テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

また美琴は、惣菜コーナーでウロウロしている天馬から何かを察したのか

「もしかして、今日の夕飯ってお弁当なんですか?」と天馬に問いかけてきた。

天馬がそうだと答えると美琴は驚いたように

「弁当など食べていたら栄養が偏っちゃいますよ!将来的に病気なんかになった大変!」と言って来たが

ろくに自炊ができないから仕方がないと天馬が恥ずかしそうに答えると

「なら、私が作りにいってあげましょうか?私、お料理得意なんですよ!ね?ね?」

美琴は天馬の両手を握りながら、グイグイ迫ってくるように満面の笑みで言ってきた。

(さすがに家は怖いなぁ・・・)

天馬は若干の恐怖を覚え、悪いので結構ですと伝え、美琴の手を振り解き

足早にこの場を立ち去ろうとした。

しかし、美琴はそんな天馬の腕を掴む。

「嫌ですか?迷惑ですか?」と、先ほどの笑顔とはうって変わって、困惑した表情で天馬に問いかける。

「いや、そういう話じゃなくて」

「だって逃げようとしてません?そんなに嫌ですか?」

「今はその・・大学の講義が忙しくてその、今は余裕がないんですよ」

天馬は美琴に不快感を与えないように思考をフル回転させ、必死に言葉を絞り出す。

「今は忙しいだけですか?避けてる訳じゃないんですね?」

「そ、そうなんですよ・・・」

天馬の受け答えに観念したように

「なら仕方ないですね・・」と天馬の腕から手を離す美琴。

しかし思い出したように

「ならLINE交換しましょうよ!LINEなら忙しいとか関係ないですよね?」と提案をする美琴。

しかし天馬の表情から嫌悪を感じた美琴は

「それもダメですか?」と困った表情でつぶやく。

必死に考えた結果、LINEの交換くらいなら別に大丈夫だろうと、美琴の提案を天馬は了承した。

「やったぁ♫なら早速交換しましょ♫」

美琴は欲しかったおもちゃを買ってもらえた少女のような笑みを浮かべ喜ぶ。

(可愛くはあるんだよなぁ・・・)

天馬は美琴の無邪気な笑顔に少なからずの好印象を抱いていた。


「はぁ?LINE交換した?」

天馬は自宅に帰ると、スーパーで美琴と偶然に出会い、LINEの交換をした話をしていた。

「なんか、その、なりゆきでさそうなったんだよ・・・」

「お前なぁ・・・どうせ強引に迫られて断り切れなかったんだろ!」

呆れた口調の崇矢の言葉を否定したい気持ちがあった天馬であったが

否定できないこの状況に若干の悔しさを感じていた。

しかし、連絡先を交換してしまったというこの状況は変えることのできないリアルだ。

また、親密になりすぎるなと忠告する崇矢。

中には思い込みの激しい人間も居る。

下手に近づき過ぎて向こうが勝手に、私は彼女だと勘違いするタイプだった場合、後が面倒だからだ。

やばそうなら即ブロックしろと注意するが

女は天馬の住所を予め控えている可能性がおおいにあるため、そのブロックもさほど意味を成さないのではないか?と今後の天馬を心配した様子の崇矢。

「それじゃブロックの意味ないじゃないか!」

「だから無闇に連絡先を交換するべきじゃなかったんだよ!今後の事を見据えて慎重に行動するべきだったんだ」

「そ、そうだよな・・・」

崇矢は最後に何かあったら連絡しろよ!という言葉を残し、電話を終えた。


「恋人と勘違いかぁ・・・

そうなった時・・俺・・

きちんと断れるかなぁ・・・」

天馬は崇矢との電話を終えてからというもの、ひたすらに悩んでいた。

しかしいくら考えたとしてもコレという答えを導き出せず、仕方なく今日は寝ようとした瞬間、突然スマホのLINEの通知音が鳴り響く。

天馬がスマホを覗き込むと、美琴からのLINEだった。

《美琴です!早速LINEしちゃいました!まだ起きてますか?》

「美琴さんからLINEだ・・・うー・・ん、無視するのも悪いしとりあえず返信するか・・・」


《メッセージありがとうございます!もうそろそろ寝ようかな?と思っていたところでした》

《わぁ❤︎返信くれた❤︎嬉しい❤︎ありがとうございます❤︎》

(おいおい、ハート多過ぎない?付き合ってる相手って訳じゃないのに)

