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第7話、もうめっちゃ引き込まれた…!!「止めても駄目、続けても駄目」ってタイトルからして切実すぎる😭 ミルヴァの「二択にしなきゃいい」でアキムが笑うシーン、めっちゃ好き。正解のない中で試行錯誤する4人のチーム感がすごく伝わってくる🥺💕 そしてアンの信仰の葛藤…「真実を見た程度で壊れるはずがありません」って言葉、胸にきた…。最後の焼却決定、時間なさすぎる…!続きが気になって仕方ないよ〜!!
#異世界転移
花月夜れん
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#魔道具職人
こはる
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297
フユめん
498
翌朝、試験田は二つの意味でひどい有様だった。
誘蛾灯を止めた区画では、稲の葉が虫に食われて穴だらけになっている。
反対に灯をつけたままの区画では食害は少ない。だが銀色の帽子を通して見ると、土と水の中を漂う淡い粒は相変わらず乏しく、白枯れの筋だけが濃かった。
「止めても駄目。続けても駄目」
アキムが言うと、ミルヴァは誘蛾灯の外板を抱えたまま笑った。
「なら、二択にしなきゃいい」
「簡単に言うな」
「簡単じゃないから面白いんでしょ」
彼女は作業台に魔石と輪状石を並べた。
「虫を寄せる光と、腐臭を抑える浄化波。今は同じ周期で一緒に出てる。だったら分ける」
細い銅線を魔石へ巻き、二枚の輪状石の片方だけを外す。
「光は残す。浄化波は弱くする。それから点滅を変えて、銀翅蛾が寄りにくい間隔を探す」
「そんな都合よく選り分けられるのか?」
ディーヴオンが問う。
「分からない。だから試す」
ミルヴァは即答した。
アキムは思わず笑った。
以前なら、自分の知識から正解を探そうとしていただろう。
だがこの世界では、魔力も虫も土も、前世と同じではない。
「三台に分けよう」
アキムは紙へ線を引いた。
「一台目は通常仕様のまま。二台目は浄化波を半分。三台目は点滅周期だけを変える。虫の捕獲数、銀翅蛾の数、土の粒、病斑の広がりを別々に見る」
「長くなりますね」
ムエイルの目が輝いた。
「比較項目が多いほど、議論する価値があります」
「今は議論より記録を頼む」
「記録した後で議論します」
ディーヴオンが吹き出した。
「それなら平和だ」
昼までに三台の比較準備が始まった。
ディーヴオンは兵に網を持たせ、灯ごとの捕獲皿を混ぜないよう杭を打った。自分も泥の中へ入り、虫の数を一匹ずつ数えている。
「隊長がそこまでやる仕事ですか」
ムエイルが問うと、彼は手を止めなかった。
「俺がやれば、部下に『面倒だから適当に数えろ』とは言えない」
その横でミルヴァが笑う。
「じゃあ百匹超えてもちゃんと数えてね」
「先に言うな」
アキムは、その何気ないやり取りに少し肩の力が抜けた。正解の見えない仕事でも、皆が自分の得意なやり方で前へ進めている。
その間、アンの姿だけがなかった。
昨夜、教会式の刻印を見つけてから、彼女はほとんど口を利いていない。
夕刻になっても戻らず、アキムは気になって教会へ向かった。
礼拝堂の奥、普段は閉じられている記録庫の扉が開いていた。
中ではアンが床に座り込み、古い帳面を何冊も広げていた。
「アン」
呼ぶと、彼女は顔を上げた。
目の下に薄い隈ができている。
「これを見てください」
差し出された帳面には、古い農村記録が細かな字で並んでいた。
『夏至の頃、銀翅蛾多し。稲守り今年もよく飛ぶ』
別の年には、虫除けの祈りと一緒に銀翅蛾を追い払わないよう注意する記述まである。
「稲守り……」
「誘蛾灯が入る前の呼び名です」
アンは次の帳面を開いた。
そこには誘蛾灯の配備数が記されていた。
最初は領都周辺だけ。翌年には主要な水路沿いへ拡大。
さらにその翌年。
『白枯れ、例年になき広がり』
アキムは息を止めた。
「始まった年が合う」
「はい」
アンの指が震えていた。
「教会は人を救おうとしました。害虫を減らし、腐敗を抑え、収穫を守るために、この術具を広めたんです」
「分かってる」
「でも、もしそれで別のものを壊していたなら」
彼女は帳面を強く握った。
「私は昨日まで、それを知らずに清浄を増やせと言っていました」
アキムはすぐには答えなかった。
軽い慰めを言えば、彼女が積み上げてきた信仰まで否定する気がした。
「知らなかったことと、今知ったことは別だ」
やがて言った。
「今、どうするかは選べる」
アンは唇を噛んだ。
「教会に不利な記録です」
「うん」
「隠せば、きっと誰にも分かりません」
「うん」
「……だから持っていきます」
彼女は帳面を抱えて立ち上がった。
声は震えていたが、目は逸らさなかった。
「神意が真実なら、真実を見た程度で壊れるはずがありません」
外へ出ると、ミルヴァが比較用の誘蛾灯を三台並べていた。
「ちょうどいい。試すよ」
夜が降りる。
三つの灯が点灯し、そのうち一台だけが別の周期で明滅を始めた。
ムエイルが捕獲皿を数え、ディーヴオンが田の周囲を巡る。
アキムは帽子越しに土の銀粒を追った。
まだ答えは出ない。
だが、止めるか続けるかしかなかった昨日より、進む道は増えていた。
そこへ馬蹄の音が響いた。
教会の使者が封書を掲げている。
アンが受け取り、封を切った。
読み進めるほど、その顔から血の気が引いた。
「何て?」
ディーヴオンが聞く。
アンは紙を握りしめた。
「教会本部の決定です」
一度、息を吸う。
「感染田の一斉焼却。二日後、夜明けから実施すると」
三つの比較灯が、暗闇の中で試験条件どおりの光を刻んでいた。
答えを示すには、あまりにも時間が短かった。