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17話 スポットワーク 続刊
机の上に、
新しい紙の束が置かれている。
角が揃っていて、
まだ手に馴染んでいない。
リカは、
椅子に浅く腰かける。
長めの上着。
袖は手の甲まで。
腰元で、
電子マネーのキーホルダーが
小さく触れ合う。
表紙をめくる。
特集。
募集。
紹介。
いつもと同じ並び。
ページの端に、
小さな枠がある。
除外済みスポット。
文字は細く、
急いで読むと
見落としそうだ。
リカは、
指でなぞる。
番号が続く。
知っているもの。
知らないもの。
129は、
もうない。
一度戻って、
もう一度見る。
それでも、
載っていない。
「消えたね」
声がして、
顔を上げる。
横には、
髪をきちんとまとめた友達。
姿勢が崩れない。
「載らなくなっただけでしょ」
落ち着いた声。
リカは、
小さく頷く。
ページを進める。
大きな写真。
広すぎて、
端が見えない採掘地。
111・999・772。
処理石発掘鉱山。
石が積まれ、
人が点みたいに写っている。
観光向けの文字が、
軽く添えられている。
「最近、
人多いらしいよ」
別の声。
床に座った友達が、
紙を覗き込む。
少し派手な服。
複数のキーホルダーが
胸元で音を立てる。
「行ってみたいな」
軽い調子。
次のページ。
整ったレイアウト。
会社名が大きい。
7777スポット。
スポット開発7777。
使われていない場所。
人が移った場所。
番号は変えず、
中身だけを変える。
完了後、
再び通行可能にする。
短い文。
はっきりした言葉。
「ここさ」
肩から鞄を下げた友達。
ぬいぐるみほどのサルが
机の端で揺れる。
「仕事早いよね」
リカは、
紙を閉じる。
指先に、
印刷の感触が残る。
載っている場所。
載らなくなった場所。
にぎわう鉱山。
整えられる街。
番号は、
動いている。
キーホルダーを握る。
今の番号は、
ちゃんと残っている。
それだけで、
今日は十分だった。
紙を元の位置に戻す。
スポットワークは、
また静かに
次の号を待つ。