天馬は美琴からのメッセージのあまりのハートの多さに、若干の恐怖心を抱いていた。

もしかしたら本当に、自分は彼女だと勘違いしているパターンなのか?と。

しかし、美琴には既読通知は行っているはずだから早めに返信をしなければ!と

すぐさま手慣れた手つきでメッセージを送信する。

《そんなに喜んでもらえてなんか恥ずかしいですねありがとうございます》

《そんなぁ(⌒-⌒; )お礼言われるほどの事してませんから天馬くんって律儀なんですね❤︎》

《いやいや、そんな事ありませんよ》

《でも寝るんならあまりLINE送ると迷惑ですよね?私も、もうそろそろ寝ようかな》

《あ、すいません気を遣わせちゃって》

《いえいえ❤︎私も寝る前に天馬くんにLINEしたかっただけなんで!私ももう寝ますね》

《はい!おやすみなさい!》

《あの、もし迷惑じゃなければまたLINEしてもいいですか?》

《あ、全然いいですよ!迷惑なんて思いませんから!》

《よかったぁ❤︎じゃあまたLINEしますね❤︎おやすみなさい!》

《はい!おやすみなさい!》

天馬が最後のLINEを送って数分後。

「もう返信が来ないって事は寝たって事だよな・・・俺も寝ようかな」



それから数日間、天馬と美琴のLINEでのやりとりは続いた

《天馬くんって彼女さんとか居たりするんですか?》

《居ます!って言いたいのはヤマヤマなんですけど残念ながら居ないんですよね》

《周りの女も分かってないですね!天馬くんはこんなに良い人なのにそれに気づかないなんて!》

《いやいやそんな良い男なんかじゃありませんよ!美琴さん大袈裟すぎですよ!》

《天馬くんは自分の魅力に気づいてないだけですよ!》

《そうかなぁそんな事言ってくれるの美琴さんだけですよ》

《そんな事ないですって❤︎》


《そう言えば天馬くんって自炊しないって言ってましたよね?てことは、毎日お弁当なの?》

《毎日って訳じゃないですけど基本的には弁当ばっかですね(⌒-⌒; )》

《やっぱそれじゃ栄養偏っちゃいますよ!病気になったりしたら大変!》

《一応の調理器具と調味料は揃ってるんですけどね(⌒-⌒; )》

《それなのに自炊してないんですか?勿体無いですよ!せっかくあるのに!》

《一人暮らし始めた頃はよし!自炊するぞ!って気合い入れて準備して半年くらいは自炊頑張りましたけどもう飽きちゃいました(⌒-⌒; )》

《飽きちゃダメ!なんなら、私が作りに行ってあげましょうか?》

《いやいや、さすがに申し訳ないですよ》

《大丈夫!大丈夫!私お料理すきだから❤︎》《私の実家喫茶店やってるんですけど小さい頃から店の手伝いやらされてたおかげで料理得意なんです❤︎》

《さすがに悪いですよ(⌒-⌒; )》

《ふわトロオムライス得意ですよ!ほら!包丁でスーッて切ってトロっ〜とするやつ!食べてみたくないですか?》

《たしかに家でそれが食べれたら最高かも》

《でしょ?でしょ?天馬くんが良いなら作ってあげますよ❤︎》

《じゃあお願いしようかな?でも本当にいいんですか?》

《全然オッケー❤︎嫌ならこんな事私から絶対言わないから!》

《じゃあ、今度二人の予定があった時にでもお願いしようかな?》

《絶対に美味しいって言わせて見せるから!気合い入れて作るね❤︎今から楽しみ!》《じゃあ、夜も遅いからもう寝ますね!楽しみに待っててね!》

《はい!楽しみに待ってます!じゃあおやすみなさい!》


「ふわトロオムライスかぁ楽しみだなぁ」

天馬は、期待に胸を躍らせていた。

財布を届けに来てくれた、もう会う事も無いだろうと思っていた女性と偶然に再会し

LINEのやりとりを繰り返すうちに、自宅で手料理を振る舞ってもらえる。

まるで恋愛漫画や映画のようなストーリーだ。

「崇矢も考えすぎだったんだよなぁ

美琴さんがストーカーだ!なんて自分が恥ずかしいよ

美琴さんはこんないい人なのにさ!」

手料理を振舞ってもらった事がきっかけで、付き合うことができ

さらに親密になれるのではないか?とウキウキしていた。

「わぁー今から楽しみだなぁ」

天馬は鼻の下を伸ばして期待に胸を膨らませる。

自分に危険が迫っているとも知らずに。

財布を落としただけなのに

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

50

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