睨まないで! ボクは言われた通りにやってるだけだからぁッ!」
遠くでシオリが
「……万が一、アーちゃんの顔に傷をつけたら、あなたの両足を折るわね」
と呪いのような視線を送っているが、今のカケルに止まる気配はない。
僕は着地と同時に、考える。
トオルとの戦闘の時、僕は『未来の影』と『過去の影』、そして自分自身の三つを重ねることで、現在から自らの座標を消去するバグを引き起こした。
なら――その応用。自分を除いた二つの影を、一点で重ね合わせたらどうなる?因果律の重複。過去と未来の衝突。
「試してみようか」
僕はカケルの追撃が届く寸前、過去と未来の影を素早く一箇所に収束させた。刹那、カケルの足元の空間が歪み、一円玉ほどの「極小の黒い穴」が出現する。
カケルの高速移動が、その一点で物理的に固定された。影と影が重なったことで生まれた『時間の特異点』。それが強烈な重力、あるいは空間の歪みとなって、カケルの足を強引に絡め取ったのだ。
派手に顔面から転倒するカケル。その直後、黒い球体は音もなく消滅した。
「……なるほど。三つ重ねれば『消去』。二つ重ねれば『固定』。影の密度を調整すれば、空間そのものをトラップに書き換えられるってわけだ」