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高校二年生・仮名:Hさん
最近、自分が話している声が、
どこか他人みたいに聞こえることがあります。
友達と話していても、
「今、ちゃんと私が喋ってる?」って
一歩引いたところから見てる感じで。
笑ってるし、返事もしてるのに、
後から思い出すと中身が残ってません。
夢の中みたいで、
気づいたら一日が終わってます。
おかしいのかなって思うけど、
誰にも言えなくて。
自分が薄くなっていく感じが、怖いです。
遥
「……それ、急に来ると不安になるよな。
ちゃんと話してるはずなのに、
手応えが残らない感じ」
蓮司
「Hさん、無理に“普通に振る舞おう”としてない?
頭で考えた反応を、
体が後追いで出してるみたいな」
日下部
「……自分から一歩引いた位置にいる感覚。
それ、珍しくない。
心が勝手に距離を取ってる時に起きる」
遥
「守ってるつもりなんだよな」
蓮司
「うん。
傷つかないための動き」
日下部
「……“今ここにいる”って実感が薄れるのは、しんどさが積もってるサインでもある」
遥
「Hさんさ、
感情がないわけじゃないと思う」
蓮司
「むしろ、感じすぎてる可能性もある」
日下部
「……処理しきれなくて、
一時的に切り離してる感じだな」
遥
「だから“おかしい”わけじゃない」
蓮司
「壊れてるわけでもない」
日下部
「……ちゃんと反応してる」
遥
「ただ、このまま続くと、
自分の輪郭が分からなくなる」
蓮司
「だから戻る練習が必要」
日下部
「……大きなことじゃなくていい」
遥
「今、何聞こえてる?」
蓮司
「足の感覚とか」
日下部
「……呼吸の速さとか」
遥
「“今ここ”に戻る目印を一個作る」
蓮司
「声が遠くなる前に、
体の感覚を拾う」
日下部
「……自分を現実に繋ぎ止めるために」
遥
「Hさんが消えてるわけじゃない」
蓮司
「一時的に、隠れてるだけ」
日下部
「……戻ってくる場所は、ちゃんとある」
🗝 三人からのことば
遥
「自分が遠くなる感覚は、守ろうとしてる証拠だ」
蓮司
「感じすぎる心は、切り離すことで耐える時がある」
日下部
「薄くなったんじゃない。距離を取ってただけだ」