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コメント
4件
詩帆ちゃん、危なかったですね....😱 涼平さんが来てくれて 本当に良かった....😭 今後も、付きまといなどがないかどうか 心配です😱
涼平さんが来てくれて良かったけど、まさか加藤からあんな連絡があって、カフェに押しかけて来るなんてあまりに卑劣な行為💢💢💢 涼平さんも驚いたと思うけど、詩帆ちゃんを助けてくれて本当に良かった😱 ありがとう🥹🙏
するとtとなってる箇所があります
その日、詩帆は午後三時に仕事を終えて店を出た。
停めてあった自転車に乗ろうとした瞬間、詩帆の携帯が鳴った。
携帯を見ると加藤からメッセージが来ていた。
【こんにちは。今日、早く終わるようだったらまた食事でもどう?】
そのメールを見た詩帆は、言いようのない嫌悪感を抱く。
そして少し悩んでから返事を打ち込んだ。
【申し訳ありませんがもうお会いできません。お付き合いの件もお断りします】
すぐに送信ボタンを押す。
それからフーッと大きなため息をつく。
それから詩帆は、憂鬱な気分のままアパートへ向かった。
翌日の詩帆の勤務は午前十時からだった。
このカフェの勤務形態は、アルバイトの場合7時間勤務で休憩が1時間となっている。
つまり、午前10時からだと午後6時に仕事が終わる。
この日は特にトラブルもなく、店内には緩い空気が流れていた。
夕暮れ時になると徐々に客の数も減り、詩帆の勤務が終わる頃には店内もだいぶ空いてきた。
午後五時半を過ぎた頃、自動ドアが開き一人の客が入って来た。
入って来たのは涼平だった。
注文カウンターにいた詩帆は、涼平がまた来店したので少し驚いた様子だったが、
すぐに笑顔で声をかける。
「いらっしゃいませ」
「今日は仕事が定時に終わったんだ。ここのコーヒー好きなんだよね」
涼平はそう言っていつものコーヒーを注文した。
「職場はお近くなのですか?」
「うん。ここから自転車で15分くらいかな」
詩帆は、「それは近いですね」と答えると、
入れたてのコーヒーをカップに注ぎ涼平に渡した。
涼平はありがとうと言って受け取ると、いつものように窓辺の席へ向かった。
詩帆はもうすぐ勤務が終わる時間だった。
店内が空いたのを見計らってカウンターの持ち場を遅番のバイトに引き継ぎ、
最後にトイレ掃除へ向かう。
詩帆は女性用トイレを掃除した後、男子トイレへ向かう。
トイレを掃除しようと男子トイレのドアを開けた瞬間、誰かが詩帆の背中を押した。
詩帆はそのままなだれ込むように男子トイレに押し込まれてしまった。
詩帆の背中を押した人物は、すぐにドアを閉めて鍵をかけた。
びっくりした詩帆が後ろを振り向くと、そこには加藤が立っていた。
そのほんの少し前、涼平は席に着くとなぜか詩帆の事が気になり、
時折チラチラとカウンター内の様子をうかがっていた。
自分でもどうしてなのかわからないが、つい詩帆の方へ視線が向いてしまう。
でもあまり見過ぎて変な人だと思われたら困るので、
表向きは携帯をいじるふりをしつつたまに視線を向けていた。
その時詩帆がカウンターから出て来てトイレの方へ向かったので、
涼平は視線を手元に戻してゆっくりとコーヒーを飲んだ。
その時、自動ドアが開いて一人の男性が足早に店に入って来た。
男性は注文カウンターを素通りすると、そのままトイレへ向かった。
その時の涼平は、その男性に違和感を感じていた。
その頃、男子トイレに閉じ込められた詩帆は加藤に言った。
「何をするんですか!」
「ハァッ? 二度も高級レストランで奢らせておいてあのメールはないだろう? バカにするのもいい加減にしろ!」
加藤はそう言うと、いきなり詩帆にキスしようとする。
詩帆は驚いて必死で抵抗した。
両手で加藤の胸を押して顔を左右に振りなんとか加藤から逃れようとする。
すると加藤は今度詩帆の胸をまさぐってきた。
さすがに危険を感じた詩帆は、
「いやっ! やめてくださいっ!」
と叫んだ。
その頃異変を感じていた涼平は、ゆっくりとトイレへ向かっていた。
すると奥の男子トイレから ガタンッガタッ! という物音が響いている事に気付く。
「助けて!」
男子トイレからは女性のくぐもった声が聞こえて来た。
その瞬間、涼平は男子トイレの前まで走りドアを強くノックした。
「どうかしましたか? 開けてください! 大丈夫ですか?」
涼平の声を聞いてまずいと思った加藤は、すぐに詩帆から手を離すと
もの凄い勢いでトイレから飛び出し走って逃げて行った。
涼平は走り去る加藤を見た後、トイレの床にへたり込んでいる詩帆を見つけた。
そして、
「大丈夫か?」
と声をかける。
そして続けて言った。
「警察に通報した方が……」
涼平が『警察』と言った瞬間詩帆はハッとする。
「大丈夫です。何もされていませんので…ありがとうございました」
詩帆はそう言うと深々とお辞儀をした。
「本当に大丈夫?」
涼平はまだ心配そうだったが、詩帆が本当に大丈夫ですと何度も言うと、
漸く頷いてから自分の席へ戻って行った。
その後、詩帆は大きく深呼吸をしてから男子トイレの掃除を始めた。
しかし詩帆の手は小刻みに震えていた。